対立から協調へ——100年前の公害問題を乗り越えた企業と地元住民の物語

6月25日(火)6時0分 文春オンライン

『八甲田山死の彷徨』、『劒岳 点の記』——新田次郎は、大自然に立ち向かい克服する人間を描き、映像化作品も感動を呼んだ。今月公開される映画『ある町の高い煙突』も新田次郎の同名作品が原作。挑んだのは松村克弥監督だ。



©2019 Kムーブ


「これまで映像化された新田作品と異なるのは、公害との戦いを描いていること。100年前、茨城県の鉱山で起きた出来事がもとになっています」


 日露戦争により需要が高まった鉱物資源。現・日立市の日立鉱山でも増産が進められたが、精錬時に排出された亜硫酸ガスが周辺の農作物を枯らし甚大な被害をもたらした。


「この物語は企業を悪とはせず、住民が企業と対話し、煙害を克服するために協調の道を探っていきます。善悪で人間を描かない原作の素晴らしさに惚れました」


 無名塾の井手麻渡が住民を束ねる若き長(おさ)を、煙害の補償交渉に奔走する鉱山職員には渡辺大。他に吉川晃司仲代達矢と豪華な顔触れが揃った。


「目の前の難題に、共に立ち向かう。実世界で起きる様々な問題でもそうありたいという、人の普遍的な思いが、役者さんたちの心を動かしたのだと思います」


 当時、世界一となる155メートルの煙突が完成したのは、1914年のことだ。



INFORMATION


『ある町の高い煙突』

6月22日(土)全国公開

https://www.takaientotsu.jp/




(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年6月27日号)

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