芸人9組登場の“面白い教科書” M―1元プロデューサーが発案「一校でも多く採用してほしい」

2025年5月27日(火)5時0分 スポーツニッポン

 文部科学省が来年度からの使用を認めた異色の高校教科書が注目を集めている。教育図書出版「高等学校 公共」「同 政治・経済」の2冊で、史上初めて芸人の漫才が視聴できる。「M—1グランプリ」元プロデューサーで漫才教科書の発案者・森本茂樹さん(67)は「生徒の手に渡ってなんぼです。一校でも多く採用してほしい」と教育関係者に呼びかける。

 3月の検定は通ったが、学校側が採用するかはこれから決まる。来月から始まる教科書展示会などで“採用活動”を本格化させる。

 本を開き、電子機器でQRコードを読み取り「サンドウィッチマン」ら芸人9組の動画を見る流れだが、それぞれが教科書のテーマにひも付いている。ひときわ目を引くのが、あぁ〜しらき(48)のネタだ。

 「女」と書かれた貝殻ブラジャーと「男」と書かれた赤いふんどしを締め「男かな?女かな?」「どっちかなぁ〜?」と問いかけるが、結局性別は教えてくれないおなじみの鉄板ネタ。「政治・経済」の教科書では「学校の先生は男と女、どっちが多いと思いますか〜?」と問いかけ、男女格差問題の導入となっている。

 今やSNSで衣装やネタをまねる動画が流行する人気ぶりだが、テレビ初披露した2018年の「THE W」決勝では「放送していいのか」と運営陣が緊急会議した、いわく付きのネタ。それが今回、国から“お墨付き”をもらった形だ。しらきは「たまたま担当者の目をくぐり抜けていただけかも」と苦笑い。「保守的な印象の教科書でぶっとんだことをやりたかった」と意気込んだ森本さんも「認可をもらうのに最大の懸念はしらきさんだった」と明かす。

 一方で最大の切り札でもあった。「“こんな芸が教科書に載るんだ。じゃあ私はこれをやってみよう”と新たなチャレンジをする後押しになる」と森本さん。「それこそが、この教科書の最も大事なメッセージなんです」。漫才が若者の可能性を広げる一助になるかもしれない。(塩野 遥寿)

 ▼公共 高校「公民」の科目の一つで、22年度から「現代社会」に代わり必修科目として新設。科目の位置づけは現代社会と似ているが、社会の課題を解決するための方法を主体的に考えるため、文科省はグループワークやディスカッションといった「アクティブラーニング」の導入を推奨している。

スポーツニッポン

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