賞味期限「年月」表示化の理由と「保存料不使用」真の意味

7月13日(土)7時0分 NEWSポストセブン

賞味期限の表示方法切り替えるメーカーも(写真/PIXTA)

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 長引く梅雨。食品の管理がいつも以上に気になる季節。スーパーで買い物をする時は、棚の奥に手を伸ばして、1日でも「賞味期限」の長い食品を選び抜いて購入している人も少なくないだろう。


 しかし、最近はこの賞味期限の期日について、そんなに神経質になる必要はないという認識が広がっている。


 賞味期限の表示は、「CODEX(食品の国際規格)」によって、日本では1985年に導入された。「年月日」で表示されることが一般的だったが、最近は、表示方法の切り替えを行うメーカーが増えている。たとえば、ハウス食品グループは6月18日、賞味期限の表示方法を「年月日」から「年月」に切り替えることを発表し、来年4月から導入する。カルビーのポテトチップスも、今年6月の製造分から順次、「年月」表示に切り替わっている。


 そうした「年月」表示への切り替えは、5年ほど前に、災害備蓄用のペットボトルのミネラルウオーターなどから始まり、最近は加工食品にも広がりつつある。


 その背景にあるのは「食品ロス問題」だ。環境省の調べ(2016年度)によると、日本では年間約2759万トンもの食品廃棄物が発生し、そのうち約643万トンが、まだ食べられる状態であるにもかかわらず廃棄されている。食品学博士で食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんはこう語る。


「スウェーデンの研究者に聞いた話ですが、北欧のある国では、賞味期限を『年月日』でピンポイントに表示するのではなく、大まかな表示に変更したことにより、食品ロスが20%以上削減されたという事例があるそうです。現在は日本でも、賞味期限延長とともに、『年月』表示にする動きがあります。


 もともと日本の法律上、賞味期限が3か月以上先の食品については日付は省略していい決まりなのですが、トレーサビリティーの観点から、日付まで表示することが一般化していました。すでにマヨネーズや袋麺など、以前より賞味期限を延ばし、年月表示に切り替えている食品も増えています」


 トレーサビリティーとは、いつどこの工場で、どの時間帯に作ったかということを、製造の関係者が追跡可能な状態にしておくことをいう。


 食品ロスは、私たち消費者全員が向き合うべき問題であることはわかっているが、やはり安全面は気にかかる。賞味期限が延長されたり、表示があいまいになったことで生じる問題はないのだろうか。


 食品の保存・加工を研究する元東京農業大学教授の徳江千代子さんが、賞味期限の設定方法を解説する。


「賞味期限は、各メーカーが『理化学試験』『微生物試験』『官能試験』の3つを行って決定します。『理化学試験』では、食品の粘りや濁り、pH値(酸性かアルカリ性かを測定する値)や酸化状態などを測定し、『微生物試験』では、菌の数を調べます。『官能試験』は、色やにおい、食感といった五感に訴える部分を調べます。


 その3つの検査をしたうえで、たとえば30日間は問題ないとわかっていても、さらに安全性を高めるため、7〜8割に短くした賞味期限を出します。つまり、30日安全な商品でも、賞味期限は21〜24日程度になる。コンビニのおにぎりなどは、5〜6割と、かなり短く設定されています」


 そうとわかれば、多少、賞味期限が延長されたり、表示方法が変わったりしたことで、不安になる必要はない。しかし一方で、食品ロスをなくすために賞味期限を長くすることに疑問を訴える声もある。食品ジャーナリストの郡司和夫さんは、「賞味期限は短くていい」と話す。


「近くでとれた食材を近くで販売することが、食べ物のあるべき形です。食品が腐らず“長持ち”することが、そもそもおかしい」


 賞味期限は安全の保障である一方で、食品業界のズルさを隠す危険も含んでいるというのだ。


◆「保存料は使っていません」の危険性


 売り文句として、あらゆる食品で見かけるようになった「保存料は使っていません」の一言。


 実際、「保存料」として過去に使われていた添加物の中には、高い発がん性が確認され、使用禁止となっているものも多く、「保存料不使用の方が体にいい」と考えている人もいるのではないだろうか。


 しかし、保存料の代わりに使われている「添加物」が、健康に悪影響を与えていると郡司さんが指摘する。


「最近は保存料や防腐剤に代わって、『pH調整剤』という添加物が使われることが増えました。pH調整剤は保存料のように、細菌など微生物の細胞膜を破壊したり、変質させるのではなく、食品のpHを中性に保つことで腐敗菌などの増殖を抑え、保存効果を高めることができます」


 しかし問題は、あまりにも多くの食品に多量に使われすぎていることだ。たとえば、コンビニのおにぎりや弁当では使われていない商品を見つけることが難しいほどだ。


「pH調整剤は特定の物質を指すのではなく、グリシン、クエン酸、フマル酸、リン酸など複数の添加物を使って作られており、あらゆる雑菌の増殖を防ぎます。よって、pH調整剤を摂りすぎることで、体内にいる善玉菌に対しても同じ作用を起こし、それらの活動を阻害しないとは言い切れないのです」(郡司さん)


 なかでも、風味や色合いを維持する「リン酸」は、骨粗しょう症につながる危険性が指摘されている。リン酸はpH調整剤だけでなく、「調味料(アミノ酸等)」の「等」に含まれることもある。“リン酸隠し”は巧みに行われているが、個別で表示する義務がないため消費者にはわからない。


 そのほか、長期保存を目的に使われている添加物で代表的なのは、野菜ジュースなどにも入っている「ビタミンC」だ。「ビタミンCは健康にいいから入っている」というのは誤解で、本当の目的は賞味期限を長くするため。


 生の野菜が日持ちしないのに比べ、野菜ジュースが数か月から、長いものでは2年ほども日持ちするのは、高温殺菌による保存以上に、添加物による効果が大きいのだ。


「野菜ジュースなどには、酸化防止剤として『アスコルビン酸』という合成のビタミンCが入っています。それは天然のビタミンCとはまったく別物で、生活習慣病の原因となる活性酸素を発生させます」(郡司さん)


 添加物のリスクを心配せず野菜ジュースを選ぶなら、「トマトジュース」がおすすめだと徳江さんが言う。


「トマトジュースはもともとpH値が低く微生物が繁殖しにくいため、酸化防止剤が使われていることが少ない。酸味の強い食品は、添加物を使わなくても長持ちするものが多いのです」


 商品を選ぶ時は、賞味期限の表示とともに、添加物の有無を忘れずチェックしたい。


※女性セブン2019年7月25日号

NEWSポストセブン

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