マキタスポーツ「〈芸能〉の世界が、不要不急の場になるなんて」大根仁×マキタスポーツ×清水ミチコ【前編】

8月8日(土)12時0分 婦人公論.jp


右から大根仁さん、清水ミチコさん、マキタスポーツさん(撮影:大河内禎)

集まることを禁じられ、仕事のスタイルが変わった方は多いでしょう。芸能も、その影響を大きく受けた世界のひとつです。慣れない生活様式のなかで働かざるをえないまま、清水ミチコさんが大根仁さん、マキタスポーツさんと語り合う、日々の気づきとは(撮影=大河内禎)

* * * * * * *

腰を据えて観返した作品


大根 観てますよ、清水さんのYouTube。野上照代さんのモノマネが最高で……。

清水 わー! 誰も知らないと思ってたからうれしい。ありがとうございます。

マキタ 僕はまだ観てないなあ。

清水 黒澤明監督の記録係として有名な方なんだけど、あの人のモノマネを披露しないまま死ぬのは心残りで。(笑)

大根 意味なく圧が強いんですよね(笑)。三船敏郎さんのことを「ミフネ」って呼び捨てしたりして。それにしても、清水さんの目のつけどころにはびっくりしました。

マキタ ミチコさんって、人気が出ようが出まいが関係なく、自分のツボに入った人のマネをし続ける周期が時々やってきますよね。

清水 「瀬戸内寂聴期」とか「フジコ・ヘミング期」とかね。

マキタ 自分がやりたくてやってるだけだから、量のバランスを考えずにその人ばっかりやるし。

清水 野上照代さんも、「誰?」「わかりません」っていうコメントをけっこうもらった(笑)。でもおかげさまで、私の気は済みました。

大根 あれはいいですよ。もっと磨きをかけてください。

清水 私、しばらく映画館で映画を観てないんですけど、大根さんのお仕事はコロナ禍の影響が大きいんじゃないですか?

大根 ここ2年は大河ドラマ『いだてん』をみっちりやっていたので、今年は準備の期間だったんですよ。来年に向けての映画やドラマの脚本を書いたり、企画を立てたり。あとはアニメの仕事だったりして、仕事上の影響はそこまで大きくなかったですね。

清水 監督の仕事ってひとつひとつのタームがすごく長いんだ。

大根 タイプによりますね。僕は自分で取材もするし、ホンも書くので。企画の立ち上がりから始めると、どうしても長くなっちゃう。

マキタ こういう機会だから、懐かしの作品を観返したりしてませんか。僕は最近、『北の国から』を娘と一緒に観てて。

大根 連ドラのほう? やっぱり丸太小屋が焼けるまでが一番いいんだよね。

マキタ 娘が、「バカだねぇ、この人たちは」って言うんですよ。

清水 教育によさそうだ。私は『東京ラブストーリー』を観てたよ。

マキタ 織田裕二・鈴木保奈美版のほう? どうしたんですか、そんな恋愛ものを観るなんて。

清水 前から一度観てみたいとは思ってたんだけど、腰を据えて一気に観る機会がなかなかなくて。

大根 なんか3人とも共通してるなあ。僕は『101回目のプロポーズ』(笑)。めちゃくちゃ面白かった。あれはおすすめです。「浅野温子」が、僕たちの思ってた以上の「浅野温子」なんですよ。モノマネのさらにその先をいってた。(笑)

マキタ 森進一さんも、いろいろな人にモノマネされているのを見ると、「さすがにこんな森進一はいない」って思うんだけど、本物の「おふくろさん」を聴くと、「ああ、まだ誰も本人を追い越してなかった」ってわかるんですよね。

清水 こうしてオンデマンドでいろいろなものが観られるなんて、いい時代がきてるよね。スペイン風邪やペストのときとか、みんなどうやって過ごしてたんだろう。

「逃げ切れるかな?」とはいかなかった


マキタ 昭和生まれの僕たちですが、戦争こそ知らないものの、けっこうなことを体験してきましたよね。

清水 わかる。子どもの頃は家電でもなんでも新しいものがどんどん家にやってきて、大人になったら世界中が幸せになるイメージしかなかったもの。

マキタ バブル期もある意味すごい世界でしたけど、平成に入ると阪神大震災があって、地下鉄サリン事件があって、アメリカ同時多発テロがあって、東日本大震災が起きて。令和を迎えたと思ったらこのコロナ禍で……。

大根 いわゆる平和ボケのノンポリ世代は、このまま何事もなく老後を迎えて「逃げ切れるかな?」と思ってた節があったのに、そうもいかないんだって思い知らされることになりましたよね。

マキタ 経済における大打撃も大きいですけど、自分たちが働く「芸能」の世界が、まさか不要不急の場になるなんて思ってもいなかったですから。

清水 どんな災害が起きても、これまでは「エンターテインメントの力」が合言葉だったのに。

マキタ 僕の場合、単独ライブと、はじめての挑戦だった舞台『母を逃がす』が中止になったんです。

清水 うわー、舞台出演に懸ける練習量を考えると、あのエネルギーがゼロになってしまうって、すごいストレスだろうね。

マキタ そう思った? でも僕、稽古に3回しか出てないところで舞台中止が決まったんで。(笑)

清水 もう、ドラマがないなあ。

マキタ 中止の報を粛々と受け止めましたよ。全体的にこれからっていう稽古序盤だったので、「あんなに稽古したのに!」みたいな思いは出てこなかったですね。

大根 でも、かなり長尺の舞台だったでしょう。セリフは?

マキタ 単独ライブが決行できるかどうかの問題を直前まで抱えてて、数日遅れで参加したんです。でもホン持ってうろうろしてるのは僕だけで、このままじゃまずいと思って頑張って覚えたら、その次の稽古から中止に。そこがまあ、唯一涙が出るとこですかね。

清水 演劇界は打撃が大きそうだ。

マキタ 一口に「配信の手段がある」と言っても、コンテンツとして向き不向きがありますからね。たとえば落語であれば、ある程度鑑賞に耐えうる芸能であることがもともとわかってますけど、演劇とか音楽とか、醍醐味が半減しちゃうじゃないですか。

大根 音楽業界もかなり厳しいと思いますよ。ここ15年くらいでどんどんCDが売れなくなって、いまの業界にとっては、フェスを含めたライブが主要な収入源だったわけです。グッズも売れるし。それがすべて断たれてしまった。

マキタ そういう状況下で、演劇で言えば、各出演者がZoomを通して戯曲を読んだ「『12人の優しい日本人』を読む会」。あのアイデアには感動しましたね。

清水 三谷(幸喜)さんの?

大根 そう。朗読劇に仕立てたものなんだけど、さすがにクオリティが高かった。

マキタ 知恵を絞れば、まだいろいろな可能性があるんでしょうね。

シンプルなカレーがいまは一番好き


清水 SNSでバトンが回ってくる「〇〇リレー」っていうの、やった?

マキタ 僕は「#うたつなぎ」と、「#カレーリレー」っていうのだけやりました。「うたつなぎ」は自分の仕事と直結しているので楽しくやりましたけど、「カレーリレー」のほうは、普段からカレーが好きだって公言してるもんだから、「期待しています」なんて言われているうちに熱が冷めてきちゃって。結局レトルトを載せました。

清水 マキタさんがレトルト食べてるとこ見せられても……。(笑)

マキタ だってカレー食うのは好きだけど、別に作るのはそんな好きじゃねぇし。一周回って、シンプルなカレーがいまは一番好き。

大根 言ってたもんね、こないだ。「タッパーで食いたい」って。

マキタ なんすか、それ(笑)。なんでカレーをタッパーで食わなきゃなんないんですか。

大根 あれ、タッパーに入った白飯にカレーかけて食いたいって言ってなかったっけ?

マキタ それ、僕じゃないですよ。そこまで、いろんなことめんどくさくなってないですよ。『dancyu』の特集にもないでしょう、「カレーはタッパーで食おう」とか。

大根 でもタッパーでチンして食べると、意外とうまいんだよ。

清水 あははは。それ、タッパーで食べるのがいいんじゃなくて、単に中身がおいしいんだよ。

マキタ 大根さん、ロケとかやりすぎですよ。あったかいだけでうれしくなっちゃってるんだから。

大根 僕は友達がほとんどいないので、SNSのリレーは本当になにもまわってこなかったなあ。

マキタ よく言いますよ。ここでは話せないようなゴキゲンな友達がいっぱいいるじゃないですか。

昭恵夫人は、自分のことを朝ドラの主人公だと思ってる


清水 ほかにも、星野源さんの「うちで踊ろう」に合わせて、楽しくコラボした人もいたよね。

マキタ 僕はダメでした。自意識が邪魔して、星野源さんにストレートに乗っかれなくて。

清水 ちょっとわかる。星野さんの人気に乗っかろうとしてるように見えたらどうしようとか、ね。安倍総理くらい気楽に乗れたらよかったのかな。

大根 彼はあの動画を上げて、どうなると思ったんだろうね。

清水 あれって、やっぱり昭恵夫人が撮ったの?

マキタ そうじゃないですか? 昭恵夫人って面白いですよね。うちの女房とも言ってたんですけど、あの人を見てると面白すぎてだんだんかわいく思えてくるから、途中から見ないようにしました。

大根 それ、ちょっとわかるかも。『ラジオビバリー昼ズ』の金曜日の担当って、松村邦洋くんと磯山さやかじゃない。あのふたりが安倍夫妻のモノマネしてるの、聴いたことある?

清水 最近あのコンビ、いいよね。

マキタ へー、知らないっす。

大根 昭恵夫人の声も聴いたことないだろうに、磯山がテキトーなことばっか言うの。「つぎ、どこいこうかなー」とかって。めちゃくちゃ面白いんだよ。(笑)

マキタ 僕の友達のプチ鹿島によれば、「昭恵夫人は、自分のことを朝ドラの主人公だと思ってるんじゃないか」説です。お転婆なのに、のちに首相になるような人に見初められて結婚。日々、周りを巻き込みながらあらゆる問題を引き起こす。でも迷いなく突き進むその目は、キラキラなわけです。

清水 わー、すごい。確かに朝ドラの主人公そのものだね。

マキタ きっと周囲は、ほっとけなくなっちゃうんじゃないですか。

〈後編につづく〉

婦人公論.jp

「マキタスポーツ」をもっと詳しく

「マキタスポーツ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ