恋愛よりも相撲を優先する私が「大相撲総選挙はなぜこの結果になったのか?」を暑苦しいほどのラブとパッションをこめて語ってみた!

7月5日(金)7時0分 ニコニコニュース


 年に一度のお祭り企画!
 日刊スポーツ社主催の「大相撲総選挙」。好きな力士を選んで投票し、人気No.1力士を選出するこのイベント。第8回となる今回も、大きな盛り上がりをみせ、過去最高となる、71,671票を集めた。
 第1回〜7回は、19年ぶりの日本人横綱である稀勢の里が圧倒的な人気を見せつけ、過去全ての総選挙で第1位を獲得した。稀勢の里が引退して初めての総選挙となる今回、群雄割拠の時代の幕開けになると筆者は予想していたが、想像を遥かに上回る、前代未聞の大波乱が巻き起こった……!

 この記事では、総選挙でベスト10に入った力士について、そして現在の大相撲について、心ゆくまで語らせて頂いた。7月7日から始まる夏場所を楽しむための材料にしてもらえればと思う。

 筆者は、人生を相撲と共に歩んでいた相撲ファン。3歳で力士に恋に落ち、学生時代は相撲の研究のために相撲部屋に密着し、力士の姿を間近で見てきた。稀勢の里の優勝パレードを観るために、付き合いたての彼氏とのデートをドタキャンしたこともある。 運営しているTwitterのアカウント名(@all_about_sumo)を見れば、どれだけ相撲が筆者の心をとらえているか、分かって頂けるのではないだろうか。
 そんな筆者が、真夏の相撲部屋よりも暑苦しい愛をこめて、大波乱の総選挙を解説する!
 

文 / 篠原利恵(@all_about_sumo)
編集 /金沢俊吾(@shun5ringo)

五月場所は波乱づくし!

 直前に行われた大相撲五月場所を振り返ってみたい。「トランプ場所」とまで言われたこの本場所は、イレギュラーだらけのオモシロ場所だった。

画像提供:日刊スポーツ新聞社

 まず13日目。大関復帰をかけた栃ノ心朝乃山の取り組みの誤審騒動があった。大関復帰をかけた一番だった栃ノ心。悔しさをかみ殺した一礼に、気づけば筆者は栃ノ心の代わりに泣いていた。さらに議論は、大相撲にもビデオ判定の導入を求めるムーブメントにまで発展した。
 14日目には、最高位が前頭5枚目の朝乃山が優勝するという歴史的快挙が達成された。前日の疑惑の判定を払拭する爽やかな優勝。
 千秋楽、アメリカ合衆国のトランプ大統領が観戦したことにより、各メディアで大々的に報道されたことは、相撲ファン以外からも大きな関心を集めることとなった。
 ところで気付いたのだけれど、お相撲さんと比べてみても、トランプ大統領は結構ガタイがいい。ふんどし姿で現れてほしかった。

 そして総選挙も、五月場所のカオスに巻き込まれて、まったく結果が読めない展開になったと思う。

総選挙ベスト10 徹底解説!

 筆者は毎日、律儀に3票のネット投票をすることにしていた。しかし毎日誰に投票するか、悩みに悩んだ。だって、選ぶのなんて無理なのだ。
 単純に見た目が好みの千代丸、人柄が素晴らしく、相撲界の支えとなってほしい鶴竜、これからが期待できる若手の注目株、貴景勝、炎鵬など、好きな力士が多すぎる。みんな違ってみんないい。

 腹を切る思いで、投票前には、このような予想順位をつけていたが、ベスト10は、以下のようになった。

 それでは、10人の力士について、筆者の独断と偏見で解説していきたい。

第10位 朝乃山

 冒頭からなんと! 五月場所の優勝力士がこの位置にきた。優勝したものの、トランプ大統領に話題性を奪われたのだろうか!? 目を疑う順位となった。

 優勝によってメディア露出が増えて実感したのは、朝乃山はとても色白美肌でスベスベしている。それでいて体格は187cm、177kgと立派なところは、横綱白鵬を彷彿とさせる。五月場所では休場していた白鵬との取り組みがなかったが、ぜひ次はこの美肌対決を見てみたい。

画像提供:日刊スポーツ新聞社 第9位 明生

 大卒力士が幕内の過半数を占める昨今。明生は、中学を卒業してすぐに相撲の世界に入った”中卒たたき上げ”でかっこいい。弱冠23歳にして土俵歴8年の底力を見せてくれたのではないだろうか!

 明生の魅力は、その真面目な土俵態度。特に四股がすばらしく、四股の美しさでは阿炎と評価を二分している。待ち時間は座して微動だにせずおとなしくしているにも関わらず、取り組みは激しくやんちゃになるのギャップもかわいい。
 ちなみに両国まで往復3時間の電車を通勤している。もっと人気番付を上げて、電車に乗れなくなるほどになってほしい!

画像提供:日刊スポーツ新聞社 第8位 遠藤

 美しい相撲と容姿で知られる、言わずと知れた人気者がランクインした。遠藤の魅力は、彼の醸し出す「涼しい」感じ。インタビューでは無駄なことは一切しゃべらず、巡業や移動の時も他の力士とつるまない。寡黙で硬派な、クールさがステキ。
 正直なところ暑苦しいイメージのある巨体の力士たちのなかで、遠藤のまわりだけ3度くらい気温が低くなっている気がする。この夏は遠藤の取り組みを見て、暑さを乗り切りたい!

画像提供:日刊スポーツ新聞社 第7位 鶴竜

 総選挙では上位の常連だが、筆者は控えめに10位と予想した。保守的なイメージのある相撲界に、知的で自由な風を吹かせる人格者が評価されたような気がして、このランクアップにはニヤニヤを隠せない。うふふ。

 鶴竜といえば、インテリで語学が堪能、外国人力士の中で一番日本語がうまいと言われている。筆者も稽古を見学しているときに、日経新聞を読む姿を目撃したことがある。
 優勝インタビューでも、「止まっていた時が動いた」「神は耐えられない試練にはあわせない」など数々の名文を残してきたが、ここ1年は優勝がない。そろそろ鶴竜の知的な優勝インタビューが聴きたくてたまらない。

第6位 阿炎

 ここで来ました!
 先年の五月場所では、横綱白鵬を撃破。勝利インタビューで、「お母さんに早く報告したいので帰っていいですか?」という衝撃のインタビューで人気に火がついた。

 寡黙で謙虚が良しとされる相撲の世界で、阿炎はダントツのビックマウス。新入幕披露の会見で、「三賞総なめしたい※」と言い放った力士を、筆者は他に知らない。
 そんな風に相撲に対してリラックスできることが、阿炎の強さの秘訣。次の取り組みを待つ土俵下でさえ笑顔の時がある。そんな「恐ろしい子」の阿炎が、勝って花道を歩くときの、泣き笑い顔をもっと見たい。

※三賞:殊勲賞、敢闘賞、技能賞があり、それぞれ200万円の賞金がある。

第5位 炎鵬

 ありゃ? これは予想外の位置にきた。
 五月場所で新入幕の「ひねり王子」、炎鵬がランクイン。本場所では館内の歓声がひときわ大きく、2位と予想していたが、結果は5位となった。

 幕内力士最軽量にも関わらず、五月場所では多くの名勝負を見せ、「今日は何kg差の力士とあたるのかな?」と毎日楽しみだった。大活躍をみせたものの、結果は負け越し。しかし、直後から兄弟子である白鵬から直々に「かわいがり」をうけ、厳しく鍛えられている。この上ないめっちゃ良い環境だ。これから優勝争いに絡めば、大相撲総選挙でも、もっと上位に食い込むに違いない。

第4位 徳勝龍

 そんなまさか。いや、どうして……。正直、目を疑った。
 徳勝龍というと、話題の力士の相手役として名前をみかけることが多く、人気や知名度が高いイメージがなかった。しかし番付では大関にあたる4位! 1枚5票に換算されるハガキの投票をした熱心なファンが後押しした。niconicoの開票特番でも、西岩親方が「奇跡・・・と言ったら失礼になっちゃうのかなあ」と首をかしげたほど。

 これだけ太い客をつかんでいる徳勝龍の魅力はなんなのか。理由を探るべく筆者は徳勝龍の写真を3分ほど見つめてみた。すると、あることに気がついた。
 江戸時代に描かれた錦絵に出てくる美男力士にそっくりなのである。「ちょんまげ」は江戸時代の庶民のスタンダードなヘアスタイルだが、現代でこんなにも髷が似合う男はいない。徳勝龍を通して、江戸時代にタイムスリップしたような気持ちになれる。
 投票理由も「見た目が一番お相撲さんらしい力士だから」など、古風な顔立ちに言及する声が多かった。大相撲1500年の歴史を感じさせる佇まいが、熱狂的な相撲ファンの心をつかんだに違いない。

画像引用はWikipediaより

 総選挙をきっかけに徳勝龍は、筆者にとって隅におけない力士になった。ノーマークだった力士の新たな魅力に気づくことができることも総選挙の楽しみ方のひとつだと思う。

第3位 栃煌山

 な、な、なんじゃこりゃ! これまたビックリの結果となった。
 「ミスター地味力士」のイメージの栃煌山への投票にも、ひとりで3桁のハガキを送った熱烈なファンがいたという。投票理由にも、「不器用だけど一生懸命まじめに相撲に向き合う姿」「本当に努力し頑張っている人物」など、そのひたむきさを評価する意見が多かった。

 筆者が特に目に焼き付いているのが、平成24年の五月場所。栃煌山が優勝に手をかけた時のことだ。勝ち上がった先の優勝決定戦で、旭天鵬と世紀の平幕対決。
 結果は5秒で敗れ、旭天鵬の史上最年長初優勝に花を添えてしまった。もったいなさすぎる……。しかし、それでも腐ることなく、優勝争いに絡み続けている。
 相撲への向きあい方が評価され、普段注目を集めない力士にもスポットライトがあたる。大相撲総選挙ならではの結果となった。

稀勢の里の現役最後の相手は栃煌山だったのも何かの因縁だろうか。画像提供:日刊スポーツ新聞社 第2位 貴景勝

 もう何が起きても驚かない。筆者の第1位予想の貴景勝は2位となった。ネット、ハガキ、ツイッターと万遍なく票を集め、令和の旗手としてふさわしい結果になったと思う。
 初場所から28場所のスピード出世での大関昇進にも関わらず、さらに上を目指す貴景勝。初参戦の大相撲総選挙でも、第2位という順位の方が似合うのかもしれない。

第1位 妙義龍

 栄えある第1位は……なんと妙義龍!!
 昨年は圏外からの大金星だ。大波乱の大相撲総選挙は、幕引きまで意外な結果となった。

 驚くべきはハガキでの投票。4位の徳勝龍、3位の栃煌山も、ひとりで多くのハガキを出した熱狂的なファンがいたが、妙義龍の場合はそれが複数人いたという。

 妙義龍の魅力は、その「肉体美」にあると筆者は考えている。
 千代の富士を彷彿とさせる筋肉、(相撲の世界では褒め言葉になる)胴長短足の素晴らしいスタイル。かつ手が長い、オラウータンのような姿は、相撲を取るために生まれてきたような理想形だ。
 そして、その肉体をしたたる汗が美しい。新陳代謝が異常に良く、横綱を倒して金星を勝ち取った時のインタビューでは、文字通り滝のように流れる汗が目に入って、もはや涙と区別がつかない。そんな妙義龍を愛してやまない粋なファンの存在が、1位にまで押し上げたのではないだろうか。

 ハガキでの投票で最も多く票を集め、飛ぶ鳥を落とす勢いの貴景勝までも凌駕した。

総選挙を通して感じた、筆者の思う大相撲・力士の魅力

 驚きの連続で語りつくせないほどだった今回の総選挙。朝まで語り明かす相手のいない寂しい筆者にもう少し語らせてほしい。

 稀勢の里なきあとの10人を見回してみると、みんな、コツコツ努力している真面目な力士たちだ。その姿を見逃さないファンたちに、「深く」愛された力士が高い順位に躍り出たのだと思う。3桁にのぼるハガキを出したは人は、1枚1枚丁寧に、それぞれ違う選出理由を書きこんでいたらしい。
 大相撲には古くから、ひいきの力士を応援する「タニマチ」という存在がいて、力士の将来を左右することさえある。今回の総選挙では、ハガキを大量に購入し、愛の込もったコメントを書いた熱狂的なファンが結果を動かした。そんなタニマチ文化の匂いがする結果となった。

 組織票というネガティブな見方もできるが、「特別な縁や財産を持たずとも、推し力士の後押しができる!」という、大相撲の新しい楽しみ方が生まれたような気がしている。

画像提供:日刊スポーツ新聞社

 この結果は、今の相撲界の状況とリンクしているように感じる。本場所ではここ数年、大関以下の力士の「初優勝」が続いている。かつてのように、朝青龍や白鵬といった横綱の連続優勝もなくなった。
 これは大相撲から、「人情」や「空気の読み合い」が廃され、限りなく「ガチンコスポーツ」に近づいているからではないだろうか。怪我で休場する力士が多くなっているのもそのせいだろう。大相撲は今、誰が優勝してもおかしくない、何が起きるかわからないのだ。

 総選挙でも、妙義龍ファンがガチでこの総選挙に挑んだ結果が表れた。幕内力士のすべてに、優勝する可能性があり、1位になる可能性がある。今回投票しなかった人、普段相撲を見ない人も、ぜひこのビックウェーブに乗ってみてほしい。
 お願いだから、今こそ相撲を見て欲しい。

 「推し力士」ができさえすれば、相撲は格段に楽しくなる。取り口、外見、インタビューでの言葉など、理由はなんでもいい。気になる力士をチェックすれば、来年はあなたの票が大相撲総選挙の番付を動かすかもしれない。

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