巧妙な「保存料」の罠 「発酵風味料」と表記されることも

8月5日(月)7時0分 NEWSポストセブン

保存料、防腐剤「不使用」記載の巧妙な罠とは?(写真/PIXTA)

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 7月中旬、国産ドライフルーツ製造メーカーの一部商品から、基準値を超える「ソルビン酸」が検出されたことがわかった。ソルビン酸とは「保存料」の一種だ。メーカーが「食べても健康への影響はない」と発表し、自主回収を行ったことは大きなニュースにはなっていないが、食品ジャーナリストの郡司和夫さんは「とんでもない話だ」とあきれる。


「ソルビン酸は厚生労働省が使用基準量を設定。基準量以下なら人の健康を損なう心配がないとされます。逆に考えれば、基準値を超えた量は健康を損なう恐れがあるということ。そもそも、ソルビン酸を使用すること自体に危険性が指摘されているのに、基準値をオーバーするなんて、ありえません」


 一方、スーパーの食品売り場でよく見かけるのは、「保存料は使っていません」「防腐剤不使用」と大きく書かれた食品だ。保存料を使っている商品と比べ、「体によさそうだ」と、手に取ってしまうのが消費者の心理というもの。だが、こうした安心感を与える表示の裏側には、危険な落とし穴があった。


◆「保存料」を「発酵風味料」「発酵調味料」とごまかしている


 東京都福祉保健局の公式ホームページを見ると、よく使われる保存料として、安息香酸、安息香酸ナトリウム、しらこたん白抽出物、プロピオン酸、ポリリジンなどが挙げられている。


 今回、ドライフルーツで基準値を超えて使われていた「ソルビン酸」も、同じく保存料の一種であり、カビや細菌の発生を抑えて、食品の保存性を高めるために使われている。


 ちなみに、「保存料」と「防腐剤」は同様の意味で使われることが多いが、食品添加物を意味する時は、「保存料」と表示するのがルールだ。商品の「原材料名」欄には、「保存料(ソルビン酸)」などと記載されることが多い。


 郡司さんは、ソルビン酸の「発がん性」を問題視する。


「動物実験では、肝臓肥大、成長抑制、染色体異常を引き起こすことなどが報告されています。さらに、添加物には『相乗毒性』といって、別の物質が組み合わさると毒性を持つケースもある。たとえば、ハムやソーセージには、ソルビン酸に加えて、肉の色をよく見せるために発色剤『亜硝酸ナトリウム』が使われることが多い。ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが混ざると、発がん性物質ができることは世界的に有名な話です」


 食品評論家で、『コンビニ&スーパーの食品添加物は死も招く』(マガジンランド)などの著書がある小薮浩二郎さんはこう話す。


「ソルビン酸は、水に溶けにくいがアルコールには溶けやすいという性質がある。ソルビン酸が多く含まれているのは、かまぼこやちくわなどの練り製品です。つまり、お酒のつまみに練り製品を食べると、アルコールにソルビン酸が溶ける。溶けた物質が、どのように体内に吸収されるのか、影響があるのか、危険性の有無は、まだ実証されていません」


 ただし、そうした保存料の危険性は、知ってさえいれば、「原材料名」表示をチェックして、口に入れなければいいだけともいえる。


 食品保存料のもっと重大な問題は、保存料の目的で使われている添加物でも、「保存料」と表示されない、“ステルス保存料”というべき成分があることだ。そうなると、表示をチェックしても避けることができない。


 その1つが「ナイシン」という添加物だ。


「ナイシンは乳酸菌が作り出す抗生物質です。抗生物質は菌や細胞を殺すものですから、医療で使うのが大原則。ですが、バクテリアの増殖を抑える効果があるので、食品に使うことも認められています。


 しかし、大きな問題は、原材料名に『保存料(ナイシン)』と書くと印象がよくないので、『発酵風味料』『発酵調味料』と表記するケースがあることです。このような場合には、そもそもナイシンを保存料として表示する義務がないんです。乳酸菌を使って培養した『発酵風味料』はほかにもあるので、そう表示されると、ナイシンが入っているかどうかはわからなくなる」(小薮さん)


 体に及ぼす影響は、ソルビン酸より重大だとされる。


「ナイシンはほかの添加物に比べて扱いが厳しい。食品安全委員会の発表では、1日の許容摂取量はソルビン酸が体重1kgあたり25gに対し、ナイシンは0.13mgです。そのくらい、微量でも体への影響が大きいとされ、使用が制限されている物質です。


 食品からナイシンを摂取しすぎると、食品に含まれている耐性菌が体内に入ってしまい、本当に抗生物質が必要になった時に効かなくなってしまう恐れがあると指摘されています」(小薮さん)


 郡司さんも言う。


「発酵調味料は日持ちをよくするので主に弁当や総菜類に使われていますが、問題のない調味料が使われているケースもあれば、抗生物質のような薬材の可能性もある。『発酵調味料』と書かれていても、正体が何なのかはわからないのです」


「発酵」と聞くと体にいいイメージを抱いてしまうが、それこそが罠。思いがけない危険が潜んでいることを覚えておきたい。


※女性セブン2019年8月15日号

NEWSポストセブン

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