新宿歌舞伎町のぼったくり店 想像を超える進化を遂げていた

7月23日(木)16時0分 NEWSポストセブン

 今春、警視庁による東京・歌舞伎町のぼったくりキャバクラの摘発が相次いだ。街は浄化されたという声も聞こえるが、本当に今は安全に飲めるのか。ボーナス支給直後の本誌記者が体当たり取材を敢行したところ、ぼったくり店は我々の想像を超える進化を遂げていた。


 元々、手口はどの店もほぼ同じだった。客引きが「60分のセット料金が4000円ポッキリ」などと言葉巧みに客を誘うが、ホステスのドリンク代が1杯8000円、チャージが1人9万円などというセット料金以外の名目で料金を吊り上げる。


 警察を呼んでも「民事不介入」といって取り合ってくれないため、店側の法外な請求がまかり通っていた。その手口の巧みさによって、最終的には「あまりに高い授業料」となってしまったのだった。


 記者が入店したのは、「60分4000円」というお決まりのフレーズで誘う客引きに案内された雑居ビルの6階にある『G』という店。席に着くと、女性を品定めしたい衝動を抑えて以下の項目をチェックした。


・女性のドリンクの値段

 1杯5000円以上ならセット料金に含まれるハウスボトルを飲んでもらう。


・テーブルチャージ

 別途かかるなら店を出る。


・メニュー表

 都が定めたぼったくり防止条例によれば、料金は客が見える場所に提示しなければならない。メニュー表の値段設定をくまなくチェックしたが、とくに不審な点はなかった。あとはホステスたちの「ドリンクおねだり」をどう拒むかだ。


 記者の隣に座った24歳の女性に白ワインを飲みたいといわれたが断わり、ハウスボトルの焼酎を飲むよう促すと、明らかに怪訝そうな表情を見せた。


 次に着いた女性にも同様に振る舞うと、「酔うとエッチしたくなる」「飲ませてくれたら、アフター(営業終了後に客と飲食などに付き合うこと)に行くよ」と男心をくすぐってきた。


 それでも断わり続けると、女性はほとんど口を開かなくなり、居心地が悪くなってきた。全く楽しめなかったので、30分が過ぎた頃、会計をお願いした。すると──。


 店長を名乗る男性が持ってきたのは、何と15万円超の会計伝票だった。明細には〈入会金10万円〉とある。もちろん「聞いてないぞ!」と抵抗したが、店長は「入店時に伝えている。録音もある」という。


 彼がポケットから取り出したICレコーダーには、記者が入店し店員に案内される音声の中に、「入会金はお一人10万円になります」という店員の声が確かに入っていた。まったく聞き覚えがないので、記者に聞こえないようにICレコーダーに吹き込んだのだろう。


「条例では事前に料金を提示しなければならない」と指摘すると、「お客様の目の前にあるじゃないですか」とメニュー表を指さした。黒革の厚いそのメニュー表は強力な磁石で貼りつけられた二枚式で、開くと入会金と、消費税を含めると48%(!)にもなる各種チャージ料が書かれていた。


 だが、払うわけにはいかない。「これは詐欺だ」と記者が主張すると、奥のバックヤードに来るよう促された。店長は態度を変え、記者の携帯電話を奪い、免許証の住所をメモすると、こうまくし立てたのである。


「お前が払わなければ親族に払ってもらう。実家まで取り立てるぞ、ゴルァ!」


 もう限界だった。入店から2時間が経過した頃、「本当にカネがない」と懇願すると、チャージ料だけ値引きしてくれた。結局11万円ほどを支払って解放された。


 店を出る頃、店内に客は一人もいなかった。


※週刊ポスト2015年7月31日号

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