太陽光発電名目にした中国資本の土地取得進み住民に不安

6月4日(日)16時0分 NEWSポストセブン

中国による「太陽光発電」を名目とした土地取得が進んでいる

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 昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”(777ヘクタール)──4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。


 買収された森林の多くは北海道で、香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる。実は本州でも今、ある事業を名目とした中国系資本による土地取得が進んでいる。それが「太陽光発電」だ。電力事業関係者が説明する。


「3.11後、国が再生可能エネルギーの推進を強力に後押ししたこともあり、太陽光発電事業は中国系企業にとって“垣根が低く参入しやすい”ビジネスとなっています。しかし、太陽光発電は発電効率が悪い上に国の買い取り価格も下がっている。年々、事業の旨みが少なくなり、日本企業は参入を渋り始めたところ。それでも中国系企業の参加が相次ぐ背景には、太陽光発電を名目とした土地取得という目的があると言われています」


 茨城県つくば市。筑波山を眼前に臨む田園風景の中に突如現われるのは、敷地面積約50ヘクタールに設置された約3万枚の太陽光パネルだ。今年8月からの発電を予定する全国最大規模のソーラーシェアリングである。


 ソーラーシェアリングとは、農地に太陽光パネルを設置し、発電と農作物栽培を同時に行なうことをいう。「SJソーラーつくば(SJ社)」という事業者が発電を担い、地元の農業生産法人がパネル下での農作物栽培を行なう。SJ社は中国国有の国家電力投資集団公司の傘下企業である「上海電力」の日本法人・上海電力日本が出資した企業で、上海電力日本の社長がSJ社の社長も兼務している。2016年4月に同地で行なわれた起工式には中国大使館の公使らも出席した。上海電力関係者の証言だ。


「発電出力は約30MW。プロジェクトへの投資額は130億円を超える。東京電力と2015年4月に売買契約を結び、売電価格は2013年度申請時の36円/kWh。年間の販売額は約10億円と見込んでいる」


 用地は200人近くの地権者から20年間借り受ける契約で、賃貸料は「1000平方メートル当たり年間10万円程度。SJが9割超、農業生産法人が1割弱を負担する」(地元関係者)というから、50ヘクタールなら年間約5000万円の賃料になる。


 このソーラーシェアリング事業について、つくば市議のひとりがこう疑問を呈す。


「太陽光パネルと無数の支柱という障害のあるソーラーシェアリングは機械化農業ができない。50ヘクタールという広大な農地でありながら人手を使った人海戦術で作業するほかなく、人件費が多大に掛かるのです。日陰作物は単価も安く、とてもペイできるビジネスとは思えません。それでも農業もするという条件で発電事業の許可が下りた経緯がある。


 最初から土地の取得が目当てで、ソーラーシェアリングは方便だったのではとの疑念が拭えない。20年後に上海電力が地権者へ土地の買い取りを打診するのではないか。私たちも動向を注視しています」


◆地元業者とのトラブル


 そうした地元の疑心暗鬼のなか、地元業者とのトラブルも生じている。SJ社と同発電所用地の土地造成工事請負契約を結んだにもかかわらず、正当な理由なく契約を一方的に反故にされたとして、地元工務店N社が提訴の準備を進めているのだ。N社の経営者の話。


「2015年9月に東京・丸の内の上海電力日本の本社でSJ社の社長と契約を締結。発電施設用地の造成工事を1億1500万円で受注し、諸々の手配を進めていたところ、事前に何の連絡もなく、別の業者が工事を請け負うことになっていたのです。SJ社側に説明を求めましたが、誠意ある回答は得られませんでした」


 同工事受注で見込んでいた利益も吹き飛び、資金繰りなど想定外の対応に追われることになったN社。債務不履行に基づく約2800万円の損害賠償請求をSJ社に対して近日中に起こすという(上海電力日本およびSJ社に事実確認の質問状を送ったが、「期日までに回答を差し上げることが出来かねる」との回答だった)。


 上海電力日本は既に大阪南港と兵庫県三田市でメガソーラー施設を建設・稼働させている。それに伴い取得した土地は大阪約5ヘクタール(敷地面積)、兵庫約11ヘクタール(同)である。


 同社はさらに栃木県那須烏山と福島県西郷村でもメガソーラー施設の建設計画を進行中だ。西郷村では約60ヘクタールの土地を「上海電力日本」の名義で取得済みだが、地元住民は不安を覚えているという。


「ゴルフ場跡地をメガソーラー発電所にしたいから、といって私のところにも数年前にブローカーが説明に来ましたが、その後、『あの土地は上海電力が買った』という話を聞きました。メガソーラーの開発に関しては、村は何も把握していないというのが現状です。発電施設には寿命があります。それをやめた後にあの土地がどうなるのか……中国企業であることの不安は正直あります」(村議の1人)


 地元への説明もないままに中国系企業に土地を取得されることの不安を、過剰反応と片付けることはできない。亀井静香・衆院議員は、4月に行なわれた石原慎太郎氏との対談(本誌・週刊ポスト5月19日号掲載)でこう警鐘を鳴らしていた。


「私が危惧しているのは、このままでいけば、日本列島の所有者は中国で、日本は借りてる形になるよ。北海道なんて見てみなさいよ。どんどこどんどこ、中国は土地を買ってますよ。本州でも買ってる。日本は中国から土地を借りて生活することになっちゃうんだよ」


 気がつけば亀井氏の警告どおり、「日本列島の所有者は中国で、日本は借りてる形になる」かもしれないのだ。


※週刊ポスト2017年6月9日号

NEWSポストセブン

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