疲弊しないPTAの改革成功例、運営者公募やOB・OG活用も

8月5日(月)16時0分 NEWSポストセブン

「役員決め」は入学式が終わった後、そのまま行われることも少なくない(写真/PIXTA)

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 教師の労働時間削減のための対策について、タレントの若槻千夏(35才)が批判的な意見をしたことが大きな問題になっている。教師不足の現状に、出演したテレビ番組で「金八先生見たでしょ? ビジネス化しちゃダメでしょ、そこは」と語ったところ、教師の過重労働を理解していない、と批判されたのだ。そんな中、PTA(Parent-Teacher Association)とは、本来「親と先生」の組織であるが、「親のせい」「先生のせい」という意識が強くなっているのも、PTAがうまく機能していない証拠ではないだろうか。


 親と先生が疲弊せず、「子供たちのため」にできるPTAのあるべき姿とは──。改革に成功した学校の例を見てみよう。


 東京都大田区の区立嶺町小学校は2014年度からPTAの全活動を「手上げ方式」と呼ばれる完全ボランティア制に変更し、PTAという名称をやめて「PTO」(OはOrganization“団体”の意味)と呼ぶことにした。Aは「組織」を意味する。


 埼玉県草加市ではPTAの代わりに地域住民と学校、保護者で作る会費ゼロの「学校応援団」を設置する活動が進んでいる。そんななか、2017年度にPTA改革に踏み切ったのが福岡県北九州市門司区の区立柳西中学校だ。


 当時、PTA会長として改革に挑んだ吉村利啓さん(46才)は、次男の中学校入学式後の光景が忘れられないと語る。


「入学式が終わり、生徒たちが教室へ戻っていくと、体育館の扉が閉められ、PTA委員会の選出が始まった。1時間経っても決まらず、泣き出す保護者までいた。“ここまでしてやらなければならないPTAってなんだろう”と驚き、無理をせず、やりたい人がやれるPTAにしようと決意しました」(吉村さん)


 翌年、PTA会長になった吉村さんは、「できる人が、できる時に、できることを、そして無理しない」をスローガンに掲げ、ほかの役員や学校、地域の協力のもと会則も全面改正するといった改革を推進。役員決めを撤廃し、1年限定でPTAを運営する「ワンイヤー・ボランティア」を公募した。初年度に集まったボランティアは25人と、前年度の役員から減少したが、その人数でできる活動に絞った。


「昭和の“荒れる学校”の名残で、運動会などのイベントでは保護者が警備を行う慣習が残っていましたが、民間会社に委託することにしました。単に楽をするのではなく、それで生まれた時間と目を子供たちに向けてほしいと考えました」(吉村さん)


 任期を終えた後も、後任に丸投げするのではなく「準会員」として吉村さんやそのほかのOB・OGがサポートする。


「多くの親は自分の子供が卒業すると地域の子供に目が向きにくくなりますが、私たちはこの地で暮らす以上、将来を担う地域の子供たちにかかわるべきではないでしょうか」(吉村さん)


 PTA組織は、日本PTA全国協議会を頂点とし、各都道府県の連合、市や町の連合と細分化されていく。東京都小学校PTA協議会に属す都内の学校が2〜3割程度なのに対し、地方の学校はほぼ100%が県の連合に属しているといわれている。


 そういった事情もあり、都心と比べ、地方のPTAは旧体制を守ろうとする意識が強いのかもしれない。


「必ずしもすべてのPTAを改革することを勧めるわけではありません。児童数が少なく、PTA役員が全児童の名前を知っているようなアットホームな学校は、強制するまでもなく、自然と地域が子供たちを気にかけるので、うまく回っていることも多いのです。子供たち目線で一緒に学校や地域のことを考えようと思ったら、生徒会とかかわり、子供たちにこんなPTAがあると知ってもらえるよう向き合うことも大切です」(吉村さん)


※女性セブン2019年8月15日号

NEWSポストセブン

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