「俺はそこに君臨していたい」 “戦い続ける”アーティストAK−69が描くHIP HOPの未来

6月26日(水)6時31分 しらべぇ

「HIP HOP」。音楽シーンに詳しい人ならともかく、メジャーな楽曲のみを嗜む人とっては、なかなか触れ合う機会が少ないジャンルかもしれない。そんな中で常に上を目指し、進み続けてきたアーティストがいる。その名もAK-69。

アンダーグラウンドから始まり、HIP HOPの頂点にまで登り詰めた彼が今年「ソロデビュー15周年」を迎えようとしている。どのような思いを抱き、活動を通し何を伝えようとしているのか。本人に迫った。

 

■「AK-69の日」にライブ

インタビューを実施したのは6月9日、そう、奇しくも「“AK-69”の日」。その日、彼は『69PARTY』と題されたライブイベントを主催していた。

リハーサルのため、関係者しかいないフロアでステージに登るAK。流さずに本番さながらの熱量で歌い上げる姿に、今回のイベントにいかに力を入れているかが窺える。ピリついているであろうリハーサル後、取材を引き受けてくれたことに感謝を述べると…

AK:今日は出ずっぱりで忙しい。ライブはもちろん、お客さん、ゲストにも気を遣って……あとしっかり酒も飲むからね(笑)

 

とやさしい笑顔。なお、リラックスしているものの気合は十分だと語る。

AK:コンディションもバッチリ。武道館の休暇明け一発目のイベントなので、気合い入れて行かないと。

 

■日本でも海外らしさを

イベントが開始されると超満員の人だかり。DJが場を温め、ゲストアーティストが観客を沸かす。開始早々から盛り上がりをみせるが、それはAKが徹底して意識した「海外を意識した演出」が効果を発揮したからだろう。

AK:いつものようにライブを見に来てもらうだけじゃない。ちゃんとした派手な箱(クラブ)で、VIPのテーブルがあって、フロアがあってっていう図式の中で著名人がシャンパンを豪快に抜きまくる。

 

お客さんもVIPも一緒に盛り上がって、そこにイケてるDJがスピン。日本はそれをダメなこととしてますけど、全然いいと思うんですよ、夢がある。

 

ずっとこういうイベントをやりたかったけど、なかなか機会がなくて。クラブに遊びに来る楽しさを改めて知ってもらいたいのと、日本のHIP HOPでもこういうラグジュアリーなパーティーができるっていうことを知ってほしかった。

 

実際にフロア内には海外のクラブを連想させるVIP席があり、時にはショーガールがテキーラを配る演出もあった。

■HIP HOPのイメージを払拭

「HIP HOPって暗闇なイメージがあるじゃないですか。それもありだけど、もっと夢がある感じにしたいなって思っていて」とAKは語る。その希望を持ち始めたのは、子供の頃が起因しているようだ。

AK:俺たちがガキの頃には、東京のクラブに来たら芸能人が遊びに来てて、メジャーデビューしたアーティストが歌っててみたいな「憧れのカルチャー」があったんですよ。それを再びここで表現したくて。

 

実際にAKが登場した瞬間、会場のボルテージは最高潮に。また、彼が言っていたように各界の著名人も遊びに来ていたようだ。

AK:井岡(一翔)は試合前で難しいみたいだけど、元ボクシング世界チャンピオンの内山高志くんだったりとか、この前十両で優勝した貴源治関とか、K-1の山崎(秀晃)くんも来てくれるかな。

 

巨人の坂本(勇人)くんも来たがっていたけど、シーズン中にキャプテンがクラブで遊ぶっていうのはね(笑)。

 

あ、あとジャンルは違うけどUVERworldのTAKUYA∞も遊びに来てくれますね。

 

■ライブは「成功してるけど赤字っす」

今回のイベントの成功は、今までで積み上げてきた経験が大きく関わっていると話す。最近では3月末に自身初となる「武道館2Days公演」を完走。本気でライブに向き合うAKにとって、連日の公演というかなり過酷な挑戦であったそうだ。

AK:終わってみたらやってよかったなって。あと、自分のことを浅くしか知らない人たちにこそ、ライブに来てほしいと思ったかな、ライブ会場でしか伝わらない雰囲気ってあるから。

 

その雰囲気を作るために仕込んでいることも相当ある、俺はただ用意されたところに自分の歌を持って行ってやればいいっていうアーティストではないので(笑)。

 

実際に音、映像、照明とかの会場作り全てをプロデュースさせてもらって…採算度外視でやってるんですよ。いつも。普通だったら稼げる可能性が高いけど、二日間異なるセットリストのショーをしたっていうこともあって、成功してるけど赤字っすからね(笑)。

 

「武道館の規模でライブを行えるアーティストが、赤字になってライブをする」そんな話聞いたことがない。なぜそこまで、身を切るほどのこだわりを持っているのか。

AK:でも、それでいいと思うんですよね。そうやってやることが、結果的に俺たちやHIP HOPを志している人たちの未来に繋がると思うので。別にいいかなってね。

 

でもたまに、「いつまで現役でやるんだろう」って思うときもあるんだけど、まだまだ元気っすからね…(笑)

■「次はもっと精度の高いショーを」

こだわり抜いた武道館公演は成功を収めた…しかし、彼にはそこで満足はしていない様子。

AK:成功だけど、すぐ反省に変わっちゃう。「やったった!」っていうのは本当に終わったその日…いやその日のうちにもう反省してるか(笑)。

 

個人的な面、演出とかのテクニカルな面とか。だから常に満足はしてないですね、次はもっと精度の高いショーができるんじゃないかなって。

 

これだけの実績を積み重ねてなお、トライアルアンドエラーを繰り返している。彼がカリスマである理由がが少しずつ紐解けてきたところで、ソロデビュー15周年を迎えることへと話は展開する。

AK:(感慨深いとかは)あんまりないですね(笑)。ただ、ラッパーとしてマイク握り初めて…もう24年目になるのか。人生の半分以上ラップし続けているって思うとたまにすごいって思うこともあるけど…あんまり「15周年だ、わーい」みたいのはないかな(笑)。

 

それよりも自分がやりたいこと、やらなければならないことを一生懸命やっている感じですかね。自分では大したもんだなんて思えないけど去年の自分より、昨日の自分より大したことをしたいとは思ってますけど。

 

ただ、止まっちゃってもおかしくないくらいやっているんで、常にケツに火をつけて走ってます(笑)。

 

■AKの真髄とは…

武道館公演、また最新アルバムには「ANTHEM 」というキーワードが並ぶ。直訳すると「国歌」などが当てはまるが、これは「彼の真髄」をも表しているのだとか。

AK:女の事を歌っている歌や、パーティの歌とか…俺の中にもいろんな歌があるんですけど、一貫してるのは目標に向かう道の中で、「戦って進んでいく上で必要なアティチュード(姿勢)」だったりとか。改めて俺の真髄はなんだって言われた時にANTHEMだって感じた。

 

音楽は自由なんで、「ファッション的にもオシャレだ」とか「純粋にかっこいいだけ」でも全然素晴らしいことだと思ってて。ただ、武道館を終えた後のみんなの声がまさしくそうだったんですけど、俺の音楽は聞いた人が「自分も奮い立って、次に進む勇気になった」「AKの音楽に触れていて良かった」って言われることが真髄なんじゃないかな。

 

「なんでAKがこんなに君臨しているんだ」って思う人もたくさんいると思うんですけど、理由はすごい簡単なことで。誰よりもこのことを考えているだけで、それに対して命を懸けて動いている時間が圧倒的に多いだけ。

■アスリートにも響く楽曲

自分の根底にある「闘争心」、そこを曇らせないことが、強みの一つであると分析するAK。その結果が現れているのか、プロ野球のセ・リーグでは選手の登場曲として最も多く使用されていた。

AK:アスリートの方たちって、「自分と戦っている人」の極みだと思ってて。おこがましいですけど、俺も同じく「自分を甘やかしたり、これでいいや」って思わないので、そういう中で生まれる葛藤とか、苦悩が伝わってるのかな。

 

今年も坂本くんだったり、横浜の筒香(嘉智)くんとか、広島の鈴木誠也くんとかも使ってくれていたり。そんなすごい選手たちが使ってくれて。単純にめっちゃ嬉しいし、光栄ですね(笑)。

 

また、選手やファンに影響を与えるほどの名曲を生み出した時は、「ある感覚」を抱くそう。

AK:歌って不思議なもんで、作っている側でもみんなに響いてる曲が出来た時って自分でめちゃくちゃ感動するんですよ。なんていうんだろうなぁ、あの感覚。

 

自分で鳥肌が立って時には涙が出てくる事もあるんですけど、その時の衝動が聞いた人に伝わっているっていうのは感動的だよね。

 

■AKが掲げる野望

最後に彼が今抱えている目標を尋ねると、将来を見据えた壮大な構想を教えてくれた。

AK:いま日本でこれだけHIP HOPが盛り上がってきてるからこそ、俺がHIP HOPシーンをもっと大きくして、まとめる必要があるかなって…綺麗事を言うつもりはないんですけど。

 

日本ってHIP HOPが業界になっていないんですよ、売れたらJ POPに括られるみたいな。それがすごい不思議で。HIP HOPでもいろんな毛色のやつがいるんですけど、それが一つになるようなものを作っていけたらいいなって思ってますね。それで、俺はその頂点に君臨するジジイになりたいっていう(笑)。

 

ただ、俺たちは何もない吹き溜まりみたいなところから来ているから、お金を持っているやつとか大手レーベルがまとめようとしても、まとまらない。「どうやってまとめるの?」っていうとHIP HOPで成り上がってきた説得力しかないと思うので、ついにそういうことをする時なのかな。「エンパイア(帝国)」を創る……楽するためにね(笑)。

 

自分を高めつつも、常にHIP HOPのシーンを考えているAK。直近では「ロックの畑にも飛び込むことも必要」として、音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』にも出演することが決定している。

今後、彼はどのように日本のHIP HOPを導いてくれるのだろうか、楽しみでならない。


・合わせて読みたい→俳優・中村俊介のヤバすぎる結婚観に女性陣ドン引き 「公然モラハラ」「付き合いきれない」


(取材・文/しらべぇ編集部・木根 大心 取材協力/AK-69

しらべぇ

「アーティスト」をもっと詳しく

「アーティスト」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ