「マンガ図書館Z」で“合法的な海賊版サイト”の実証実験 第三者からも素材受け付け収益配分
2018年8月1日(水)13時43分 BIGLOBEニュース編集部
漫画家の赤松健氏が会長を務めるJコミックテラスは1日、電子書籍を無料公開する新たな仕組みについて記者会見を開き、同日から1年間の予定で実証実験を開始すると発表した。
Jコミックテラスは、絶版になった漫画や出版社の許諾を得た漫画などを無料で公開し、広告収益を著作者に還元する電子書籍サイト「マンガ図書館Z」を運営している。実証実験では、これをベースに新たな仕組みを付与。社会問題となっている海賊版サイトとは、正しく収益を分配するという点で性質が全く異なるとしている。
記者会見では発案者である赤松氏が登壇し、実証実験の詳細やパートナーとなる出版社を発表。実業之日本社と提携することを明らかにした。今回の実証実験では、同社の過去の作品のうち、現在は紙・電子ともに販売されていないものを収集する。これまでと異なるのは、権利者である作家本人からだけではなく、第三者からも素材の提供を受け付ける点。提供者も収益の一部をインセンティブとして受け取ることができる。これにより、作者にとってメリットがない作品の流通防止に貢献できるとしている。収集対象は、漫画作品だけではなく定期雑誌とムックを除く書籍全般で、4358名の作家の8871冊を募集する。
「漫画村」などの海賊版サイトは、近年急激に利用者が増加。日本漫画家協会が2月に海賊版サイトを利用しないよう呼びかける声明を発表し、政府も、悪質な海賊版サイトとして「漫画村」「Anitube(アニチューブ)」「MioMio(ミオミオ)」を挙げ、アクセス遮断を容認するなど社会問題に発展している。