浅田美代子『釣りバカ日誌』で2代目みち子さんを演じた葛藤

6月15日(土)16時0分 NEWSポストセブン

浅田美代子が『釣りバカ日誌』シリーズでの葛藤を語る

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 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、タレント・女優の浅田美代子が、結婚と離婚を経て芸能界に復帰し、映画『釣りバカ日誌』主人公の妻「みち子さん」の二代目として参加したことについて語った言葉をお届けする。浅田の他の代表作には『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』などがある。


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 浅田美代子は一九七七年に結婚して芸能界を引退。その後、一九八三年の離婚を機に復帰している。


「二十八ぐらいで出戻ってきたんですよね。今と違ってあの当時は離婚ってもっと悪い印象があったのね。かわいそう──みたいな。それが凄く嫌で。


 仕事も『かわいそうな役』ばかり来るんです。幸薄い役。そういうのは絶対に嫌なので、なるべくやらないようにしていました。それで仕事があまりできなくなって、親に借金までしていました。そういう『嫌だ、嫌だ』と我慢していた時代があって、そのうちに『からくりTV』とかがあって、それで救われたのかもしれません」


 九四年の『釣りバカ日誌7』から、西田敏行扮する主人公「ハマちゃん」の妻「みち子さん」の二代目として参加。〇九年の最終作まで演じ続けた。


「これも悩みましたね。『7』からでしたから。『6』までは違う人がやっていて、その印象が絶対にできているわけですよ。途中で代わると大体は『前の方がよかった』と言われるじゃないですか。それに『合体』とかあるけど、私は色っぽくないし、どうなんだろうと思っていたんですよ。


 でも、たまたま弟が漫画の原作を読んでいたから私も知ってはいたのね。映画は観ていなかったんですけど。そうしたら、原作者の北見けんいちさんが『イメージは最初、浅田さんだったんですよ』って言ってくれたので、『あっ、できるかも』って思ったんですよ。たしかに、漫画の方はポニーテールを結っていたりして、そんな色っぽい感じではなかったですからね」


 西田、そして「スーさん」役の三國連太郎は本番でアドリブを仕掛けてくることで知られる俳優たちである。


「そういうのは平気ですね。『時間ですよ』と『寺貫』でコロコロと芝居が変わるのは慣れているので。急に何か言われても『えっ!』という止め方はしないで済みました。その役でいたら、その役の反応でかわしちゃえばいい──という感じでしたから。


 三國さんと西田さんですから、台本通りには絶対にいかないわけです。それがダメな人はダメなんですけど、私はデビューして最初がそれだったので」


 その後もテレビドラマなどに数多く出演。主婦役など、日常的な役どころを得意とする。


「たしかに、普通のお母さんとか明るいお母さんとか、そういう役が多かったですね。私、日常的な役って好きなんですよ。


 友だちとかを見ていると、主婦ほどいろんな人がいるから面白いんですよ。お金持ちの奥さんもいれば、そうじゃない人もいる。三人も男の子がいて、もう髪を振り乱して子育てしている人もいれば優雅な人もいる。ついひと言で『主婦みたいな人』『奥さんみたいな人』ってなっちゃうんですけど、『あ、こういうものなんだ』という発見が人を見ているとあるものなんです。


『この人はB型で短大出なんだろう』とか、本に載ってないその役のプロフィールを自分で勝手に考えて決めていくこともありますよ」


●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『すべての道は役者に通ず』(小学館)が発売中。


■撮影:藤岡雅樹


※週刊ポスト2019年6月21日号

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