見たいものしか見ない自衛隊 イージス・アショアの杜撰調査

6月19日(水)7時0分 NEWSポストセブン

記者会見する岩屋防衛相

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 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、イージス・アショアの配備計画を巡り、ずさんな調査が発覚した防衛省を分析。


 * * *

 地元住民が怒りを爆発させるのも当然だ。地上型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の陸上自衛隊新屋演習場(秋田県秋田市)への配備計画を巡る大事な説明会で、防衛省職員が頭をカックンさせるほど居眠りをしていたのだから。


 頭がカクッと前に不自然に落ちたかと思うと、両足がだらしなく開いていく。半眼になるものの目は覚めない。そのまま頭が後ろにカクッ、次は右へとカクッと倒れていく。それでも職員は目を開けない。睡魔と闘うことなく身を任せてしまっているのだ。


 さらに目が覚めてからの振る舞いも、地元住民の感情を逆なでした。住民の男性に「後の席の一番右のあなた、居眠りしていましたね」と指摘されても知らんぷりを決め込む。視線も上げず、悪びれる様子もない。「何を考えてんだ!」と怒鳴られても、姿勢を正すこともなく、平然とだらしなく腰で座り、椅子の背にもたれたまま。制服組の職員らが背筋を伸ばして座っている姿とは対照的で、我関せずと何かをメモしている?ようにペンを動かす。住民の声や感情に無関心としか思えない振る舞いだ。


 怒鳴られても、顔を上げるでも緊張した表情を見せるでも、頭を下げて謝るでもない。住民に寄り添った丁寧な説明をしていきたいとする防衛省の姿勢とは正反対の振る舞いで、大事な場で自分が失態を犯したという意識すら感じられない。これでは、防衛省側は地元住民の理解は必要ないと思っているとさえ思えてしまう。


 しかも、新屋演習場を東日本で唯一の「適地」とした調査報告書に複数の誤りが見つかったばかりのこと。そのこともあって、最初から地元住民にはネガティブな感情が渦巻き、説明会では怒号が飛び交っていた。そんな最中の居眠りだっただけに、職員の緊張感が足りなかったどころで済まされるはずもなく、「新屋ありきで配備計画が進んでいたのでは」という地元住民の不信感を、この居眠りが後押ししてしまった形になった。


 報告書の誤りは「作成に用いた地図の縮尺の割合が合っていない元データを使ってしまった」「単純なミス」と釈明、岩屋毅防衛省は「チェック体制が甘かった」と陳謝した。だが、新屋演習場が適地であることに変わりはないという。


 専門家らによると、報告書は「グーグルアースプロ」で作成した断面図を用いて作られたようだが、この地図アプリには縦軸と横軸にメモリが付いている。「きちんと見ていれば気付いたはず」と指摘する声もあるが、どうしてそれを見落としたのか。まして自衛隊には「地理情報隊」という地図を専門に扱う部署もある。そこでどうしてチェックしなかったのか。はたまた、なぜ実地に測量しなかったのか。


 意図的でなければ、陸上自衛隊の担当者たちが「自分が見たいことしか目に入らなかった」ということだろう。理由は「新屋演習場が最適」という結果が得られたからだ。


 今回の場合なら、望むような結果が得られたことで、他のことには目が向かず、結果以外は見えなくなるし、見なくなっていたのだろう。自分の動機で目が曇ってしまうと、自分たちの利益のためにやっているとは思っていないが、心のどこかで都合のよい結果が欲しくなってくるいう。。縮尺を見落としたのも、チェックしなかったのも「見たいことしか目に入らなかった」と考えれば、新屋演習場が適地という結果は彼らが望むものだったと推測できる。


「新屋ありきの辻褄合わせ」という印象が強いイージス・アショアの配備計画だが、津波の影響についても報告書にはなかったという。修正される資料は、そこからどんな結果を導き出すのだろうか。

NEWSポストセブン

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