【インタビュー】酸いも甘いも山盛り経験して——24歳・片寄涼太の目指す先にあるもの

6月17日(月)7時45分 シネマカフェ

片寄涼太『きみと、波にのれたら』

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「自分のことでは、あまり泣かない」。こう公言する人が、声優に初挑戦したアニメーション映画『きみと、波にのれたら』の完成版を見て、泣きそうになったそうだ。

「確かに自分の作品ではあるけど、物語自体にぐっときて。台本を読んでいたときの何倍も、何十倍も感動しました。ご覧になった方々も、“片寄さんが声を担当しているのを忘れて見ていました”と言ってくださることが多くて。あえて声色を変えるでもなく、素に近い声で演じているのに。それって、作品の力ですよね」。

港のロマンティックな台詞「ずる過ぎる」

参加した片寄涼太すら一観客として魅了する『きみと、波にのれたら』は、消防士の青年・港とサーフィンを愛する大学生・ひな子のラブストーリー。ある出来事をきっかけに知り合い、瞬く間に恋に落ちた2人は、やがて“共に過ごす永遠”を夢見るようになる。

「湯浅(政明)監督がいかにロマンティストかってことですよね(笑)」。やや茶化した口調で敬意を示すのは、映画の冒頭から中盤まで、恋人たちのひたすら甘い時間が描かれるからだ。自然体で純粋な港は、愛するひな子に向けてロマンティックな言葉を口にする。演じる片寄さんも、アフレコではロマンティックな言葉を何度も放った。


「僕は照れないAB型なので(笑)。どの台詞も楽しんで言えました。でも、あれはちょっとずる過ぎると思ったな。港の難しい名字に戸惑うひな子に対し、“自分の名字になったらどうすんだよ”って言うところ。あの一言には、“男”が一番出ている気がする。ほかの言葉は子どもっぽかったりもするけど、あれは…ねえ(笑)」。

ただし、港のストレートな言動の裏には、死と決して無縁ではない消防士の日常があるからかもしれない。こう指摘すると、「確かに。それはあるかも」。実際、港の人生は突然の終わりを迎え、いつまでも一緒にいられると信じていた恋人たちの願いを引き裂く。


「そもそも作品自体、命や人生といった深い部分に触れられていて。大事な人には大事なことを伝えておかなきゃいけない。そんなことを気づかせてくれる内容にもなっていますから。僕自身、愛や感謝を照れずに伝えることが大事だと感じているし、意外と言えているかなと思っています。親にも、仲間にも。この仕事を始めてから…かな? そうなれたのは。17歳でデビューし、親と離れて暮らすようになったのが大きいかもしれない」。


自らの役目と向き合う「どう受け入れて表現していくか」
愛を伝えるべき相手が常にそばにいるとは限らないし、人生は一度きり。だが、港の“一度きり”は予想外の形で続く。死後もひな子の前に現れる港は、愛の残像か、続く人生の中にいる彼女へのエールか。1つ言えるのは、2人の物語は片寄さんにとっても「勇気をもらえるもの」だということ。そして彼自身、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のボーカリストとして、片寄涼太として、人の背中を押す存在であり続けてきた。

「自分のためにやってはいるけど、“人のため”も意識していたい。グループでの活動を通して、応援してくれる人の存在をすごく考えるようになりましたから。自分に納得のいかない気持ちが強く、すべてを否定してしまいたい時期もあったんですけど。変わったのは、初めてのアリーナツアーに出た2016年ですね。観客席の光景を見た瞬間、応援してくれる人たちがいる事実を実感できたし、責任感みたいなものも生まれたんです」。


「おこがましく聞こえたら困るけど。でも、考えることは好きなので」と前置きしつつ、自らの役目と向き合う姿勢について言及する。『兄に愛されすぎて困ってます』から本作、そして12月公開の『午前0時、キスしに来てよ』まで。俳優としてロマンティックなラブストーリーを背負う機会が多いのも、“役目”と言えるのではないか。

「そういった作品に縁があるのは確かですし、抗うよりも、どう受け入れて表現していくか。それが、自分をいい波にのせることかなとも思っています。求められることには応えたいですしね。それが、自分に意味を持たせることでもある。GENERATIONSとしても、片寄涼太としても。彼らがやるから、彼がやるから意味があるというものを、求められる中で突き詰めていきたい」。


芝居や歌、いろんなことに挑戦して「七変化できる自分を目指す」
「でも、まだまだ応えられなくて。もっと時間があれば、もっと応えられる気がする」とも。「ただ、それはありがたいことでもあるんです。求められるものが多ければ多いほど、自分がこの世界にいる意味が大きくなるから。忙しくてなんぼの世界というか(笑)」。


もちろん、“意外性”と距離を置いているわけでもない。「えっ? これを片寄涼太がやるんだ! みたいなこともしたい」という。

「大事なのは、意図ですよね。僕にお話をくださる方が、受け手に投げかけたいものの中にある意図。それさえ押さえられれば、何でもやれるんじゃないかなって。“えっ?”という驚きの中に、必ず意味が出てきますから。言い換えるなら、自分の望みや好奇心だけに固執するのは避けたいし、そんな世界じゃないことも分かっているつもり。むしろ思い通りにならない中で、七変化できる自分を目指すというか。それに、24歳のいまは、どんな波も止める必要は全くないと思っていて。お芝居も、歌も、いろんなものを食べる時期。表現者としての自分を確立しきるのは、酸いも甘いも山盛り経験してからで遅くない」。

「新しい波はどんどんやって来る。いい波ばかりじゃないから見送ることもあるけど」。劇中の港は、ひな子にこう言う。その言葉が響いてくるのは、来る波にどんどんのるたくましさ、いい波に変える力強さが、いまの片寄さんにあるからだ。

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