介護疲れだけでなく貧困のため将来悲観し親を殺害する例も

7月8日(金)16時0分 NEWSポストセブン

介護疲れだけが悲劇の原因ではない(イメージ)

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 ここ数年の間に「介護殺人」が頻発している。昨年11月21日、埼玉県深谷市を流れる利根川で、両親の面倒を見ていた三女(47)が一家心中を図った、“利根川心中”はよく知られる事件だろう。そして、5月10日には東京・町田市で87歳の妻が92歳の夫を絞殺した後、首を吊って自殺した。夫は数年前から認知症の症状が現われ始め、体力が落ちて車椅子なしでは動けない状態だった。さらに今年に入ってから両目の視力もなくなり、認知症が一気に進んでいた。


 夫は介護サービスを受けるのを拒否していたため、妻が献身的に介護していたが、夫の状態が悪化してからは「夜も眠れない」と漏らしていたという。


 夫がようやく介護施設への入所に同意し、手続きがほぼ済んだ矢先に起きた事件だ。妻の遺書には夫に宛てたこんな言葉があった。


「一緒にあの世へ行きましょう。じいじ、苦しかったよね。大変だったよね。かんにん。ばあばも一緒になるからね」


 夫婦は何十年間も愛読していた新聞を、1か月前に「お金がないから」といって辞めていたことから、経済的困窮も一因だった可能性がある。介護疲れの末に殺害し、自らも命を絶ったという点は、今年2月5日に埼玉・小川町で起きた事件にも共通する。


 83歳の夫が自宅で介護していた77歳の妻の首を刃物で刺して殺害。「妻を殺した」と自ら110番した。夫の首にも切り傷があったことから、無理心中を図ったものと見られている。夫は逮捕されたが、約2週間にわたって食事を取ろうとせず、搬送先の病院で亡くなった。


 2015年12月17日には栃木・那須町で、71歳の夫が69歳の妻を殺害。妻は2004年に脳出血の後遺症で寝たきりになり、食事や排泄の世話もすべて夫が行なっていた。さらに妻に認知症が出始めた10年頃からは、「のろま」など暴言を受けるようになり、精神的に追い詰められていたという。


 介護疲れだけでなく、貧しさゆえに将来を悲観し、殺害に至るケースも少なくない。2015年1月17日、千葉・野田市で77歳の妻が72歳の夫を刺殺した事件では、介護施設への入所費用の捻出が引き金となった。


「夫婦は息子家族と同居していたが、夫を介護施設に入れるための費用がなく、自宅を売却しなければならないと考えていた。そのことで息子夫婦との仲が悪化したことも、妻を追い詰めたようだ」(大手紙記者)


 2014年12月には東京・大田区で、77歳の夫に睡眠薬を飲ませ、バットで殴った80歳の妻が殺人未遂容疑で逮捕。事件を招いたのは、無職の長男の存在だった。


「夫の状態が悪化していくことに加え、収入は年金だけなのに無職の長男の金遣いが荒かった。さらに自身の体調も不調だったことから、将来を悲観し、夫を殺して自分も死のうと決意したようです」(同前)


 2015年7月8日に大阪・枚方市で起きた事件では、逆に親を支えていた71歳の息子が92歳の認知症の母を小刀で刺し殺した。息子は大阪地裁での裁判員裁判で、「体にムチ打ってアルバイトをしても、貧困から抜け出せなかった」と、老後破産と老老介護の凄まじい実態を吐露した。


※週刊ポスト2016年7月15日号

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