国民民主党 支持母体が連合なのが根本問題

6月7日(木)7時0分 NEWSポストセブン

大前氏が不甲斐ない野党に喝

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 現政権は強行採決を繰り返しているが、その強引なやり方に対し、反対勢力がいっこうに力をつけられずにいる。経営コンサルタントの大前研一氏が、国民民主党がなぜ支持率を伸ばせずにいるのかについて問題提起する。


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 国民民主党という政党ができたことを覚えているだろうか? 1か月前に民進党と希望の党が合流した新党だが、時事通信社の5月の世論調査によると、政党支持率はわずか0.6%だった。


 旧民主党は政権を失ってから四分五裂して離合集散を繰り返している。まず民主党が民進党になり、小池百合子・東京都知事によって希望の党との合流から「排除」された人たちが立憲民主党を結成、残った勢力が改めて希望の党と合流して国民民主党が誕生したのである。だが、民進党と希望の党の国会議員計107人のうち新党参加者は62人にとどまり、立憲民主党を下回って「野党第一党」にもなれなかった。


 国民民主党というネーミングも噴飯ものである。同党だけでなく、自由民主党、民主党、立憲民主党と、いずれも「民主党」を名乗っているわけだが、そもそも民主主義国家において民主的でない政党などあり得ない。かてて加えて、今さら70年近く前にも存在して2年足らずで消えた国民民主党というカビ臭い名前を付けるのは時代錯誤である。


 それにしても、なぜ一時は国民の支持を得て政権交代を果たした旧民主党勢力が、これほど情けない状況になっているのか? 答えを先に言えば、自民党との「対立軸」が全く打ち出せていないからだと思う。


 もともと旧民主党は、各都道府県の都道府県庁がある「1区」で支持を集める都市型政党だった。つまり、農民、漁民、医者、建設業者など少数利益集団の利権を重視する自民党型の政治に対し、マジョリティである都市生活者の意見を代弁することが原点だった。ところが、この対立軸を旧民主党の人たちは忘れてしまったようだ。


 さらに根本的な問題は、最大の支持母体である労働組合=連合の存在だ。今や連合は資本家に搾取されている貧しい労働者の集団ではなく、日本の中では非常に恵まれている大組織の金持ち集団だが、集票マシンとしての連合に頼る限り、本当に国民のためになる政策や自民党に対抗できる政策は出せない。たとえば、役人の数を削減すると言えば自治労が反対するし、AI時代は教師は半分でよいと言えば日教組とぶつかる。そういう中途半端な政党になった結果、対立軸が消滅してしまったのである。


 また、先の総選挙直前に都市型政党の代表として小池知事が希望の党を設立し、その人気目当てで民進党が合流を決めた時には、安保法制や憲法改正の容認という都市型政党とは何の関係もなく、自民党との違いもわからない政策の“踏み絵”を踏まされた。しかし、これは旧民主党の原点とは、かけ離れた方向である。


 しかも、希望の党は小池知事の「排除」発言、東京五輪会場問題や築地市場移転問題をめぐる失策といった“オウンゴール”が相次いで総選挙で惨敗。小池知事と希望の党には希望が持てないという状況になって民進党は混迷を深めたが、結局、再結集して支持率0.6%の国民民主党になったわけだ。要は、自民党との正しい対立軸を示せないから、国民の支持を得ることができないのである。


 政党の原点は対立軸だと考える私のような人間に言わせれば、迷走を続ける国民民主党などの野党は、あまりにも知恵がないと思う。


 実は、日本は対立軸を打ち出しやすい国である。なぜなら、与党・自民党は昔から「ビッグガバメント(大きな政府)」だからである。選挙対策で増税はせずに補助金や社会保障費、無駄な公共事業などに税金を垂れ流しているので、今では国の借金が1000兆円を超えて世界最大の対GDP負債を抱えている。


 このままでは国の将来がないのだから、対立軸は「スモールガバメント(小さな政府)」しかないはずなのに、それでは選挙に勝てないということで、自民党と差別化できないようなサービスメニューばかり掲げている。


※週刊ポスト2018年6月15日号

NEWSポストセブン

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