棒演技とベタベタ演出、突然のエアギター『せいせいするほど、愛してる』は尋常じゃないコントドラマ!!

7月14日(木)0時0分 messy

 7月12日にスタートした夏ドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)。原作は北川みゆき御大の少女マンガだが、東京のキラキラしたエリアでキラキラした人間模様が交差する不倫ドラマに仕上がっている模様だ。90分スペシャルで放送した初回の視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。

 無難な視聴率はともかくとして、イチ視聴者として「ヤバイドラマが始まってしまった」と度肝を抜かれた。原作が少女漫画なので非現実的(そもそもドラマなんてすべてフィクションだし)なストーリーや偶然の多用はいいとして、あまりにベタベタすぎる演出と登場人物“全員”の棒演技、中でも7年ぶりの民放連ドラ主演、しかも恋愛ドラマは超久々と煽りまくられていた滝沢秀明は「こんなに変な男だったっけ……?」と思わず目をコスってしまうほどだった。

 主演の武井咲は25歳のOL・未亜(ティファニージャパンの広報部勤務)という設定で、友人である大手出版社の文芸編集者・あかり(水沢エレナ)、ファッション誌の表紙を飾るモデル・千明(トリンドル玲奈)と3人で、かなり広く家賃の高そうな部屋(たぶん山手線の内側で3LDK)をシェアしている。お堅い真面目女のあかりと、金持ちのイケメンに目がないヤリマン千明というキャラ設定がまずテンプレすぎてゲンナリ。

 未亜の勤めるティファニー広報部も「仕事出来る」感のある女性社員は皆無で、いわゆる「バカそうなスイーツ(笑)」のイメージを具現化しただけだし、女性部長に至っては外資系の企業でこのパワハラ上司は即解雇だろうと思わせる描かれ方。で、その広報部に、現社長(松平健)の甥で副社長の海里(滝沢秀明)が3カ月間限定の研修を受ける名目でやってくる。もちろん指導担当は未亜。ソッコーで恋の気配。ただし、原作では恋に落ちてから海里が既婚者であることを未亜が知って逡巡するのだが、ドラマ版では最初から既婚者前提で、「不倫なんて絶対ダメよ」と未亜は拒みまくる。まさにダチョウ倶楽部の「押すなよ、絶対押すなよ」パターンで、「ダメよ、いけないわ」と言いながらヤッちゃうわけである。



 びっくりしたのが、未亜と海里の出会いのシーン、つまり海里の登場シーンなのだが、「こんなに小さい人でしたっけ?」と目を疑うレベルのちんちくりん。公称身長が169cmらしいので実際は162cm程度だろうか。淡い青のジャケットとパンツが不気味さをいっそう引き立てていた。失礼ながら32歳設定の副社長にはとても見えない。実年齢は34歳だけど貫禄ゼロ。年齢不詳。演技は言うに及ばず……。かわいい年下の高校生役ならあれでいいのだろうが、何度も言うけど「アメリカ帰りの有能な副社長」には見えない。前クールのドラマで社長役をやった嵐・大野智も似たようなものだったけれど、あれはコメディだから多分大丈夫。こっちは全力でカッコつけてるのに笑ってしまう出来だからヤバいのだ。

 ほかの出演者も軒並み演劇部未満学芸会以上という惨状で、トレーダーで小説家でイケメンという設定の男(トリちゃんが即ハメ)を演じた歌舞伎役者の中村隼人がとりわけひどかった。ちなみにこっちはまだ役者の実年齢が22歳なのだが、役どころは27歳。こっちももう年齢不詳。あえて“キモい男”を演じているとしたら秀逸だ。登場した瞬間は「尾上松也、ちょっと見ないうちにキモさ軽減したのかな?」と思ったが、歌舞伎役者違いだった。

 “キモい男”といえば、未亜にプロポーズを断られてストーカー化した元カレも、もちろん気持ち悪い。というより、壁に隠れて背後から未亜を凝視するなどベタベタなストーカー演出しかできない演出家がひどいのかもしれないが。セキュリティばっちりのハズの高層オフィスビルに、ストーカー男が容易に忍び込んでエレベーターにまで乗り込んでしまうのもただ白けるばかりだ。絶対に不要なのに登場した横沢夏子とGENKINGにはもはや触れたくもない。一瞬だけ鈴木奈々もいたが、これは本当にごく一瞬でフェイドアウトしたのでまだいい。

 棒演技とキモ男のみならず、セリフのすべてがベッタベタで薄く、人間という生き物の複雑さゼロ。このドラマ、ひとつも「ドラマとして」良いところがない。強いて言うなら、ドレスアップした武井咲が綺麗だということくらいだ。

「エア」である理由は?

 さて、第一話の山場が、ラストの長回しキスシーンではなく、中盤の「タッキーエアギター」であったことだけは、全視聴者異論がないところだろう。未亜にマノロブラニクの靴(お高いやつだ)を贈ったものの突き返されてしまい、「奥さんがいるのにテキトーなことするのはやめて」と言い放たれた海里は、超高級マンションと思しき内装の自宅に戻って、唐突にエアギターをはじめる。同時刻、やはりモヤモヤした気持ちを抱えて退社したであろう未亜はカラオケボックスでブルーハーツを熱唱する。交互に流れるカラオケとエアギター。リビングテーブルの上に尻から乗っかって、ブリッジ状態で全身全霊のタッキーエアギター。これが冗談でやってるんじゃなく、「こういう夜は俺はエアギター鳴らすってキメてるんで」と真面目な顔で言いそうなほど本気モードなのだ。毎週エアギターの可能性すらある。普通にギターをかき鳴らすんじゃダメだったのか? マンションの防音の関係? そんなとこだけリアリティ出されても……。



 さて、エアギターの後もだらだら物語は続き、とりあえずラストでストーカー男から未亜を守った海里は「こいつは俺のものだーーーー!!!!」と絶叫、二人は熱いキス。展開が早いようにも思えるが、いやいや90分、地獄のように長かった。第二話では海里を蹴落とそうとするライバル会社の男(中村蒼)が登場したり、最終回までいろいろと障害が立ちはだかるんだろう。ちなみに海里は既婚者だが、妻は病院で寝たきり状態という設定。今にも死にそうなその妻の役が、“愛人キャラ”でお馴染み橋本マナミ。このドラマ、徹底してギャグなのだ。たぶんスタッフは金をかけたコントを作りたかったんだと思う。

 そんなコント番組に全面的に協力しちゃったティファニーアンドカンパニージャパンインクさん、本当に良かったんだろうか。正直、この作品を全話観たところでティファニーだのマノロブラニクだのを「欲しい!(キラキラ)」なんて熱望する人は増加しないだろうし、へたしたらブランド価値を下げるだけのような気さえするが。第二話の予告では東京湾上をクルージング中の様子も見られ、キラキラ輝く夏の恋、金持ちで若い美男美女、素敵、憧れちゃうッと言わせたいのかもしれないが、やっぱりギャグにしか見えない。素晴らしいのは主題歌の「薔薇のように咲いて 桜のように散って」。歌は松田聖子、作詞・作曲・編曲はYOSHIKIである。浜崎あゆみが歌っててもたぶん違和感がない。
(犬咲マコト)

messy

「ドラマ」をもっと詳しく

「ドラマ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ