【インタビュー】犬飼貴丈、攻めた役から正統派まで…“表現者”としての挑戦
2021年7月30日(金)7時45分 シネマカフェ
新たな面が引き出されたラップシーン
——本作の台本を初めて読んでみた感想はいかがでしたか?
こんなにも攻めた内容で大丈夫なのかなと不安になりましたが、これをそのまま表現できたら面白くなりそうだなと思いました。鈴木おさむさんの脚本、小林監督の演出、そしてABEMAが掛け合わさったからこそ出来たことだと思います。
——本作の出演を通して、自分の新たな面が引き出されたところはありましたか?
初挑戦のラップシーンですね。しかも今だから言えるんですけど、前日に監督から「ここは変えよう」という指示が入ったりしてかなり大変でした(笑)。般若さんの前でそんな付け焼き刃のラップを披露して怒られないかなぁ〜と緊張しましたし怖かったですね(笑)。
——ラップはどうやって練習されたんですか?
ラッパーのSAMさんが指導に入って下さりました。台本のラップを音に乗せて音源として送って下さって、それを聴きながら練習しました。
——今回演じられた口山はお酒を飲む前後でかなり人格が変わる役柄だったと思いますが、その変化感はどう表現されましたか?
お酒を飲むと別人格になる役柄なので、飲酒前の内向的な元のキャラクターと完全に切り離して飲酒後は“全くの別人”として見えるように演じました。
——犬飼さん自身と今回演じられた口山は何か共通点はありましたか?
自分も元々はお酒が弱かったので、そこは似ていますね。ただ、自分はお酒を飲んでもあまり変わらないので取り乱したりすることはないです。
——ラップシーン以外で撮影中印象深いエピソードはありましたか?
「アルハラは辞めましょう」というメッセージも込められた作品ながら、現場ではノンアルコールビールは結構飲みましたね(笑)。
——特にここが見どころというシーンはありますか?
最後に般若さんと一対一でラップバトルのような展開になるんですが、般若さんは敢えて“ラップっぽくなく”やられていて。そのハズし感が物語の中でスパイスになっていてエッジが効いているなぁと思います。本業ラッパーの方がラップをしない贅沢さと、それなのに俳優がラップをやっているっていう歪さが作風にも合っているかなと感じます。
“職業:表現者”として「王道・正統派な役柄も」
——今回の攻めた役柄もとても魅力的でしたが、今後演じられたいのはどんな役柄でしょうか?
恋愛ドラマでキラキラした役をやったことがなくて。ジュノンボーイなんですけどね(笑)。こういう攻めた役柄だけじゃなくて、「王道・正統派」な役柄もやっておかないと、エッジが効いた役柄ばかり極めすぎたらもう戻れない気がしてちょっと心配しています(笑)。
YouTubeなど発信する場所が増えたので、 「職業:表現者 犬飼貴丈」としてもっと活動していきたいです。
——最後に、本作をどんな方に観ていただきたいか、作品の見どころと一緒に教えてください。
自分がラップという新たなことに挑戦しているのでそこを観てもらいたいのはもちろんですが、作品に携わった全員の前のめりさが作品のテーマや狂気度とマッチしていて、「人間の業」が露わになるところも見どころだと思います。
まだお酒を飲んだことがない10代の方には“お酒って飲み方を間違えるとこんな風になってしまうんだ”ってことと“こんな環境もあるんだなぁ”っていう怖さを知ってもらえると思います。実際に飲酒をする方にとってはお酒との付き合い方についての啓発にも繋がるかと思います。
ただ恐怖を与えるだけでなくエンターテインメントとして昇華されていることにこの作品の意義があると思うので、そこは楽しんでもらいたいです。