「病床数少ない県ほど健康」データ、自分の健康は自分で守る

8月12日(水)16時5分 NEWSポストセブン

病院では、トイレにある石鹸のポンプやスリッパなどもウイルスや菌の温床に(写真/GettyImages)

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 病気を治すために行くのが病院。しかし、治療を受けた結果、寿命が縮んでしまうこともありうるという。


 東京都立大学名誉教授で長年にわたって健康に関する大規模調査を行ってきた医師の星旦二さんは「そもそも病院は危険なところ」と警鐘を鳴らす。


「しかし、国民皆保険制度があって気軽に受診しやすい日本人には、その認識が足りない。EU事務局の調査では、病院の医療事故で亡くなった人は年間約14万人にのぼり、EU市民の53%が病院を危険な場所だと認識している。その一方、日本人の9割以上が『病院は安全』と思っているのです」(星さん・以下同)


 その証拠に、星さんが行った調査によると、全国で寝たきりの人が少ないのは、1人あたりの病床数が少ない、つまり病院数が少ない県が多く、特に長野県や山梨県が顕著だというのだ。


「これらの地域は水や空気がきれいで自然豊かな場所であり、住みやすいという前提はあると思いますが、多少の体調不良では病院に行かず、自分の健康は自分たちで守ろうとする意識が高いことも寝たきりの人が少ない大きな理由の1つだと考えられます。病院から遠ざかることで『ピンピンコロリ』を実現できているのです」


 星さんによれば、肝臓がんの県別死亡率も「病院いらず」を裏づける重要なデータだという。


「肝臓がんの大きな原因は大量飲酒だといわれていますが、男性の肝臓がんによる死亡率を見ると、新潟、岩手、秋田などの“酒飲み県”や泡盛を好む沖縄の数値はそれほど高くない。この中でも死亡率がもっとも低い沖縄は、福岡や大阪の3分の1程度です。


 実は、肝臓がんの原因の多くは飲酒ではなく、予防接種などの際にC型肝炎ウイルスのついた注射器を使い回していたことをはじめとする、医療事故によるものなのです」


 つまり、よかれと思って受けていた医療行為がもととなり、がんを発症してしまった人が多くいるということだ。


「福岡や大阪、広島など明治維新以降に医学部が作られた地域で肝臓がん死亡率が高くなっている一方、最後まで医学部が作られず医師不足が叫ばれていた沖縄で死亡率が低いのがその証拠でしょう」


 医療を受けない人の方が健康を保てるというのは皮肉なものだが、新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんも「下痢や風邪など、家で寝て治した方がいい病気も多い」とも指摘する。


「これらは病院で診てもらっても不必要な薬を出されるだけです。下痢は悪いものを出し切らなければならない。下痢止めで排便を止めてしまうとかえって治りが遅くなる。発熱を解熱剤で下げることや、女性に多い膀胱炎も同じです。安易に抗生物質を服用すると耐性菌を生むことになるため、まずは水分を多めにとって悪い菌を出し、様子をみてみることも必要です」(岡田さん)


 北海道科学大学薬学部客員教授で感染症専門医の岸田直樹さんも、病院に駆け込む前にまずは家で療養できないかと考えるべきだと声をそろえる。


「風邪で病院に行ったところで、できることはない。胃腸炎も本来は自然に快方に向かう。病院で点滴してもらうものだと思っている人も多いが、点滴の内容に何か特別な成分があるわけではありません。最近は『OS-1』のような点滴と変わらない経口補水液も市販されているので活用してほしい」


 病気の治療のほか、病院に行く用事としては健診・検査が挙げられる。だが、これも種類によっては危険性がないとはいえない。


「そもそもリスクのない検査は存在しません。レントゲンやCTスキャンには放射線の被ばくや造影剤のアレルギーなどといったリスクがある。マイナス面もあることを理解しておいた方がいいでしょう」(岸田さん)


 数ある検査の中でも、岡田さんは特に「糖尿病の検査と肺がんの検査はおすすめできない」と話す。


「血液検査から血糖値を計る方法ならば問題ありませんが、甘い水をのんだあとに血糖値を測る『経口ブドウ糖負荷試験』は避けるべき。人間ドックなどで幅広く行われていますが、この検査はもともと糖尿病を患っている人であればグンと血糖値を悪化させるし、そうでない人でも体に負担がかかる。


 また、胸部レントゲンによる肺がん検診は放射線被ばくにより、かえってがんを発生しやすくしているという報告もあります」


 星さんも海外の研究を挙げて言う。


「北欧フィンランドでの調査では、健診を全く受けていないグループの方がそうでないグループよりも15年後の生存率が高かったというデータがある。元気に長生きするために大切なのは検査よりも予防。適度な運動や質のよい睡眠、快適で住みやすい家づくりに尽力した方が、病院に頼るよりもよっぽど長生きできるのです」


※女性セブン2020年8月20・27日号

NEWSポストセブン

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