ゲームは下手くそなのに……YouTubeで人気再燃、狩野英孝の“人たらし” の才能

7月25日(土)18時0分 文春オンライン

狩野英孝のゲーム配信(ゲームをプレイする生放送)がバズっている。


 YouTubeチャンネル「狩野英孝【公式チャンネル】EIKO!GO!!」の登録者数は37万人を超え(2020年7月21日時点)、ゲーム配信動画には1万人を超える視聴者が集まる。テレビでひっぱりだこの芸人狩野が更なる飛躍の場所をYouTubeに見出した。



狩野英孝 ©️getty


 狩野の真骨頂はリアクションだ。


 1人のプレイヤーが“キラー”、他のプレイヤーが“サバイバー”になって鬼ごっこを繰り広げるサバイバルゲーム「デッドバイデイライト」の配信では、ゲームの展開に右往左往しながら、驚き、慄き、独特のセンスでリアクションを繰り広げる。


 バラエティー番組のひな壇や街ブラから、霧が立ち込める山小屋での命がけの鬼ごっこへと舞台がかわっても、底抜けに明るい狩野のキャラクターは健在である。


ゲーム配信に活路を見出す芸人たち


 コロナ禍によって多くの芸人がテレビ・イベントの仕事を失った。自宅待機を余儀なくされた芸人たちは、“おうちコンテンツ”の制作に熱意を注ぎはじめた。なかでもゲーム配信は人気だ。


 ゲーム配信はテレビ番組のロケと同じようなものである。説明しよう。


 ロケは、与えられたさまざまなシチュエーションに出演者がボケたり、ツッコんだり、リアクションをしたりして、視聴者を楽しませる。ゲーム配信も同じで、ゲームの世界で起こるさまざまな出来事にボケたり、ツッコんだり、リアクションをしたりすることで、コンテンツを作り上げていく。


「ゲーム配信は芸人に向いている」とふんだ芸能事務所は新しいジャンルの仕事への口利きを始めた。吉本興業は動画配信サービス「Mildom」と提携し、所属芸人が日替わりでゲーム配信を行う「吉本自宅ゲーム部」を開始。ほかにも、“おうちコンテンツ”のためにYouTubeチャンネルを開設した芸人たちがこぞってゲーム配信に参入している。


 そのなかで頭角を現してきたのが狩野だ。


ゲームはうまくないのに……輝く“人たらし” の才能


 今年4月の「デッドバイデイライト」の配信で、コントローラーの不具合でキャラクターが勝手に動いてしまい「勝手に斧振らないで」と嘆く様がSNSで拡散してトレンドワードにあがったことで、人気に火が付いた。


 配信のハイライト動画がYouTubeにアップロードされているので、未見の方は一度ご覧頂きたい。ゲームをプレイしたことがなくても、狩野の多彩なリアクションだけで楽しめるはずだ。


 


 狩野の人気の秘密は、独特なセンスで繰り広げられるリアクションに加え、視聴者に対して胸襟を開いて会話する “人たらし”の才能といえる。


 なので、“ありのままの自分”をさらけ出して視聴者と仲良くなるという能力が要請される。自分の芸だけではなく、自分自身を好きになってもらうことで、配信者に「少しでも長く観ていたい」と思わせなければならない。


 狩野はこの能力に異常にたけている。


 ゲームがうまくないため(失礼)、視聴者の多くがアドバイスのためにコメントを投稿する。そのコメントを読み、ゲームに挑戦し、失敗し、また視聴者に問いかける。このプロセスが繰り返されることで、視聴者は知らず知らずのうちに狩野の世界に巻き込まれていく。


 カッコつけているのに、ちょっと抜けている。いつも前向きで、茶目っ気がある。


 38歳児の生まれ持ったカリスマ性にゲーム配信ファンが気づいてしまった。


レギュラーがなくても、冠がなくても


 少し前までは“ありのままの自分”をさらけ出して視聴者と仲良くなるというのは、テレビやラジオ番組で活躍できる人気芸人だけの特権だった。


 他の大多数の芸人は、露出の機会は与えられず、たまの番組に出演する機会があれば、“作り上げたキャラクター”を演じることに全力投球をする。番組の空気を悪くしないよう、編集でカットされないよう、神経を張り詰めながら。


 視聴者に“ありのままの自分”を知ってもらい、ファンになってもらうためには、レギュラー番組、冠番組を獲得して露出機会を増やすしかないが、そういった番組に抜擢されるためにはまずは人気者にならなければならない。


 人気があるから表に出るのか、表に出るから人気があるのか。


 YouTubeは人気者になるための条件を均等化したのだ。どんな芸人でも冠チャンネルを持つことはできる。そして、ゲーム配信(やさまざまな形の生放送)を通じてファンとコミュニケーションができる。


 狩野は全国ネットの地上波で冠番組やレギュラー番組を持っているわけではない。芸人ヒエラルキーの頂きに到達している人ではない。


 しかし、ゲーム配信という場所で輝き始めた。(全国ネットの地上波に)レギュラー番組や冠番組がなくても、ファンとの関係を構築する方法を見つけ出したのだ。


 狩野の配信者としての成功は多くの芸人に認知されているはずだし、「この手があったか」という希望を与えてもいるだろう。


 ゲーム配信は芸人にとっては新しい活躍の舞台だ。


 次のスターは、M-1グランプリでもなく、おもしろ荘でもなく、ゲーム配信から生まれるかもしれない。


(但木 一真)

文春オンライン

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