認知症予防には歩こう 加齢で縮小する海馬に影響与える

5月28日(月)16時0分 NEWSポストセブン

ウオーキングには海馬を大きくする効果が

写真を拡大

「認知症は治らない」と恐れられる一方で、診断された後も日常生活をこなし、少しの支援を受けながら人生を楽しむ人もいる。国内外で認知症研究が進む今、私たちはどんな対策をすればよいのか。東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典さんに聞いた。


「そもそも認知症は病名ではありません。原因となる病気などにより“脳の働きがある一定のレベルまで低下し、生活に支障が出て来た状態”を認知症と呼ぶのです」と、藤原さん。


 認知症の原因として多いのはアルツハイマー病、脳梗塞や脳出血などの脳血管の病気、レビー小体病などがある。


「日本人にもっとも多いアルツハイマー病は、脳にアミロイドβなどのたんぱく質がたまり、神経細胞が縮んだり減ったりします。アミロイドβは加齢により誰でも増えるものですが、これが急激に増えるのがアルツハイマー病。


 多くの人が認知症の原因になる病気にかかる可能性はありますが、病気がゆっくり進めば認知症まで行かない場合も。つまり、生活にさほど支障が出ないこともあるのです。原因の病気を完璧に防ぐことは難しいのですが、できるだけ進行を緩やかにし、軽度にとどめることは可能。いわばこれが重要な予防です」


 予防法は次の2つ。両方とも実践するのがよいという。


【生理的予防法】

■ウオーキング(有酸素運動)

歩幅を広めに速歩きで。1回15〜30分。週2〜3回

■食習慣(バランスよく)

野菜、果物、魚、ワインなどがおすすめ


【認知的予防法】

■知的活動習慣

読書、文章を書くなど

■対人接触

外出する、人と話すなど


「生理的予防法は、脳細胞をしっかり新陳代謝させ、充分に栄養を送り込み、細胞自体を元気にしておくこと。ウオーキングは血流をよくし、アミロイドβなどを分解する酵素や、壊れた神経細胞を再生する栄養因子が出るという研究データもあります。


 さらにアメリカのピッツバーグ大学が行った研究では、一般に加齢とともに縮小する海馬(記憶をとどめたり新しいことを覚える機能を司る部位)が、ウオーキングをしていた人は大きくなったという結果も。


 認知症予防としては、歩く歩幅も大切。歩幅が狭い人は広い人より5.8倍も認知機能の低下リスクが高まるという研究結果もあります。目安としては、横断歩道の白線を余裕でまたぎ越す歩幅を維持できれば大丈夫です」


 また認知的予防法は、社会参加や人とのコミュニケーションがキーになる。



「人との交流は、相手の話を理解し、応答のため言葉を選ぶなど、意識する以上に頭を使います。外出もさまざまな刺激を得る機会として重要なのです。ところが年齢を重ねるごとに外出しにくくなります。足腰や気分の問題、また中年から多くなる尿もれも。尿もれのある人の約6割もの人が長時間の外出に不安を感じているといわれます。


 外出頻度が週1回以下の人は、週1回以上外出する人に比べて認知機能障害のリスクが3倍以上。社会に出て初対面の人ともいろいろな話題を話すことで、衰えがちな脳の神経回路を活性化させることができます」


“歩く”と“社会参加・コミュニケーション”を組み合わせ、認知症予防に役立てようと考案されたのが『ソーシャル・ウォーキング(R)』。尿もれケアによる閉じこもり予防や認知症予防を研究するユニ・チャームが、東京都健康長寿医療センター研究所監修のもとに考案したプログラムだ。


「今や認知症予防は一大関心事。私たち研究者をはじめ、国も企業も急ピッチで解決法を模索しています。『ソーシャル・ウォーキング(R)』は生理的・認知的の両面からアプローチするプログラムで経済産業省の『将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会』のモデル事業にもなっています」


 アミロイドβなどがたまり始めるのは、40代頃からともいわれる。わが身のためにも、まずは意識して外に出かけることから始めよう。


※女性セブン2018年6月7日号

NEWSポストセブン

「認知症」をもっと詳しく

「認知症」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ