綾野剛も「宣伝不可能」 型破りな時代劇映画の見どころ 

6月22日(金)16時0分 NEWSポストセブン

綾野剛主演で映画化された『パンク侍、斬られて候』(公式HPより)

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 映画『パンク侍、斬られて候』は、芥川賞作家・町田康さんの同名小説が原作。浪人の掛十之進が、自らがまいた種によって生まれる騒動に七転八倒する、というストーリー。型破りすぎる内容で、6月30日の公開を前に注目を集める同作の見どころについて、一足先に試写会で観てきたコラムニストのペリー荻野さんが解説する。


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 そんなわけでいよいよ公開が近づいた映画『パンク侍、斬られて候』。原作・町田康、脚本・宮藤官九郎、監督・石井岳龍、主題歌がセックス・ピストルズ。でもって、主演が綾野剛。事前に公開されたモノクロの綾野パンク侍ビジュアルもタダモノではない雰囲気ぷんぷんで、こりゃ、大変なことになると思いつつ、試写で作品を見たら、やっぱり大変なことになっていた。


 物語は、ある街道にひとりの浪人が現れ、盲目の娘と物乞いをする巡礼のおじいさんを突然、斬りつけるところから始まる。その浪人こそが掛十之進(綾野剛)。「超人的剣客なんです私」と言い放つ掛は、「この者たちは、いずれこの土地に恐るべき災いをもたらす」と言い出すのだが…。この事件をきっかけに、掛の前には邪魔者は「ガンガン弾圧すりゃいいんだよ!」と言い切る「超キレモノ!」筆頭家老内藤(豊川悦司)はじめ、「超ゆとり!」の若侍・幕暮(染谷将太)、「超カリスマ!」の茶山半郎(浅野忠信)、「超マドンナ!」のろん(北川景子)ら濃すぎるキャラが次々登場。ついには「人間VS人間VS猿」の壮絶な戦いに発展していく…つっても何がなんだかわかりませんね。


 なにしろ、主演の綾野剛本人が「脳内破壊映画」とか「宣伝不可能」とか言ってるし。その横で染谷将太は「撮影の半分くらいはふんどし一丁だった」「毎晩寝られなかった」と喜んでいるのか、戸惑っているのかよくわからぬ表情。北川景子は猿を抱くシーンでとても癒され「猿は女性に響く」とにこにこ。かつてこれほど、出演者の言ってることにまとまりがない作品があったかしらん。


 しかし! そもそも「パンクです」と宣言しているこの映画に理屈やら理解やらを持ち出す方が間違っているのである。人は目の前の出来事を自動的に理解して、納得しようとする。古い時代劇や時代小説をよく知る人は、掛が冒頭に巡礼のおじいさんをたたっ斬る理不尽な場面を見て、過去の有名作品を思い出すこともあると思う。でも、この映画は過去のどの作品にも似てないし、似たものは二度と現れない。観ている人は「ま、わかんなくていいや」と思えた瞬間、暴れまわる人間も猿(甲冑着用猿リーダーが誰かと思ったら、3時間かけて特殊メイクで猿になりきったという永瀬正敏)も、渦巻きも超能力もイケイケー!と思える。正直、この域に達するまでにへとへとになったが、とんでもないものを見たな〜、わっはっは!と笑っていればよいのである。



 

 じわじわと伝わってくるのは、この映画は作ってる人たちがとっても楽しかっただろうなという空気だ。やっていいのね、この時代に。そして、この映画に出演した俳優たちは、こういう映画オッケーの人々なんだ、よかったよかったと思えてくる。中で私が個人的に一番面白かったのは、みんなが「ノー!ノー!」「手取りいくら?」など現代語で会話する中、ただひとり「余は…」とカチコチのお殿様演技を貫いた「超カタブツ!」お殿様役の東出昌大。パンク、オッケーの人だったんですね。よかったよかった。

NEWSポストセブン

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