「ちゃんと生きないと役はできない」希林さん遺した役者哲学

6月13日(木)11時0分 女性自身

「今でも、『美代ちゅあん』と、ばあばから電話がかかってくるような気がします。いつもそばにいてくれていると思うんです」



そうほほ笑むのは、今月7日に公開された映画『エリカ38』(東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で上映中)で、主演を務める女優の浅田美代子(63)。デビューとなったドラマ『時間ですよ』(TBS系・’73年)で共演以来、樹木希林さん(享年75)とは、45年の長きにわたり、「ばあば」「美代ちゅあん」と呼び合う仲だった。



昨年9月に亡くなった希林さんが人生最初で最後の“企画”を務めた映画『エリカ38』は、’17年4月に投資詐欺で国際手配され、タイで逮捕された女性詐欺師の事件がモチーフだ。



日本でだまし取った金を、タイで同棲中の若い男性ホストに貢いでいたこの女性詐欺師。“聖子ちゃんカット”に、生脚&ショートパンツ姿で38歳を自称していたが、じつは62歳だったことで話題を呼んだ。映画では、浅田が女性詐欺師・エリカ役、希林さんがその母親役を演じている。



“低予算”にもかかわらず、木内みどりや古谷一行といった豪華俳優がそろったのは、希林さんの人脈だった。撮影は、’18年の2月に2週間。タイでも4日間のロケを敢行した。衣装はほとんど私物。それも「扮装から(役に)入りなさい」と、いう希林さんの教えから。



「ミニスカートとか、派手な昔の服や、以前使っていたシャネルのバッグや小物を引っ張り出して。ばあばから『散財したかいがあったわね』って言われました(笑)。ばあばの衣装も、もちろん私物でした。お手伝いさん役のしずちゃん山崎静代)が、『皆さん、自前なんですか?』と驚いていたら、ばあばが、『そうなのよ。でもあなたはいいの。袖が寸足らずの服を着ているのがおもしろいから』って言っていました」



心が通い合う“親友”同士、アドリブも自然に生まれた。たとえば、お金を手にして豪邸に暮らすエリカ(浅田)が、老人ホームにいた母(希林さん)を引き取り、出資者たちに紹介するシーンで——。



「台本には、“母が『どうも』と、挨拶する”とだけあったんですが、ばあばは突然、『娘がこんなに立派になりまして。皆さんのおかげです。ありがとうございます』と……まるで本当に自分が言われているように感じて、うれしくて胸が熱くなりました」



さらに、だまし取ったお金も尽き、出資者も去った家に残ったエリカと母の場面でも——。



「“『お母さん、一緒に死のうか』と、私がつぶやく後ろで、ばあばが、童謡の『赤とんぼ』を歌う”という台本だったのに、気がついたら私も一緒に歌を口ずさんでいたんです」



出資者を募る詐欺の場面でも、希林さんのアドバイスが役立った。プライベートでは動物愛護の活動をしている浅田に対し、希林さんはこう語ったという。



「美代ちゃんは、動物愛護の話になると顔が変わるの。そこにフワッとした美代ちゃんはいないのよね。それを詐欺のシーンでやるといいわよ。真剣に訴えると人は耳を傾けるから」



そんなアドバイスが生まれるのも、ふだんから一緒に過ごすことが多かったから。浅田が暮らす現在の低層階のマンションも、不動産に詳しい希林さんが探してきたものだ。



「最初、購入する気はなかったんですが、ばあばが『60歳過ぎたら部屋も貸してもらえないわよ』って。それで緑の樹木の見える景色のいい部屋に決めたんです。2人ともタワーマンションには興味がなかった。ばあばも、『大地に足をつけて、普通にちゃんと生きていることが大事。ちゃんと生きていないといろんな役はできない』っていつも言ってました」



浅田のマンションに希林さんは食材を持ってしょっちゅう訪れた。



「カニや松茸などいただきものがあると、『美代ちゅあん、焼きガニにするとおいしいって』『松茸ピザ作って〜』と持ってくるんです。ピザの作り方なんてわからないって言っても、『大丈夫よ』って(笑)」

女性自身

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