韓国のTWICEになぜ日本の女子は夢中になったのか

7月15日(日)7時0分 NEWSポストセブン

日本市場でも予見された成功(Top Photo/時事通信フォト)

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 日本の中高生や大学生など若い女の子たちは今、とにかくK-POPのガールズグループが好きらしい。というふんわりした噂をきいて気にはなるものの、どこが好きなのか聞くに聞けない。そんな奥ゆかしい大人のために、K-POPのガールズグループ(GG)のディープなウォッチャーでもあるライターのまつど☆たまきが、日本の女子中高生はなぜTWICEの「TTダンス」に夢中なのかについて、やさしく解説する。


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 年々華やいでいく十代の娘さんの成長を、ときに気を揉み、ときに目を細めて見守るのは、21世紀の過保護な親世代の密かな楽しみでありましょう。そんな彼女たちが愛して止まない、韓国K-POPアイドルグループ「TWICE」をご存知でしょうか。


 そういえばとCMで懐かしの故・西城秀樹さん(R.I.P)の『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』をキラキラ衣装でカバーしている9人組の少女を思い出す方もあるかもしれませんね。なかなかGJです。でも油断は禁物。「ああ、アレAKBじゃないんだ」なんて口走ろうものなら、愛する娘さんたちはあっという間にソッポを向き、次のお誕生日プレゼントのおねだりまで口を聞いてもらえなくなります。すっかり世のヒット曲にも疎くなった皆さんが愛される親の座を死守できるよう、今やJK、JCたちの憧れの的となったTWICEについて5分(?)で理解できるようサクッと紹介してまいりたいと思います。


 おそらく大半の皆さんがTWICEの名前を知ったのは、昨年末のNHK紅白歌合戦出場あたりが初めてだったのではないでしょうか。あそこで披露された目の下に両手の人差し指と親指でT字を作って絵文字の涙目風に揺らす「TTポーズ」は、彼女たちの最大のヒット曲『TT』のキメのポーズです(ココ大事)。


 TWICE世代の少女たちにとって、スクールカースト上位間違い無しのイケてる彼女たちがプッシュする、インスタ映えするカワイイ決めポーズや、最新ファッションは当然憧れの的。『TT』はハイティーンのちょっと背伸びした恋心を、キュートに歌い上げるキラキラでドリーミーな曲であり、子供の頃から馴染んだネットジャーゴンを織り交ぜることで、強烈に「自分たちの世代のモデル」であることを主張してきます。


 これまでの日本のアイドルはどちらかと言えば男性ファンの愛着の対象であり、その視線は常に"推し"を応援してくれるファンへの感謝に振り向けられてきました。いわばそれはリアル版の「アイドルマスター」(※プレイヤーがプロデューサーになりアイドルを育てるゲーム)の世界であり、「私達」十代の少女はその視野にありませんでした。


 ところが、韓国から来たこの9人のキラキラ少女たちは、キメキメのダンスと高い歌唱力を備え、自信に溢れたガールズライフを送る自立した「カッコカワイイ」ヒロインを演じます──同世代少女の憧れとして、恋と日常を切り開いていく「生インスタ」の中の人、いわば「リアル・プリキュア」なわけです。そんな今までになかった新しいアイドルの世界観に、日本の十代はすっかりハートを鷲掴みにされてしまったというわけです。


 日本の十代がどれだけ夢中になっているかは、彼女たちのリアル(現実)であるスマホの中、たとえばSNSをのぞくと、すぐにわかります。「TTポーズ」写真や、振り付けを真似て「踊ってみた」動画がたくさん見つかります。K-POPのGGはSNSに写真や動画を積極的に出していますが、なかでもTWICEの韓国向けInstagramは1日に何枚も新しい写真が更新されるので人気です。その写真に「いいね」をつけ、「かわいい!」「大好き」というコメントを日本の少女たちが日本語、英語、韓国語と多言語で書き込んでいます。韓国語でカラオケを歌えるほどになっている女の子も珍しくありません。


◆TWICEはK-POPガールズグループ第4世代


 K-POPにおけるガールズグループ(GG)には、1990年代後半の勃興期から数えて大まかに四つの世代に分かれると言われています。2010年代に日本でも大ヒットを記録した少女時代KARAなどが記憶にあると思いますが、彼女たちが世界にK-POPを知らしめることになったGG第2世代にあたります。


 その後肌の露出やダンスの際どさを増して男性ファンの視線を釘付けにしたAOAやSISTAR、EXIDらセクシー系のグループは第3世代。そして、TWICEや日本上陸でもそのライバルとなるべく切磋琢磨しているヒップホップ派のBLACKPINK、清純派GFRIEND、『BBoom BBoom』の大ヒットで突如急浮上したMOMOLANDなど昨今新たなK-POPブームの機運を盛り上げてきているのが第4世代にあたります。


 それ以前のお姉さんグループとTWICEら第4世代の最も大きな違いは何かといえば、支持層の変化です。それまでの第3世代はセクシー派であって二十代男性中心のファン層をキープしていました。対抗勢力として存在したのも「清純派」と呼ばれるApinkやLOVELYZら日本でもおなじみのスタイルであるブリッコポップ勢でしたから、やはり男性ファンの支持がチャートを動かしていたわけです。アイドル界はなんといっても十代少女の独壇場であったにもかかわらず、その熱意はずっと男性グループにだけ注がれていたわけです。


 2015年前後からリアルタイムで同世代少女たちのライフスタイルを反映し、共感を得る新しい傾向のグループとして登場したのがTWICEら第4世代です。テレビ番組『SIXTEEN』で過酷なオーディションを経て選抜されたTWICEは、デビュー前の段階で多くのファンから共感を得ていました。デビューミニアルバム『THE STORY BEGINS』からの活動曲(K-POP用語で「シングルカット曲」)の『Like OOH-AHH』は、「みんな私のことをほっといてくれないの。可愛すぎるからよね」と高飛車に切り出す歌詞で始まります。それまでの世代が持っていた男性への媚びや遠慮を吹き飛ばす強烈な爆弾として打ち込まれました。


 男尊女卑がまだまだ支配的な韓国社会では、声高に女性が権利を主張することは歓迎されません。しかし、あたまでっかちな権利や平等を唄うのではなく、"カワイイは正義!"を全面に押し出した勝ち気でなおかつキュートなTWICEのハジけた歌声とダンスは、少女たちが抱えていた鬱屈を吹き飛ばす応援歌……いや大げさに言えば革命のテーマソングとしてシーンに響き渡ったのです。同世代少女の憧れと期待を全身に引き受けてTWICEの快進撃が始まります。この破竹の勢いは「少女による少女のための少女革命」と呼ぶべき、K-POPの新局面を切り開くものだったと思います。


 さて韓国内であっと間に不動のトップを奪取したTWICEですが、2017年には早速次の大きな目標が掲げられます──それが日本市場の開拓でした。


◆日本を目指すK-POP


 そもそも韓国音楽市場は決して大きくありません。日本レコード協会の発表によれば、2017年の音楽売上を比較すると、卸価格ベースで韓国は4億9400万ドル(約550億円)、日本は27億2700万ドル(約3000億円)。だから韓国の芸能事務所は、より大きな市場である日本での成功を夢見て、わざわざ楽曲を日本語に吹き替えたバージョンや、日本オリジナルの楽曲をレコーディングし、コンサートやメディアインタビューなどの対応に備えて日本語会話のレッスンを怠りません。「日活」(日本活動)と呼ばれるこの市場の制覇を大きな目標として掲げているほどなのです。


 実際、男性グループではドームツアーを展開するBIGBANGや東方神起、BTS(防弾少年団)やCNBLUEなどが稼ぎ頭として日本市場を席巻していますが、女子は10年前の第一期K-POPブームの頃に売れた少女時代やKARA以降、これと言った成功例がありませんでした。ですから、デビュー一年で韓国内トップとなったTWICEが日本市場突破の尖兵に挙げられるのは当然のことです。


 TWICEの日本市場での成功が予見されていたのは、単に彼女たちの勢いが凄かったからだけではありません。9人のメンバーの中には3人の日本人メンバー(モモ〈平井もも〉、ミナ〈名井南〉、サナ〈湊崎紗夏〉)が含まれており、その構成の三分の一が既にジャパニーズグループであるという有利な条件があったからです。特にメインダンサーを務めるモモの切れ味鋭いダンスは、修練度の高いK-POPグループの中でも異彩を放つ存在感があります。また美貌が売りのサナは映画レビューサイトTC Candler制定の「2017世界で最も美しい顔100人」で21位にランクインするなど、キラキラ少女軍団9人の核として多くのファンの支持を得ていたのです。台湾出身の美形メンバー・ツウィも含めて、広くアジア各国にアピールできるメンバーを揃えたTWICEは、実はデビュー当初から日本進出を噂されるほどの国際グループでもあったわけです。


 来日時には、日本人の三人が日本語MCとして多く表に立ちます。兵庫出身のミナ、京都出身のモモ、大阪出身のサナと、三人が全員、関西出身者ということもあって、K-POPアーティストのインタビューであるにもかかわらず関西弁が飛び交う不思議な"バイリンガル"状況が展開されるのも、またTWICEの隠れた魅力の一つと言えましょう。


 さて、今後のTWICEの国内での活動ですが、今年の夏も8月1日(水)公開の映画『センセイ君主』のテーマソング『I WANT YOU BACK』を担当する事になっており、主演の竹内涼真とのコラボダンスビデオは、公開から半月で130万再生超える大注目のMVになっています。(すでに500万回も超えていますし、映画のヒットを後押ししてくれる、化け物じみた宣伝力と言えるでしょう)


 ちなみにこの曲は故マイケル・ジャクソンがかつて所属したジャクソン5の名曲のカバーで、高音部の張りや声量を求められる難曲──早い話がそうそう簡単にクリアできる曲ではありません。にもかかわらず、キュートなダンスと共に、英語原曲を見事に歌いこなしてみせるメインボーカルのジヒョ、ジョンヨンらのポテンシャルの高さは尋常なものではないと言えるでしょう。


 もしかしたら、もう既に彼女たちの視線の彼方には、現在K-POP男性グループBTSが米ビルボードアルバムチャートトップ5入りの大活躍をしているように、アメリカの市場がうっすら見え始めているのかもしれません。

NEWSポストセブン

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