井上陽水 知られざる英訳詞集へのこだわり…ロバート・キャンベルが裏話を明かす

8月11日(日)21時0分 TOKYO FM+

アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」。8月8日(木)の放送は、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが登場。シンガーソングライター・井上陽水さんのデビュー50周年を記念して執筆された「井上陽水英訳詞集」の制作秘話を話してくれました。


左から坂本美雨、ロバート・キャンベルさん



坂本:「傘がない」については、陽水さんからのリクエストといいますか、アドバイスがあったそうですけれども。「傘がない」という一文も「I’ve got no umbrella」と、「私には傘がない」って、「私」と主語をつけてしまうと井上陽水さんの意図とは違ったという……。

ロバート:僕にとっては事件なんですけれども、50曲翻訳して、何回かに分けて草稿を見てもらったんですね。私も安心するし、陽水さんとしても(私が)勘違いをしていないかって、すごく興味を持って、いっぱい鉛筆でいろいろと書き込んで返してくるんですね。

ほとんど質問なんです。「これはどういうことですか?」とか、「ここはちょっと優しさが足りないけれど、大丈夫?」とか(笑)。そういう質問みたいなことが多かったんですけれど、唯一「『傘がない』のタイトルは『I’ve got no umbrella』ではダメです。これは『No umbrella』にしてもらいたい」って、けっこう命令形に近い感じ(笑)。

僕は、原作者だからそれに従わなければいけないとは思っていなくて。これは解釈ということもあるので、箇所によっては押し返したり、何度か往復をしていて納得していただいたり。納得してないかもしれないけれど、私が“こういう風にします”って決定したこともあるんですが、これはやっぱり受け入れないといけないって思ったんですね。

なぜかって言うと、「この『傘』は『俺の傘』じゃない。井上陽水の傘ではないし、歌ってる人の傘ではない。『みんなの傘』じゃないといけない」っていう風に言われたんですね。「『傘』とは、誰にとっても大事なものだ」と。それは平和であったり、いろいろなことであったり。一人称はこれを壊してしまうから、「止めてくれよ」って言われたんです。

そういうことがなければ、たぶん陽水さんがどういう思いでこの歌を歌っているのかってことは、永遠に誰もわからない。本人も、ひょっとしたら意識していないかもしれない。だから翻訳するときに、こうやって化学反応が起きておもしろいなって思いましたね。

坂本:なんだか、この1曲からすごく、平和な日本で生きちゃってて申し訳ないなって気持ちとか、そういうものも浮かび上がりますよね。72年の曲なんですけれども。

ロバート:そうですね。私は生きてます(笑)。

坂本:私はマイナス8年です(笑)。

ロバート:すぐに出てきますね(笑)。

ロバート・キャンベルさんが執筆した「井上陽水英訳詞集」は、現在発売中です。詳しい情報は公式Webサイトをご覧ください。

8月12日(月)のゲストは、シンガーソングライターのLOVEさんです。毎回、多彩なゲストとの楽しいトークや素敵な音楽をお届けします。お楽しみに!

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聴取期限 2019年8月16日(金)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:坂本美雨のディアフレンズ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週月〜木曜11:00〜11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/dear/

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