松戸女児殺害呆然の初公判 被告が遺族に叫んだ「謝罪」

6月21日(木)11時0分 NEWSポストセブン

罪状をすべて否定した澁谷恭正被告(写真/共同通信)

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 昨年3月、千葉県松戸市で9才女児が殺害された事件で、逮捕された澁谷恭正被告(47才)の初公判が始まった。しかし、被告は罪状をすべて否認した上、遺族の神経を逆なでする発言に終始。裁判官が呆れ、傍聴席がどよめいた発言の数々をここに再現する。


 黒のジャージーに迷彩柄のズボン。天然パーマのかかった白髪は、肩まで伸びている。


「その日は子供を車で送ったあと、キャンピングカーの中で釣りの準備をして、夜まで釣りの下見をしていました」


 凄惨な犯行を全否定する言葉から始まった被告人の返答に、傍聴席が静まり返る。その後、男の口から出る言葉は、不可解極まるものばかりだった──。


 昨年3月24日、千葉県松戸市に住むレェ・ティ・ニャット・リンちゃん(当時9才)が殺害された。この日の朝、リンちゃんはいつものように大好きな小学校に登校した。しかし学校に着く前に何者かにさらわれ、2日後、自宅から10km以上離れた我孫子市内の用水路で遺体となって発見された。


 4月14日、殺人と死体遺棄容疑で逮捕されたのは、リンちゃんの通う小学校の保護者会会長を務める澁谷被告だった。


 悪夢の事件から1年3か月。6月3日、千葉地裁で澁谷被告の初公判が始まった。同14日に行われた初めての被告人質問。弁護士から体調について尋ねられた澁谷被告は、「糖尿病による眼底出血で両目が見えにくく、腎臓と肝臓が通常の人の20〜30%しか機能していない」と、満身創痍であることを告白。入廷時も足を引きずるように歩いていた。


 この日、事件当日の行動を弁護士に問われた澁谷被告は次のように答えた。


「キャンピングカーで釣り竿やリールの作動確認を行いました。(もう1台所有する)軽自動車から45〜50cm四方のコンテナボックスをキャンピングカーに移動しました。中には俗にいう大人のおもちゃが入っていました」


 澁谷被告の言う“大人のおもちゃ”とは肛門や性器に挿入する製品や手錠と足錠が結束されたようなSMグッズなど複数におよぶ。


 リンちゃんは遺体の状況から殺害前に暴行を受けており、軽自動車のドアステップや運転席の下など、車内8か所で発見された血痕は、DNA鑑定の結果、リンちゃんのものであることが判明している。そしてリンちゃんの遺体からは澁谷被告の唾液まで検出されているのだ。


 しかし、これらに関して澁谷被告は「自分はやっていません」「わかりません」と答えるのみ。弁護士からの一連の質問が終わると被告は法廷にいる全員を唖然とさせる行動に出た。


 当日、一般の傍聴人の目に触れないよう、部屋の一画に設けられた衝立の向こうでリンちゃんの遺族も傍聴していた。澁谷被告はおもむろに振り返り、衝立に向かって涙声でこう叫んだ。



「リンさんのご家族に言いたいことがあります! 私が犯人だと思われているなか、私が行った募金活動を受け取っていただいて、ありがとうございます。また事件後忙しく、墓前にお参りに行くことができず、すいませんでした。見守り活動をしていたのに、リンさんのこと、守ることができず、すいませんでした! 以上です!」


◆めんどくさい事件が起きたのかな


 弁護人質問に続き、検察側の質問が行われた。事件前、澁谷被告は保護者会会長として毎朝通学路に立ち、子供たちの見守り活動をしていた。リンちゃんがいなくなった当日、澁谷被告は一緒に見守り活動を行っているA氏から「リンちゃんがいなくなった。何か知っているか」との連絡を受けている。検察官に「その時どう思ったか」と問われると、澁谷被告は淡々と答えた。


「大変なことになったなぁと。なんでこっちに連絡してくるんだろうと思いました」


 澁谷被告いわく、当日は朝は自分の子供たちを軽自動車で小学校に送り、午後からは釣りの下見に行っており、その日に限って見守り活動には参加していない。


「保護者会の会長だからといっても知らないこともあります。校長に聞けばいいのに、なんで私に聞いてくるんだろうと思いました」


 検察官に、なぜリンちゃんを捜そうと思わなかったのかと問われると、


「思わなかったというより、思えませんでした。いなくなった理由がわからないのと、いついなくなったのかもわからなかったですし。“めんどくさい事件”が起きたのかな、くらいにしか思わなかった」


 業を煮やした被害者の代理人弁護士が次のように質した。


「あなた、自分の娘がいなくなって保護者会の会長が動いてくれなかったらどう思いますか?」


 しかし、澁谷被告は「通学路で起こったことは親の責任。自分で捜してほしい」と、一言発するのみ。こうした言動に裁判官らも黙ってはいない。以下、双方のやりとりを再現する。


裁判官「午前中の陳述の最後に『見守り活動をしていたのに被害者を守れなくてすみません』と言っていたが、『登校中の出来事は親の責任』というのは矛盾ではないか」


澁谷被告「私が車でなく、歩いて自分の子供たちを小学校に送っていれば、見守りできた。車を使ったからできなかった。そのことを反省しています」


裁判官「それならばなぜ被害者に謝ったのか。学校の外で起こったことは親の責任と言っていたではないか」


澁谷被告「見えるところまで連れてきてもらえれば見守りできます。でも連れてきてもらえないとできません。見守り活動は正確にいうと『緑のおばさん』。交通整理、補助するだけ。警察の巡回ではない」



 またリンちゃんの遺族に対しても次のように言い放った。「父親の調書を読むと、朝時間のある日もあったとのことです。だったら(リンちゃんを学校に)送れたのでは、って思います」


 終始他人事のように答える澁谷被告の姿は、どこか異様な空気に包まれていた。一方、翌15日に行われたリンちゃんの父親・ハオさんの陳述は痛切を極めた。


「娘はとても大事。私の命と同じくらいに思っていました。妻は夜眠れない、常に涙流し、時には自殺も考えている…。リンちゃんの弟は4才。まだ姉が亡くなったこと知らない。毎日『どうして学校から戻ってこないの』『どうしてご飯をあげたのに残ってるの』と。ある日、『リンちゃんは誰かが殺したの?』と聞いてきた。4才の子供が! どう答えたらいいですか! 食べるとき、寝る前、起きるとき、リンちゃんいないこと、心が痛くて耐えられない。犯人に死刑判決を出してほしいです。お願いします」


 父親の陳述中、傍聴席からはすすり泣く声がやむことはなかった。検察の論告求刑は死刑。判決は7月6日に下される。


※女性セブン2018年7月5日号

NEWSポストセブン

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