“日本一の美爆音”習志野高校吹奏楽部とロッテ応援団、異例のコラボの舞台裏

6月18日(月)11時0分 文春オンライン

 敗戦後に指揮官が口にしたのは高校生への感謝の気持ちだった。6月14日にZOZOマリンスタジアムで行われた横浜DeNA戦。外野スタンドには習志野高校吹奏楽部250人が陣取り、千葉ロッテマリーンズと異例のコラボ応援を行った。全国屈指の実力で名を馳せる同校吹奏楽部。“日本一の美爆音”と称されるその演奏でマリーンズナインを外野から強烈に援護射撃をした。試合は残念ながら延長の末に敗れたが井口資仁監督は素晴らしい応援を繰り広げ選手たちを鼓舞してくれたことを感謝した。


「素晴らしい企画でした。選手たちは本当に勇気をもらった。感動しました。負けてしまったのは本当に残念だけど、またこういう機会をぜひ設けて欲しいなあと思います」


 報道陣にそう口にするとチームを代表して若き指揮官は頭を下げた。


習志野高校OBの福浦和也も感謝


 それはベンチにいた誰もが同じ思いだった。金森栄治打撃コーチは「涙が出ました。素晴らしい応援でした」と振り返る。鈴木大地内野手も「素敵な企画だなあと感じました。なにか今までのプロ野球にはない特別な空間がそこに広がっていた。鳥肌が立ちました」と話す。


 なによりも8番DHでスタメン出場をした同校OBの福浦和也内野手には特別だった。背番号「9」が打席に入ると高校野球の応援で有名な「レッツゴー習志野」が演奏された。「後輩たちの素晴らしい応援にすごく力をもらった」。残念ながら後輩たちにヒットを打つ姿を見せることが出来なかったが20歳以上も年の離れた後輩たちから大きな力をもらったようだ。



ZOZOマリンスタジアムの外野スタンドで応援する習志野高校吹奏楽部の部員たち ©梶原紀章


 ZOZOマリンスタジアムを包み込んだ今までにない独特の雰囲気。それは選手、ファンだけではなく高校生にとっても新鮮だったようだ。同校吹奏楽部の部長を務める齋藤俊太さん(3年生)は「招待していただきありがとうございました。高校野球とはまた一味違ったプロ野球の応援は、最初は戸惑いや分からないことが多く、大変な部分もありましたが、ロッテ応援団の方をはじめとする沢山の方々の支えがあり、無事に終えることができました。また本番当日では、応援団の方やサポーターの方々と一緒に球場を盛り上げることができ、とても楽しく、そして勉強になりました。この経験を生かし、これからも全力で頑張りたいと思います」とコメントした。


 吹奏楽部のメンバーは6月24日に幕張メッセイベントホールで開催される「野球応援コンサートEXPO」に出場する。そして7月にはいよいよ全国高等学校野球選手権千葉大会が開幕する。甲子園出場に向けて今回のプロ野球での経験を糧として応援はさらに磨きがかかりそうだ。



大型プロジェクトが実現するまでの長い道のり


 ファン、選手そしてメディアからも絶賛された今回の企画は千葉ロッテマリーンズのコミニティリレーション部が中心となり昨年11月から動き出していた。地域密着に向けた新しい施策を模索している中で考え出されたアイデア。学校側も前例のない企画にも関らず理解を示し、前向きな姿勢を見せてくれた。幸い、習志野市とスポーツを通じた地域振興・地域貢献に関するフレンドシップシティ・プログラム協定を締結している縁があったことも話をスムーズに進行させた。


 千葉ロッテマリーンズ応援団の理解を得てZOZOマリンスタジアム、さらに同校で合同の練習会も実施。当日を迎えた。プロ野球球団本拠地の外野スタンドにフルート、クラリネット、サックス、トランペット、トロンボーン、ホルン、ユーフォニアム。スーザホン、パーカッション(打楽器)の演奏者が綺麗に配置された。その光景は壮観であり、奏でる音は人の心を魅了した。


 高校野球吹奏楽部とプロ野球応援団のコラボによる応援という日本プロ野球で前例を見ない企画を成功へと導いたコミニティリレーション部担当者は充実した表情を浮かべる。「昨日はたくさんのグッと来る状況がありました。今まで見た事がない球場の雰囲気に自分も感動しました。ここまでたどり着くまでの色々な調整がありましたけど、報われました」。学校、応援団、市、そして球団、NPBと交渉は多岐に渡った。それに伴い沢山の資料を作成した。


 そして半年かけて実現したこの日。チケットの前売り販売は平日平均の3倍で当日は2万9559人の来場者が駆け付け、大入り満員となった。ファンもこの企画に期待し楽しみにしていた証拠であり、試合後のSNS等での反応は「凄い」、「感動した」のオンパレード。それはこの新規の大型プロジェクトが成功したなによりの証拠だろう。そして現場の指揮官である井口監督が自らマスコミに口にした感謝の言葉はその象徴といえる。


 ボールパーク化計画を04年から推し進め、これまで様々なイベント企画を成功に導いてきた千葉ロッテマリーンズ。2018年もまたプロ野球界に新たな風を吹かせるべく日々、チャレンジを繰り返していく。


梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)


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(梶原 紀章)

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