ありがとう伊藤光、寺原隼人、レオン・リー……パ・リーグから横浜に来てくれた男たちを振り返る

6月16日(日)11時0分 文春オンライン

 ここまでベイスターズの交流戦成績6勝5敗。大健闘である。山賊相手に狭いハマスタで2勝1敗。まさかの柴田がヤフオクドームのライト中段に叩き込めば、ソトもあっち向いてホイの満塁弾で5年ぶりの福岡勝利。毎年この時期はベイファンみんながメンタルを削られまくるけど、こんなに穏やかな気持ちでいられるとは夢のようだ。


 ここまでパのチームと互角に渡り合えるのは伊藤光の存在が大きい。交流戦の初っ端で古巣相手に決勝弾&3安打。ここ数試合は肩の違和感でスタメンを外れたけど、オリックスで正捕手を張りパを知り尽くしたこの人がいなければ、交流戦はもちろんリーグ戦も相当しんどい戦いを強いられていたはず。完投投手への「ヒカルのご褒美ハグ」はすっかりハマの名物だし、ベイにとって伊藤光の加入はこれ以上ない補強だった。


 2リーグ制発足と共に球団が誕生して70年の間、ヒカルのようなパ・リーグからの移籍組にはどの程度助けられたのか。トレードにFA、テスト入団などひっくるめて「パから大洋&ベイに来た男たち」の系譜を振り返ってみたい。



5月19日のヤクルト戦、完封勝利を挙げた浜口遥大と抱き合う伊藤光


パ・リーグから横浜にやって来た男たち一覧


(※カッコ内=移籍年度)

●オリックス

【主な選手】宇野輝幸(1981)、小川博文(2001)、大西宏明(2008)、山本省吾(2011)、一輝(2011)、バルディリス(2014)、伊藤光(2018)


 大洋時代は絡みが少なく、貴重な中継ぎだった宮本四郎との交換で捕手の宇野を獲得した程度。宮本が阪急でローテ入りする一方で宇野は戦力にならず、これは完全に失敗。2000年代にトレードが活発になり、01年にやってきた小川は同年15本塁打、65打点で進藤達哉の穴を埋めた。古木克明と交換の大西は初年度にまあまあ活躍。移籍したての山本が11年の開幕投手を務めたのは過渡期を象徴する出来事。バルさんことバルディリスは数字以上にファンに愛された。


●ソフトバンク

【主な選手】スタンカ(1966)、森中千香良(1967)、佐藤道郎(1979)、池之上格(1987)、畠山準(1991)、若田部健一(2003)、佐久本昌広(2006)、寺原隼人(2007)、篠原貴行(2010)、井手正太郎(2010)、多村仁(2013)、バリオス(2018)


 森中は67年18勝をマーク。野村ホークスの守護神で和田毅の義父、佐藤道は全盛期の投球には及ばず。テスト入団の池之上は闘志あふれるプレーで古葉大洋を支えた。野手転向後にテスト入団の畠山は92年に定位置を掴み3年連続球宴出場。2000年以降は行き来が活発になり、寺原、篠原、井出らがやってきた。多村のベイ復帰も記憶に新しいが、やはり07年、初の2桁勝利でチームを最下位から4位に押し上げた寺原の活躍が印象深い。あとホエールズ友の会会員だった若田部が移籍してきた時はすごく期待したけど……。


●日本ハム

【主な選手】渡辺秀武(1976)、野村収(1978)、加藤俊夫(1982)、木田勇(1986)、島田直也(1992)、スレッジ(2010)、江尻慎太郎(2010)、森本稀哲(2011)、林昌範(2012)、藤岡好明(2016)、エスコバー(2018)


 野村は若手時代にロッテ放出後、エース級に育ち横浜大洋初年度に復帰。いきなり最多勝を獲得した。長年の恋人、木田は初年度8勝で左腕不足時代の救世主。出世格はやはり島田直。移籍後プロ初勝利を挙げると94年9勝、95年10勝でチーム最多勝。97年は最優秀中継ぎを獲得し、98年の最強の中継ぎローテでエースを張った。2010年開幕直後の巨人戦でスレッジが放ったサヨナラ弾は今でも脳裏に焼き付いているし、今の藤岡とエスコバーの存在の大きさは言うまでもない。




ロッテから来る選手はみんないい選手!?


●西武

【主な選手】田中章(1976)、基満男(1979)、五月女豊(1982)、ホワイト(1985)、片平晋作(1987)、永射保(1987)、秋元宏作(1990)、青山道雄(1990)、杉山賢人(2001)、デニー友利(2003)、土肥義弘(2004)、大沼幸二(2011)、後藤武敏(2012)、長田秀一郎(2013)


 ライオンズからやって来るパターンは昔から多く、西武になるタイミングで移籍した基は山下大ちゃんとの華麗な二遊間で横浜大洋初期のチームの司令塔に。80年は打率.314でベストナインに輝いた。五月女は82年前半の快進撃を支えた中継ぎ。片平は古葉大洋の5番打者。秋元は谷繁が育つまでの正捕手。コーチのイメージが強い青山だけど、92年巨人戦で代打逆転満塁弾の離れ業を演じている。大きくなって西武から帰還したのはデニー。土肥は牛島ベイスターズの左腕エースだし、長田はDeNA初期の中継ぎエース。横浜高出身のゴメス後藤が晩年を横浜で過ごせたのは幸せだった。



●近鉄

【主な選手】鈴木武(1960)、辻佳紀(1974)、中根仁(1998)、門倉健(2004)、番外編:阿波野秀幸(1998)


 鈴木は60年初優勝時のシーズン中に三原脩監督に請われて加入、バイプレーヤー的役割を果たした。ヒゲ辻は阪神の印象が強いが、近鉄放出後に1年だけ大洋に在籍して6本塁打を記録。貢献度ではマシンガン打線にいてまえ魂を注入した中根が一番。とはいえ交換相手の盛田幸妃にも横浜で優勝を味わってほしかったからトレードは複雑だ。門倉は牛島政権下の三浦番長と並ぶエース。FA宣言時に球団がうまく交渉してればあと数年ベイで活躍した気がしてならない。阿波野は巨人経由だが、近鉄の元エースが中継ぎで98年Vの立役者になったのは非常に熱い出来事だったので番外編で。


●楽天

【主な選手】中村紀洋(2011)、渡辺直人(2011)、ルイーズ(2012)、内村賢介(2012)、中川大志(2018)


 2011年以降人事が活発に。中村ノリが中軸に座る打線はDeNA初年度ならでは。渡辺直も内村もいい選手だったけど、藤田一也を放出したのは今でも納得がいかない。中川大志よ、早く上で打ってくれ。


●ロッテ

【主な選手】小野正一(1965)、坂井勝二(1970)、江藤慎一(1972)、小山正明(1973)、レオン(1983)、欠端光則(1984)、小宮山悟(2000年)、石井浩郎(2002)、清水直行(2010)、橋本将(2010)、早川大輔(2010)、中後悠平(2018)


 ロッテから来る選手は皆いい選手。古くは最高勝率に輝いた坂井に、首位打者を獲得しながら大洋に出されてシピンとクリンナップを打った江藤。そしてなぜか控えの斉藤巧とのトレードで来たのが超強打者レオン。大洋でも打ちまくって85年は打率.303で31本塁打、110打点。これほどの打者をあっさりヤクルトに渡してしまうのもまた大洋らしい。横浜大洋で投げまくった欠端の加入も大きかった。あとは90〜00年代のロッテのエース、小宮山と清水が短期間ながらも活躍してくれたのはありがたかった。石井と橋本と早川は……まあいいでしょう。



 昨日の敗戦でついに通算5000敗を達成したベイスターズだが、その試合で内川聖一にホームランを打たれ、さらにRKBラジオの解説が98年Vメンバー(ほとんど出場していないけどなぜか記念写真集には大きく掲載)の岸川勝也さんだったのは交流戦ならでは。5001敗目はもう少し先にしたいものです。


◆ ◆ ◆


※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/12170 でHITボタンを押してください。





(黒田 創)

文春オンライン

「伊藤光」をもっと詳しく

「伊藤光」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ