メダル獲得「前回の東京オリンピック並」がけっこう難しい理由

6月23日(日)6時0分 文春オンライン

 オリンピックでもっとも注目が集まるのはやはりメダル数。日本が最初に参加した夏季大会、第5回ストックホルム大会(1912年)ではゼロだったが、前回の第31回リオデジャネイロ大会(2016年)では史上最多の41(金12、銀8、銅21)のメダルを獲得している。


 しかし、これは必ずしも実力がアップしたことを意味しない。競技・種目数がうなぎ登りに多くなっているのだ。第1回アテネ大会(1896年)では、わずか43種目だったが、2020年の第32回東京大会では339種目と、8倍近くに増えている。前回の第18回東京大会の163種目と比べても倍以上だ。


金メダル最多記録、東京とアテネの違い


 第18回東京大会では、現在も最多記録である16の金メダル(2004年の第28回アテネ大会も16)をはじめ、全体で29のメダルを獲得した。これを種目数で割ると、金メダルが9.8%、メダル全体で5.9%である。リオデジャネイロ大会なら、金メダルが3.9%、全体が4.5%となる。ちなみに金メダルの最多記録タイである第28回アテネ大会の金メダル16は、割合で言えば5.3%にしかならない。



29個のメダルを獲得した第18回東京五輪 ©文藝春秋



「女子の新種目」が支えてきたメダル獲得数の現実


 しかも、この数字は新種目の恩恵を多大に受けたもの。第28回アテネ大会の金メダル16のうち、第18回東京大会のときに正式種目ではなかった種目を数えると、半分を超えて10になる。そのほとんどが「女子××」(男子では唯一、北島康介の男子100メートル平泳ぎが第18回東京大会にはなかった)。女子柔道48キロ級の谷亮子、63キロ級の谷本歩実、70キロ級の上野雅恵、78キロ級の阿武教子、78キロ超級の塚田真希らの女子柔道が正式種目になったのは1992年の第25回バルセロナ大会だ。女子レスリング55キロ級の吉田沙保里、63キロ級の伊調馨らの女子レスリングはこのアテネ大会から正式種目となった。野口みずきの女子マラソンも、1984年の第23回ロサンゼルス大会で正式種目となっている。柴田亜衣の女子800メートル自由形も、第18回東京大会にはなかった。


 もちろん、リオデジャネイロ大会で新しく採用された7人制ラグビーのように、競技として新しいものもあるが(今回の東京大会では空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンが採用された)、前回の東京大会からの流れをざっくり見ると、男子がさっぱり振るわないのを、女子の新種目が支え、全体としてなんとか体裁を整えてきたが、実態としてはメダルは激減してきた、ということになる。



“東洋の魔女”と称された女子バレーボールチーム ©文藝春秋



アテネ五輪、柔道48キロ級で金メダルを獲得した谷亮子 ©JMPA


 「史上最多の金メダルを獲得した前回の東京オリンピック並に……」といった表現をよく目にするが、「前回の東京大会並」とは、「前回大会の半分でもできれば」ということに他ならない。種目数との割合で言えば、「前回の東京大会並」は、金メダル33となる。これはリオデジャネイロ大会ならアメリカ(46)に次いで2位となる。そう考えると、メダル数に一喜一憂せず、純粋に競技を楽しむのが得策とも思える。



リオ五輪の女子レスリング選手たち ©JMPA


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