野田聖子氏ら自民党解釈改憲慎重派の裏に自民リベラル派大物

5月28日(水)16時0分 NEWSポストセブン

 集団的自衛権行使の解釈改憲で強気一辺倒に見える安倍晋三首相だが、その足元の自民党内からは「反安倍」の火の手が上がり始めた。


「言語道断だ。この方法で突破口ができれば、憲法9条だけでなく、基本的人権の尊重までもが崩される」


 首相が集団的自衛権行使容認をぶち上げた日、村上誠一郎・元行革相は集まった記者団に、まるで野党のような言い方をしてみせた。


 村上氏は「政府が関連法案を出すなら反対する」と公言する自民党きっての解釈改憲反対派の急先鋒で、3月末には集団的自衛権行使に慎重な公明党の山口那津男・代表、民主党の岡田克也・前副総理、結いの党の小野次郎・幹事長ら東大同期との会談で、「山口さんは頑張っている。野党はもっと声をあげたらどうなのか」と焚きつけて“安倍包囲網”を仕掛けている。


 それに呼応するように大物が声をあげた。野田聖子・総務会長だ。月刊誌『世界』のインタビューで、〈重要なことを憲法の解釈変更だけで行うことで政策の安定性がなくなるのではないかと心配しています。(中略)慎重な意見はかき消されがちですが、それでも、これでいいのかという疑問や異論は、投げかけていく必要があると思います〉と、首相に注文をつけ、自民党3役としては異例の“党内野党宣言”をしたからだ。


 安倍首相にとって総務会は鬼門。前回の総務懇談会では、それまで息を潜めていた党内の慎重派議員30人近くが突然、批判の声を上げた。首相は「なんであんな会を開いたんだ」と怒ったが、集団的自衛権行使容認を閣議決定するためには、事前に総務会で満場一致の了解を取り付けなければならないルールがある。


 解釈改憲に慎重な岸田派議員がいう。


「総理の思い通りに閣議決定できるか、われわれ慎重派の意見を反映させるかの決戦は総務会になる。その総務会を仕切る野田さんが反旗を翻したのは大きい。大荒れになって執行部が途中で反対の議論を打ち切ろうとしても、総務会長がダメだといえば強行突破はできなくなる」


 慎重派の背後にいるのは自民党リベラル派の大御所たちだ。


 かつて宏池会(現岸田派)の会長を務めた加藤紘一・元幹事長はなんと共産党機関紙『赤旗』の1面で「徴兵制につながる」と安倍路線に警鐘を鳴らした。自民党元幹部の赤旗への登場は古賀誠、野中広務両元幹事長に続いて3人目になるが、引退したとはいえ、古賀氏は党内第3派閥の岸田派の名誉会長であり、野中氏も第2派閥の額賀派に影響力を持つ。


 野田氏の“造反”の背後にも、古賀氏や野中氏、さらに二階俊博・衆院予算委員長などの後押しがあるという見方が有力だ。BS11報道局長を務めたジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。


「来年9月の総裁選で野田氏が安倍首相の対抗馬となれば、額賀派の有力候補の小渕優子氏も野田支持に回り、岸田派、額賀派など、安倍首相と距離を置く党内ハト派の結集に向かう」


 野田氏らの行動には党内非主流派の“派閥防衛権”を行使する狙いがあるという見方だ。


※週刊ポスト2014年6月6日号

NEWSポストセブン

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