GLAY「JUST FINE」の発音のドメスティック感がたまらない——近田春夫の考えるヒット

8月3日(土)17時0分 文春オンライン

『JUST FINE』(GLAY)/『ぬくもり』(THE BEAT GARDEN)




絵=安斎肇


 最近このページではLUNA SEAにBUCK-TICKと、ビジュアル系の大御所(ビッグネーム)の最新作を立て続けに聴く機会があって、私はそれぞれを違う角度から楽しむことが出来た。


 さて、GLAYにはどんな角度の眺めがよろしいのか……。早速響き渡るギターが、俺の胸にハードロック黎明期の情景などを蘇らせてくれる。


 あれは60年代も終わりのころだったか? 当時の米英“スーパーグループ”ブームの洗礼を受け、我が国でも負けじと結成されたのが、沢田研二に萩原健一のツインボーカルを擁するPYGだった。彼らはよくステージでDeep Purpleの『Bloodsucker』といったハードロックナンバーを披露してくれたものだ。実は私はそこで初めて“ギターとベースのユニゾンによるリフ”の、技巧に裏打ちされた表現の魅力なども知ったわけだったのだが、そういった一種“様式美”ともいえるもののもたらす官能性が、この『JUST FINE』のイントロの部分にもしっかりと備わっていた。


 しかし歌に入ると、そのいわば“ブリティッシュ調”の様相も一変する。そこには和製フォーク的色合いの濃い旋律/和声の応酬! が待っていたからだ。ただ、GLAYの音楽を愛してやまない人たちにとっては、そうした作り/構造こそがたまらないものなのに違いない、ということもまた楽曲を聴きながら容易に想像も出来たのではあるが、まさしくその快感(多分)が“歌謡ロック”の真髄ともいうべきものなのだろう。



JUST FINE/GLAY(ポニーキャニオン)同グループ57枚目のシングル「G4・V−Democracy 2019-」収録。メンバーのTAKUROによる作詞作曲。


 今回久しぶりにGLAYを耳にし、あらためて強く思ったなによりはそのことだった。


 ところで、世間では歌謡ロックともロック歌謡ともいうが、二者の間には、定義/厳密な線引きなどはあるのか? そこは難しい。まぁ「歌謡曲的な要素を持つロック、ロックテイストを盛り込んだ歌謡曲」といったあたりのところに落ち着くことにもなるのだろうが(ちなみに映画音楽と音楽映画というのはまったく違うので念のため)、こうした問題は誰がジャッジをするのかでも答は変わってくる。ややこしい。今日はこの辺で話をやめておこう。


 ただひとこと。俺がこの楽曲を“ロック”だと断じたのは、ギターの音の故であった。理屈ではない。申し訳ないが、主観(フィジカルにイカす! ということかな)である。


 一方、歌謡曲的要素? だが、今回、聴いていて、とにかく強く残ったことがあった。


 それはタイトルにもなった、「JUST FINE」のアクセントである。こういった横文字歌詞の場合jpopでは可能な限り英語っぽくするのが通例だというに、ここではスマホでおなじみ“ライン”と同じイントネーションなのである。この「ファイン」には本当にたまらないドメスティック感がある(笑)。どうか皆々様、騙されたと思って是非ともコレ検索してみてくだされや!



ぬくもり/THE BEAT GARDEN(ユニバーサル)2016年にメジャーデビューした若手グループ。本作で8枚目のシングル。


 THE BEAT GARDEN。


 GLAYの強い泥臭さの前ではちょっと存在も霞むかもね。



ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト〜世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。




(近田 春夫/週刊文春 2019年7月25日号)

文春オンライン

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