フランソワ・オゾン、仏版『スポットライト』に込めた意義明かす『グレース・オブ・ゴッド』

2020年7月17日(金)14時0分 シネマカフェ

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(C)2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS-France 2 CINEMA-PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE 

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ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したフランソワ・オゾン監督最新作『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』が7月17日(金)より全国公開。この度、フランソワ・オゾン監督の貴重なインタビュー映像が解禁となった。



「実在の関係者にあって映画化の意思を伝えると、最初に出た言葉は『フランス版“スポットライト”』だ」とオゾン監督は語る。

「きっかけは偶然だった。男性のもろさを描く作品を描きたい」と思っていた監督は、「題材を探す中でロビー団体のサイトを見つけた。多くの証言の中にアレクサンドル(本作の主人公)のものもあった。カトリック教徒の彼は幼少期に自分に性的虐待し、未だ活動を続ける神父を告発したという。連絡をとって彼に会うと大量の資料を見せてくれた。すぐに事件に引き込まれたよ」と当時をふり返る。


現実の出来事に最大限に忠実であろうとしたオゾン監督は、「リアリティを重視して、語り手が変わっていく構成になっている。まずアレクサンドルが沈黙を破り、教会に訴える。フランソワが引き継ぎ、記者会見を開きメディアに訴える。そして3人目が法的手段に訴える。3人の話が次から次へと切り替わることで、連鎖反応が起こり、ドミノ効果が生まれる」と、人々が連携していく姿を描きたかったという意図を明らかにした。


最後に、「本作を作った目的は問題提起だ。ある質問で終わることで人々に考えてもらい、物事を変える議論をしてもらいたい。小児異性愛や性的虐待にある沈黙の掟を変えてもらいたい」と本作への強い想いを語り、締めくくったオゾン監督。


フランスでは連日テレビやラジオで報道され、誰もが知る「プレナ神父事件」を基にした本作は、公開されるやいなや91万人を動員する大ヒットとなった。オゾン監督は実際にあった事件のあらましだけではなく、その内部に観客を導き、心揺さぶるヒューマンドラマとして魂を吹き込む。最後に映し出された男性たちの瞳の中にある、監督からの鋭い問いかけと深いメッセージを劇場で確かめてほしい。


『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』は7月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。

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