藤井聡太七段が17歳に 最年少タイトル記録までのタイムリミットは……

7月19日(金)9時30分 文春オンライン

 本日(2019年7月19日)は藤井聡太七段の17回目の誕生日である。これまで300名を超える棋士が誕生しているが、17歳の誕生日を迎えた時点で棋士になっていた(=四段昇段を果たした)のは藤井を含めても15名しかいない。そして17歳までに七段へ昇っていたのは藤井のみだ。


 藤井の出世の速さが改めてわかるというものだが、では他の棋士はどのような17歳だったのかという点を合わせて見ていきたい。



藤井聡太七段 ©文藝春秋


タイトル保持者も17歳の時点では三段リーグで奮戦中だった


 現在の藤井の立ち位置はと見ると、段位=七段、竜王戦=4組(来期3組以上が確定)、順位戦=C級1組、棋戦優勝3回(朝日杯2、新人王1)となる。


 そして、まず現在のタイトルホルダーが17歳を迎えた時点でどうだったかというと、


豊島将之名人・王位(2007年4月30日に17歳)

段位=四段、竜王戦=不参加(半年後に6組に初参加)、順位戦=C級2組


広瀬章人竜王(2004年1月18日に17歳)

段位=三段、四段昇段は2005年4月


渡辺明棋王・王将・棋聖(2001年4月23日に17歳)

段位=四段、竜王戦=6組、順位戦=C級2組


永瀬拓矢叡王(2009年9月5日に17歳)

段位=三段(ただし17歳の誕生日を迎えた時点で10月1日付での四段昇段は確定していた)


斎藤慎太郎王座(2010年4月21日に17歳)

段位=三段、四段昇段は2012年4月1日


 となる。タイトルを獲得できる棋士でも17歳の時点ではまだ三段リーグで奮戦中だったことがわかる。四段昇段を果たしていた2名も、棋戦優勝の実績を残すにはもう少しの時を必要とした。



谷川浩司羽生善治らが17歳だったときは……


 続いて永世称号有資格者はとみると——。


木村義雄十四世名人(1922年2月21日に17歳)

段位=五段


塚田正夫名誉十段(1931年8月2日に17歳)

段位=三段、四段昇段は1932年1月1日


升田幸三実力制第四代名人(1935年3月21日に17歳)

段位=二段、四段昇段は1936年4月


大山康晴十五世名人(1940年3月13日に17歳)

段位=四段


米長邦雄永世棋聖(1960年6月10日に17歳)

段位=二段、四段昇段は1963年4月1日


中原誠十六世名人(1964年9月2日に17歳)

段位=三段、四段昇段は1965年10月1日


谷川浩司九段(1979年4月6日に17歳)

段位=五段、順位戦=C級1組、棋戦優勝1(若獅子戦)


羽生善治九段(1987年9月27日に17歳)

段位=四段、順位戦=C級2組、棋戦優勝1(若獅子戦)


佐藤康光九段(1986年10月1日に17歳)

段位=二段、四段昇段は1987年3月25日


森内俊之九段(1987年10月10日に17歳)

段位=四段、順位戦=C級2組



 順位戦の制度が確立したのは戦後まもなくであり、また森内が17歳になった1ヵ月後に第1期の竜王戦が始まっている。そして大山十五世名人以前の記録は戦前ということもあり、現在とは状況が違い過ぎるので一概に比較はできないが、17歳時点での藤井は歴代の名棋士と比較しても実績では一頭地を抜いていると言ってよいだろう。


 なお藤井が棋戦優勝を果たす以前に最年少棋戦優勝経験者だった加藤一二三九段の17歳時点(1957年1月1日)をみると、段位=六段、順位戦=B級2組、棋戦優勝1(六、五、四段戦)となる。



次なる期待はタイトル挑戦・獲得の年少記録更新


 17歳を迎えた藤井にかかる期待といえば、なんといってもタイトル挑戦・獲得の年少記録更新だろう。こちらの記録はいずれも屋敷伸之九段(1972年1月18日生まれ)が保持している。挑戦は第55期棋聖戦で1989年12月12日に17歳10ヵ月24日で、獲得は第56期棋聖戦で1990年8月1日に18歳6ヵ月14日でそれぞれ達成した。


 藤井にとってタイトル挑戦の最年少記録を更新するタイムリミットは、2020年6月11日までに開幕局が行われるタイトル戦となるが、それに間に合う可能性があるのは今年の10月に番勝負が始まる竜王戦、来年1月の王将戦、4月の叡王戦、6月の棋聖戦である(ただし、棋聖戦の開幕局が6月11日までに行われた場合。今年は6月4日に第1局が行われ、ここ10年以内では2011年の6月11日を除くと、すべて6月上旬に第1局が指されている)。


リミットまで残されたチャンスはそう多くない


 そしてタイトル獲得最年少のリミットは上記の棋戦に加えて、来年7月に始まる王位戦、9月の王座戦、10月の竜王戦となる。それほど残された数は多くない。


 誕生日前日に行われた大阪王将杯王将戦2次予選では、公式戦では初対戦となったA級棋士・佐藤康光九段を破り、初の「挑戦者決定リーグ入り」まであと2勝と迫った。次戦では中村太地七段と対局する。


 そして、本日から4日後の7月23日には、関西将棋会館で竜王戦決勝トーナメントの豊島将之名人—藤井聡太七段戦が行われる。勝者がベスト4入りを果たす一局だ。藤井は豊島名人を破っても、準決勝で渡辺明三冠戦、そして挑戦者決定三番勝負が控えているため、挑戦そして奪取への道のりはまだ長いが、まずはこの大一番に注目したい。



(相崎 修司)

文春オンライン

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