CMクイーンにマツコ 美輪明宏という先人の人柄と別格感

7月18日(月)7時0分 NEWSポストセブン

2016上半期タレントCM起用社数ランキング1位に輝いたマツコ

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 日本モニターが7月7日に発表した「2016上半期タレントCM起用社数ランキング」で、男性部門は嵐・相葉雅紀(33)が12社で1位となり、女性部門はマツコ・デラックス(43)が12社で1位となった。マツコが「女性」枠に入っているわけだが、この結果を見ると現在のCM界ではマツコのような女装家も明確に受け入れられているといえよう。


 CMタレントのキャスティングを考える大手広告代理店社員は、いわゆる「女装家」や「オネエタレント」がスポンサーからも視聴者からも受け入れられている理由をこう語る。


「我々も当然好感度調査を行います。女装家やオネエキャラに対する世間の好感度は高い。理由は『正論を言うので信頼感がある』という点がまず一つ。CMは商品の信頼性を見せる必要があるので、この要素は大きいです。あとは、『男女両方を狙いたい商品に合う』点があります。中性的なところがあるため、幅広いターゲットに訴求できるのです」


 こうした女装家が受け入れられる土壌を作った第一人者といえば、美輪明宏(81)だろう。2010年12月2日号の女性セブンには以下の記述がある。


〈自身もゲイで、15年以上前から講演や執筆活動を行い、同性愛者たちの相談受付をしている伊藤悟さんは、美輪の存在をこう語る。「まさに日本のゲイの世界のパイオニア。同性が好きだと公言した日本で最初の芸能人でした」


 しかし、男にしてバッチリと化粧をする美しい美輪の登場に世間は戸惑った。初めは注目が集まったものの、次第に「男らしくない」と非難の声が強くなっていった。化け物扱いされ、美輪は見も知らぬ人から石を投げつけられたこともあったという。〉


 このように先駆者となったものの、差別を受けていた過去があったのだ。前出広告代理店社員は語る。


「芸能人の出演する場として、より高い好感度が必要な順番を挙げると『劇場』→『雑誌』→『ラジオ』→『新聞』→『テレビ番組』となります。そして、最後が『CM』です。それだけCM出演は好感度が重要になる」


 現在、美輪はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のCMに出演中。城や湖など、雄大なテーマエリアを空撮し、黄色い髪の毛の美輪が城を臨む姿を後ろから撮影。「世界一の、別世界へ。」のコピーとともに美輪が「すっごーい」と感嘆する内容だ。


 これを観た視聴者からは「USJのハリーポッターのCMが美輪明宏さんなのがやけにしっくりする。なぜか心が落ち着いた」「いま、USJのCM見たんですが… 美輪明宏さん、ハリポタのキャラの一人ですと言われても違和感ないなぁ…」などとツイッターに書かれ、その世界観とマッチしたと評価されているようだ。


◆美輪は社長になった男性を「坊や」とハグしてくれた


 2012年のNHK紅白歌合戦では、かつて「放送禁止曲」となった『ヨイトマケの唄』を美輪が歌い、その圧倒的存在感で視聴率45.4%を記録。若い世代からも絶賛の声が相次いだ。美輪は歌手・役者としての顔のほか、『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日系)では、様々な苦労を乗り越えてきた人生の達人としての姿を見せていた。


 そんな美輪の人物像にほれ込む人も数多い。美輪は年に1〜2回、演劇及び音楽の公演のため新潟県新潟市を訪れている。となれば、サイン入り著書などの販売も行うが、かつてはその販売を書店「北光社」が担当していた。同社は2010年をもって営業を終了したが、それまで美輪と10年ほどの付き合いがあった同社元従業員で、現在は新潟市の「北書店」店長を務める佐藤雄一さんは美輪のサイン本を引き続き扱わせてもらえることとなった。


「毎回楽屋でサインをいただくんですが、僕にとってはとてつもない思い出ですけど、美輪さんは特に認識されてないんじゃないかなあ(笑)」(佐藤さん)


 そして佐藤さんはこう続ける。


「僕が『北光社』の店員だった時代から美輪さんの本を扱わせていただきました。2010年に自分で『北書店』を始めたのですが、それからもパルコ主宰の美輪さんのイベントに関連して、サイン本の販売を引き継げたのは本当にありがたいことです。


 その2010年の秋、音楽会で新潟にいらっしゃった時のことです。サインをもらうために楽屋へ行ったら、マネージャーさんが美輪さんに、『彼はこれまでの店員としてではなく、社長として来てるんですよ』と言ってくださいました。僕も『去年まで美輪さんにお世話になった店が今はなくなって、今は自分でやってるんですよ』と言いました。


 すると美輪さんは『リハ(の時間)はまだかしら?』と言い、まだ時間があることが分かると『それでは私は坊やのご祝儀にもう少し付き合いますよ』と言ってくれました。当時『坊や』なんて呼ばれてましたね。36歳だったんですけどね……。そして、『北書店』の佐藤としての名刺をお渡ししたのです。


 美輪さんは『まぁまぁなんじゃないの? 商売なんとかやれるわよ』と言ってくれましたが嬉しかったですねえ。そりゃあ、一書店員として美輪さんとお会いするのと、店主としてお会いするのは違います。間もなく本番、というタイミングまで美輪さんはサインをし続けてくれ、最後ハグしてくれて『絶対大丈夫よあなた』と言ってくれました。そんなやり取りの直後に『ヨイトマケの唄』を生で聴くなんて、そりゃもう感無量ですよ。特別な思い出ですね」


 また、新宿二丁目に通い始めてから約20年という同性愛者の男性・A氏は美輪についてこう語る。


「別格という感じがしますよね。経歴とかもそうですし、シャンソン喫茶店『銀巴里』で歌手を務めたり『麗人』と言われていたことや、歌で身を立てていたところなども。マツコさんとかは『異形の人扱い』でもすっかり受け入れられましたが、昔は美輪さんだけが特別枠として許されていたような気がします。


 美輪さんはDHCとか、化粧品のCMにも出た人。やっぱりパイオニアというよりは、伝説みたいな感じですよね。世間の女装家やゲイを受け入れる空気は段階的に上がってきています。今、女装家の市民権が許されるようになった背景には、もちろん海外のドラァグクイーンブームは影響しているでしょう。でも、美輪さんがいなかったら、多分こういう時代になるのはあと10年〜20年先だったと思う」


 不倫騒動を起こしたベッキーが軒並みCM契約を降ろされただけに、CMとはもっともタレント好感度が重要視されるもの。マツコがトップに立つ時代の素地を作った美輪は、こうして多くの人から称賛を受け続けている。



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