大雨で水没する住宅街 大田区、目黒区なども注意を

6月21日(金)11時0分 NEWSポストセブン

水没する地域はどこ?(杉並豪雨の様子。共同通信社)

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 梅雨シーズン本番を迎え、各地で雨災害への警戒が叫ばれるなか、「東京23区」に重大な危険性を示すデータが浮かび上がってきた。


 早稲田大や東京大学などの合同研究グループが開発した画期的なシミュレーションシステムだ。豪雨発生時の東京23区内の浸水被害を、20分先までリアルタイムに予測するというもので、研究チームはこのために23区内のあらゆる都市インフラをデータベース化したという。


 今回の研究を主導した早稲田大学理工学術院教授・関根正人氏が都内で過去最大雨量を記録した2005年9月の杉並豪雨を想定し、「23区で1時間あたり50mm超の雨が約2時間半降り続いたらどうなるか」をシステムに入力し、計算した結果を地図で示した。


 とくに地図上で目につくのは、都心のオフィス街や繁華街で、『溜池交差点』『渋谷駅周辺』『日比谷交差点』などは周辺に降った雨が流れ下って集まるため、浸水被害が深刻化しやすいことがわかった。


 だが、危険なのは、都心の繁華街やオフィス街ばかりではない。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が指摘するのは、閑静な住宅街が多くを占める世田谷区だ。


「世田谷という地名からも地形の特徴が窺えます。中でも池尻や三軒茶屋は周囲と比べて低い地域。周辺の高い土地から水が流れ込み、浸水するリスクは高い」


 また、高級住宅街として知られる田園調布や自由が丘も危ないという。


「大田区や目黒区にまたがる田園調布一帯は、地名から類推できる通りかつては田畑が広がっていた。農業用水が引き込まれていたということです。多摩川も近く、氾濫すれば浸水しやすい地域だといえる。自由が丘も、戦後の地図を見ると用水池が確認できる」(渡辺氏)


 関根氏は、「旧川筋」の観点から「中野五差路交差点」に注目する。


「かつて流れていた『桃園川』を潰したルート上にある。旧川筋の標高を変えずに蓋をして遊歩道にした構造になっています。23区の西側で地形的には高い山の手エリアでも、周囲より低い旧川筋の土地は浸水しやすい場所です」(関根氏)


 それらの住宅街で浸水が起きたとき、想定される被害はどんなものなのか。


「家が崩されたり流されたりしなかったとしても、雨量が排水能力を上回れば、路上ではマンホールの蓋が飛ばされ、住宅内では下水とつながるキッチンや風呂場、洗濯機の排水溝、さらにトイレから下水が溢れ出すことになる。全国で水害の起きた現場を取材に行くと、酷い汚臭に悩まされるケースが多い。衛生的にもよくありません」(渡辺氏)


 渡辺氏は関根氏らが開発した新システムの意義をこう説明する。


「すでに各自治体が『浸水・洪水ハザードマップ』を公表していますが、自治体のものは長時間の降雨で河川決壊などが起きたときの被害予測で、5〜10mの浸水被害が生じる恐れのある場所を示している。


 一方、今回の研究チームが開発したのは、豪雨による浸水深の予測システム。時間雨量50mm以上の豪雨の発生回数は、昭和50年代は年平均174回だったものが、この10年ほどは気候変動の影響により同238回と約1.4倍になった。豪雨被害が圧倒的に増えている中、こうしたリアルタイム予測は非常に重要です」


 豪雨が起きたときに「水没する危険性のある地点」を知っているかいないか──それが命をも左右する。


※週刊ポスト2019年6月28日号

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