日大アメフト部の田中理事長独裁体制にそっくりな安倍政権

6月30日(土)16時0分 NEWSポストセブン

安倍政権の問題点はどこにあるのか

写真を拡大

 安倍晋三首相による第二次安倍政権は発足から6年目になっている。ところが、成果らしい成果があがっていないと経営コンサルタントの大前研一氏は指摘する。この6年の安倍政権によって、世界における日本はどのような存在になったのか、大前氏が解説する。


 * * *

 以前、日本大学アメリカンフットボール部の「悪質タックル事件」の背景にある田中英壽理事長の独裁体制について指摘した。実は、この田中独裁体制にそっくりなのが安倍晋三政権だ。


 日大では田中理事長の“右腕”だった内田正人前アメフト部監督が人事担当の常務理事(5月30日付で辞任)という実質的なナンバー2として強大な権力を握っていた。このためアメフト部のコーチや選手は内田前監督に全く逆らえなかった。それと同様に安倍一強体制では実質的なナンバー2の菅義偉官房長官が役人の人事権を握っているため、森友学園問題や加計学園問題で“忖度の連鎖”が生まれたのである。


 その結果、野党が麻生太郎副総理兼財務相の辞任を要求するなど強硬に反発して審議拒否を続け、今国会は半月以上も空転したわけだ。森友・加計問題への政府の対応に国民の75%が疑問を抱いているという調査もある。普通では考えられない事態だが、自民党には自浄作用が全く見られない。


 さらに、そもそも今国会で安倍政権は働き方改革関連法案とIR(統合型リゾート)実施法案を最重要課題と位置付けているが、この二つの法案のいったいどこが最重要なのか、私には全く理解できない。


 まず、働き方改革関連法案は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)や同一労働同一賃金の導入が柱で、このうち高プロについて野党が反対している。だが、すでに本連載で指摘してきたように、働き方改革は企業が各々の社内事情に応じて自主的に取り組むべき課題であり、政府が“上から目線”で頭脳労働者にまで縛りをかけるのは経営に対する冒涜にほかならない。


 IR実施法案にいたっては笑止千万だ。カジノを含むIRを全国で最大3か所整備するというが、これは日本進出を目論むラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長が有力支援者であるトランプ米大統領の要望に安倍首相がおもねり、その利権に政治家が群がっているだけの話である。


 つまり、この二つの法案は成立しようがしまいが、国民生活にはほとんど影響がないのである。


 その一方で、いま日本が直面している重要課題は、ことごとく放置されている。なかでも最大の問題は、世界的に見て、様々なシーンで日本の存在感が失われていることである。


 たとえば、世界中が北朝鮮非核化問題とアメリカのイラン核合意離脱問題の行方を注視しており、両国とも日本にとって深い関わりがあるにもかかわらず、安倍政権はアメリカに従属するだけで、国益につながる独自の外交は何も展開できていない。その間に中国は北朝鮮の庇護者として存在感を一段と増し、韓国も米朝間の仲介者として一応の役割を担っている。


 かたや日本は「第8回太平洋・島サミット」を福島県で呑気に開催したぐらいである。安倍首相はロシアに行ってプーチン大統領と21回目の日露首脳会談を行なったが、北方領土返還に向けた実質的な成果はなかった。


 では、いったい安倍首相はこれまで何をやってきたのか? 「憲法改正」、アベノミクス「3本の矢」「新3本の矢」、「物価上昇率2%目標」、「生産性革命」と「人づくり革命」、「地方創生」など、表向きは多種多様なアジェンダ(政策)を打ち出したが、それらは就任6年目に入っていながら何一つ達成できていない。目を覆うばかりの“惨敗”である。しかも、日本の将来にとって重要な近隣諸国との関係改善、高齢化社会、労働力不足、先進国で唯一20年以上も給料が上がっていないといった問題では全く成果が上がっていない。


 歴史が証明しているように、独裁体制は必ず行き詰まる。実際、森友・加計問題をめぐる安倍首相の気色ばんだ強硬な答弁を見ていると、いよいよ正面突破できないとなったら、その時点で辞任する腹づもりではないかと私は睨んでいる。


 安倍首相が早々に退陣したら、その後には何が残るか? それは英語で言うところの「オブリビオン(oblivion=忘却)」のような状況ではないかと思う。安倍政権の6年間に世界で存在感を失った日本は、海外の人々の視界から“消えて”しまうのだ。


※週刊ポスト2018年7月6日号

NEWSポストセブン

「独裁」をもっと詳しく

「独裁」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ