世界で愛される日本の「シティー・ポップ」を求める外国人

5月27日(月)7時0分 NEWSポストセブン

1984年発売の『VARIETY』は竹内の活動復帰後、1作目となるアルバム

写真を拡大

 現在、世界中で愛されている日本の“シティー・ポップ”。山下達郎竹内まりや、大瀧詠一らが代表格だ。米英を中心とした欧米のレコードコレクター、DJなどが“日本の音楽は熱いぞ”とインターネットを通して発信したことが、世界規模で知名度を高めた一因だという。


「日本からの発信ではなく、海外の音楽マニアがSNSで発信したことこそが、世界中に拡散した要因でしょう」


 そう解説するのは音楽ライターの栗本斉さん。


 そのムーブメントを現地メディアが取り上げ、さらに拡大していく。昨年6月には30か国以上に配信されている若者に人気のデジタルメディア『VICE』で、イギリスの音楽ライターが“日本の80年代シティー・ポップが最高”と題し、竹内まりやの名曲『プラスティック・ラブ』がいかに素晴らしいかを猛プッシュした。すると、動画サイトでは2000万回以上再生され、コメント欄には世界中から書き込みが寄せられ、熱狂に沸いた。


 また、海外のミュージシャンにカバーされているのも注目度が上がった要因の1つだ。音楽ライターの金澤寿和さんはこう説明する。


「この曲が海外でずば抜けて人気なのは、演奏はバンドサウンドでありながら、まりやさんのポップなメロディーと、デジタル的な音作りが見事にマッチし、30年以上前の曲だというのに、まったく古さを感じさせないからでしょう。そうした点が、近年盛り上がる80年代のダンスミュージック人気に重なったといえます」


 とあるレコードショップでは、『プラスティック・ラブ』が収録された竹内のアルバム『VARIETY』が目立つコーナーに陳列され、日本語とは別に、海外からの客のために英語でも紹介文が貼り出されている。


『ディスクユニオン新宿 日本のロック・インディーズ館』店長の松岡秀樹さんはこう話す。


「レコードで『プラスティック・ラブ』だけを収録した12インチ盤シングルは値段が高騰しています。しかも最近では国内外でカバーされる機会も増え、さらに価値が上がっています。日本人も高値で買っていくうえ、海外の人も探しているので、1枚の価格は万を超えます」


 シティー・ポップの象徴的作品である山下達郎のアルバム『FOR YOU』も日米2か国語の紹介文がつけられている。


「『SPARKLE』など有名な曲も入っていて、全編を通してクオリティーが高いので、レコード盤は入荷してもすぐ売り切れる状態です。常に品薄でどんどん値が上がりますが、それでも瞬く間に売れていきます」(松岡さん)


 山下の復刻盤レコードはいくつか発売されているものの『FOR YOU』はいまだに復刻されていない。


「ご本人のラジオで、“『FOR YOU』の音は当時のプレスでしか表現できない”といったお話をされていたので、今後も復刻される予定はないと思います。そういった理由もあり、とても貴重なレコードとして扱われています」(松岡さん)


 名盤は数万円から数十万円で取引されることも珍しくないという。


◆日本でしか手に入らない!


 海外客が来日してまでレコードを探すのはなぜか。栗本さんが分析する。


「達郎さんや竹内さんの楽曲は、iTunesやSpotifyなど、音楽ストリーミングサービスで配信されている曲が少ない。そうなるとCDやレコードの現物で聴くしかないが、自分の国には、輸入されていないといった現象が起きている。“2人の曲を聴くには、日本で買うしかない”というプレミア感も、海外のファンの心をくすぐるのでしょう」


 そもそも、2人の楽曲には、海外の音楽マニアを熱くさせる魅力が詰まっているとも。


「なんといっても音楽のクオリティーが素晴らしい。米英のポップスや、ソウルの影響を受けながらも、自分の中で咀嚼し昇華させて、“日本オリジナルの音楽”という形でアウトプットしている。達郎さんの『あまく危険な香り』は1970年代アメリカのカーティス・メイフィールドの音楽を引用していますが“あの曲と似ている”とはまったく感じさせない、達郎さんならではの楽曲になっています。


 竹内さんの曲もアメリカの1960年代ポップスをモチーフにした曲が多いものの、あの歌声や世界観が日本のオリジナル音楽となっている。洋楽かぶれしていないといった点が欧米の人たちには新鮮に感じられるのだと思います」(栗本さん)


 洋楽から影響を受けながらもオリジナルの音楽を確立させた山下と竹内。2人の楽曲が世界中から人を呼び寄せ、まさかの国際交流になっているようだ。


※女性セブン2019年6月6日号

NEWSポストセブン

「世界」をもっと詳しく

「世界」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ