「またか……」元「KARA」ク・ハラの自殺未遂で再確認した、韓国芸能界の病理

6月7日(金)11時0分 文春オンライン

 5月26日、アイドルグループ「KARA」の元メンバー、ク・ハラが意識不明の状態でソウル市内の自宅で発見された。その前日、自身のインスタグラムにはこんな文字が書き込まれていた。


「大変なのに大変じゃないふり、つらいのにつらくないふり。そうやって生きて来たら、表面は大丈夫そうに見えるのに、中はぼろぼろに壊れている」(ク・ハラのインスタグラムより、現在は削除されている)



元「KARA」のク・ハラ ©Getty Images


 この書き込みを見たファンの間では、不穏な憶測が飛んだという。昨年からク・ハラにはさまざまなことがふりかかっていた。


DV、リベンジポルノ騒ぎにネットの中傷が重なり……


 昨年9月に起きた元交際相手との暴行、リベンジポルノ騒ぎに続き、今春には「眼瞼下垂手術」を「美容整形疑惑」とされてネットで誹謗中傷され、5月30日に開かれた元交際相手の裁判についてもあれやこれや騒がれていた。最近では気が塞いでいたともいわれ、電話がつながらないのを不安に思って自宅に駆けつけたマネジャーも心配していた矢先のことだったとも伝えられた。


 幸い、一命をとりとめたク・ハラは翌日には自ら、「いろいろなことが重なり、心がつらくなってしまいました。本当にごめんなさい。また元気な姿を見ていただけるよう努力します。このたびは本当に申し訳ありませんでした」(日刊スポーツ5月27日)というコメントを日本の所属事務所を通して出した。


「KARA」解散後、真っ先に大手事務所と契約


「KARA」は5人の女性メンバーからなるアイドルグループで、ク・ハラは2008年からメンバーとなり、スター街道をまっしぐらに駆け上がった。日本ではK-POPブームを起こした初めての世代(韓流ブームでは第2次といわれる)で、「少女時代」や「東方神起」とともに紅白歌合戦にも出場するなど日本でも文字どおり、スターとなった。



2016年に「KARA」は事実上、解散し、メンバーはそれぞれソロ活動に入ったが、ク・ハラは真っ先に、ヨン様ことペ・ヨンジュンが設立した大手芸能事務所「キーイースト」と契約を結ぶなど人気の高さを窺わせた。しかし、その後の活動はそれほど活発ではなかったと韓国紙記者は言う。



「キーイーストは主に俳優が所属するところで、ク・ハラも演技の道を歩むのではないかとみられましたが、バラエティなどに出演するだけで、目立った活動はありませんでした。歌手としてはソロアルバムも出しましたが、韓国ではそれほど反響がなかった。ただ、日本では根強い人気でコンサートを開くなど成功していたとも聞きます。


『KARA』の他のメンバーではジヨンは日本に渡って女優として成功していますが、そのほかのメンバーは地道にドラマや公演などをコツコツとこなしている印象です。ク・ハラは人気が高かったこともあって歌手にこだわったのか、韓国での活動の幅は狭かった」



韓国の所属事務所との契約も切れ……


 そんな中、昨年9月には元交際相手との暴行、リベンジポルノ騒ぎが起きた。警察での取り調べの後、結局、元交際相手は、強要・脅迫、性犯罪の処罰等に関連する特例法違反で在宅起訴となり、ク・ハラは起訴猶予となった。


 しかし、一連の騒ぎから芸能活動は自粛状態を強いられ、また、所属していた韓国の事務所との契約は今年1月に切れたが延長はされず、現在、韓国では所属事務所がない状態だ。テレビ局の芸能担当記者は言う。


「親しい友人には(韓国での)芸能活動がなかなかできない苦しい胸の内を相談していたそうです。


 なにもかもがうまくいかない中で、5月30日には元交際相手との裁判を控えていて、そこで証言台に立つというそのプレッシャーや、裁判を巡っても心ない書き込みがされていて、そんなさまざまなことが重なって心が折れてしまったのではないかと話す人もいました」


 ク・ハラの友人は、「ク・ハラは幼い頃から芸能界にはいったこともあって、精神的には弱いほうではなかったのに、(あんな選択をするなんて)信じられない」とも話していたそうだ。


韓国では「またか……」


 ク・ハラが自殺を図ったという報道が流れた時、韓国では、「またか……」という声も少なくなかった。



 韓国では、自殺する芸能人や著名人が多く、毎年、そうした訃報を聞かない年はないほどで、2017年には人気アイドルグループ「SHINee」のメンバー、ジョンヒョンが自ら命を絶ち、現役の人気アイドルの死は韓国社会に大きな衝撃をもたらした。



韓国には「自殺を許容する雰囲気」がある


 韓国ではそもそも自殺率が高く、OECD加盟国中、ワーストワン(2016年)だ。90年代末の経済危機後に自殺者が急増したといわれていて、その後も増加傾向にあったが、国を挙げての対策により、2011年頃からは減少しているといわれる。しかし、それでもOECD平均自殺率の2倍(10万人中25.6人)だ。自死を選択したその理由はさまざまだろうし、本人以外に本当のところを知るよしもないが、


「自身が抱えている問題を解決する手段のひとつとして自殺する傾向があり、韓国では自殺を許容する雰囲気があることも問題だとされています。


また、他国と比べると衝動的に命を絶つケースも多いといわれています。


何らかの悩みを抱えている時にカウンセラーに治療を受ける方法もありますが、そうした治療を受けづらい雰囲気もまた、ひとりで悩みを抱え込んでしまいがちになる」(心理学専門家)


 かつては、芸能人が自死したその手段などが詳細に報道されて、ウェルテル効果といわれる模倣自殺が増加したこともあったが、最近は、そうした詳細報道を控える傾向にある。


 ク・ハラの場合もその背景や手段などについて詳しく記したメディアは少なく、報道の末尾には自殺を予防するためのホットラインや相談窓口の連絡先をほとんどが付記していた。


マネージャーはSOSを見逃さなかった


 韓国の芸能を扱う番組に登場した心理学者はこんなコメントをだしていた。



「ク・ハラさんのSNSを見ると、相当な努力をし、打ち勝とうとしている姿が見えます。けれど、私は今とてもつらい、というメッセージになっていて、(本人の)心情を知ってほしいとSOSを送ったと見られます」(MBC『セクションTV芸能通信』でコメントをした心理学者)  


 そのSOSを見逃さなかったマネジャーが近くにいたから、ク・ハラは一命を取り留められた。


 ク・ハラは現在、日本で療養中だと伝えられた。



(菅野 朋子)

文春オンライン

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