『ポツン』躍進で日曜夜が激変!視聴率上位独占と1時間回帰

6月30日(日)7時0分 NEWSポストセブン

テレビ業界で注目を集める『ポツンと一軒家』(公式HPより)

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 今、テレビ業界で最も注目を集める時間帯は“日曜夜”だという。多くの人気番組がひしめくこの枠が激変しているというのだ。いったい何が起こっているのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。


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 このところ、「『ポツン』が視聴率20%超え」「『イッテQ!』のロケ中にケガ続出」「『いだてん』が最低視聴率更新」「『池の水ぜんぶ抜く』が失速」などと日曜夜のテレビ番組に関するニュースが続いています。


『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)を除くとネガティブな話題が目立つものの、日曜夜の番組は高視聴率がズラリ。先週の視聴率ランキングを見ると、バラエティー番組で『ポツンと一軒家』が20.7%、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)が17.3%、『笑点』(日本テレビ系)が17.0%、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)が14.0%、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)が13.5%、『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)が13.3%と、トップ10のうち6番組を占めています(ビデオリサーチ、関東地区、6月17日〜23日)。


 その他も、情報・教養番組では『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)が13.4%。ドラマでは『集団左遷!!』(TBS系)が13.1%、『日曜プライム・法医学教室の事件ファイルスペシャル』(テレビ朝日系)が11.7%。アニメでは『サザエさん』(フジテレビ系)が11.9%を記録。一週間の中でも、日曜夜の番組が視聴率ランキング上位を席巻しているのです。


◆日テレを追うテレ朝の成功に、フジとTBSが追随


 もともと日曜夜は、日本テレビが『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』、『行列のできる法律相談所』という1時間番組を3つ並べることで成功を収めていました。テレビ朝日、TBS、フジテレビは、日本テレビへの対抗策として「1時間番組を2時間特番として隔週で交互に放送する」という方法を採用していましたが、日本テレビ優位の状況は変わらなかったのです。


 しかし、昨秋スタートのテレビ朝日『ポツンと一軒家』が高視聴率を記録し、それに引っ張られるように前番組の『ナニコレ珍百景』も高水準をキープしていることで、他局が徐々に追随。4月からフジテレビが2時間特番ではなく、『ジャンクSPORTS』、『でんじろうのTHE実験』、『アオハルTV』を1時間ずつ放送するという編成が少しずつ増えているのです。6月に入ると、ついにTBSも2時間特番ではなく、『坂上&指原のつぶれない店』、『消えた天才』、ドラマ『日曜劇場』と1時間〜1時間30分の番組を続けるようになりました。


 これまで2時間特番を乱発しすぎたことで“特別感”がなくなり、視聴習慣がつきにくいため視聴率は低迷。しかしテレビマンたちは、「それでも毎週放送の1時間番組では日テレに歯が立たない」とみてなかなか踏み切れませんでしたが、『ポツンと一軒家』の大成功をきっかけにようやく変わったのです。


 注目すべきは、「日曜以外の曜日では、いまだに多くの2時間特番が放送されている」こと。なぜ民放各局は、日曜だけ1時間番組を放送しているのでしょうか?


◆日曜夜の番組はテレビ局の生命線


 その理由は、現在のテレビ局にとって日曜夜の番組はフラッグシップコンテンツ(局を代表するもの)だから。幅広い年代の視聴者に見てもらうチャンスが最も大きい時間帯であり、視聴率を稼ぐ上での生命線とも言えます。


 ネットの普及をはじめ、エンタメやライフスタイルが多様化したことで、人々が家でじっくりテレビを見る時間が減る中、在宅率の高い日曜夜は最大のチャンス。子どもから大人まで幅広い年代が見やすい番組がそろっているのはそのためであり、視聴者にとっても「1時間単位で見たい番組を選べる」というかつてのわかりやすい状態に戻りました。


 その効果は視聴率にも表れ、日本テレビとテレビ朝日が成果を収めているほか、TBSとフジテレビも以前より上昇。つまり、各局の視聴率争いではなく、テレビ全体の視聴者数や満足度を上げているのです。


 もう1つ大きいのは、日曜夜の番組を成功させれば、他の曜日に新たな挑戦がしやすくなること。一時期、視聴者から「どの曜日も同じような番組ばかり」という批判がヒートアップしていましたが、徐々にオリジナリティのある番組が増え、テレビ本来の魅力である多様性が再び生まれつつあります。


 ただ、テレビ局が戻るべきは、「全ての曜日が毎週1時間の番組になる」という本来の姿。そもそも、わずか数分のネット動画に慣れた人々、特に10〜30代の男女に「2時間超の番組を見続けてほしい」というのは至難の技であり、その意味で日曜夜の変化は「テレビが正しい方向に戻っている」と言えるのです。


 制作費やスケジュールの問題などで、日曜以外の曜日が変わるのは、まだまだ難しいところがありますが、この先2時間特番がほぼ改編期だけになったとき、「きっかけは『ポツンと一軒家』の成功だった」と、その功績が称えられる日が来るかもしれません。


【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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