いま注目の19歳、楽天・西巻賢二と藤平尚真に聞いた「甲子園の記憶」

8月14日(火)11時0分 文春オンライン

 夏と言えば、甲子園の夏。楽天イーグルスの夏。つまり野球の夏。


 プロ野球2018シーズン、楽天イーグルスは後半戦に入って少しずつ借金を返済。虎視眈々と上位を狙う8月。若手選手の台頭も目立っている。今回は昨年、一昨年の夏に甲子園を沸かせた19歳の2人にスポットを当てたいと思う。


ルーキー・西巻の仙台育英高校時代の思い出



プロ初タイムリーを放った西巻賢二選手 ©RakutenEagles


 8月8日、札幌ドームで初先発出場し、見事にプロ初ヒットを放ったのはルーキーの西巻賢二選手。ファームでは5本の本塁打をマークし、試合に出場し続けて満を持しての1軍昇格だった。ハツラツとプレーする高卒ルーキー野手の西巻選手に聞かせてもらった。


河内「プロ初ヒット、初打点、率直な感想を聞かせてください」


西巻選手「ファームでずっと試合に出していただいて、2軍と1軍の違いはありますけど、真っ直ぐや変化球などプロのピッチャーのボールを見ることで経験を積んで、試合を重ねる毎に成長できた結果だと感じました」


 西巻選手は仙台育英高校時代、1年生の時からベンチ入りし、2学年上の佐藤世那選手(オリックス)、平沢大河選手(千葉ロッテ)とともに第97回全国高等学校野球選手権大会で準優勝。途中出場ながらも1年生で全試合に出場し、決勝戦(東海大相模高校)でも小笠原慎之介選手(中日)からヒットを放った。


 そして、昨年夏は主将として甲子園出場を果たすも、準々決勝で中村奨成選手(広島東洋)擁する広陵高校に敗れて涙をのんだ。


 仙台育英高校は、今年の夏も甲子園出場を勝ち取った。共に汗を流した後輩達に西巻選手は「後輩が頑張っていると僕も勇気づけられるので、甲子園で活躍して僕を勇気づけてほしい」と語っていたが、残念ながら大会8日目の第2試合で強豪・浦和学院高校に敗れた。


 西巻選手に甲子園での思い出について聞いてみた。


河内「甲子園での記憶で蘇ってくるのはどんなシーンですか?」


西巻選手「去年の大阪桐蔭戦(逆転サヨナラ勝ち)が一番記憶に残っています。甲子園は何が起きるか分からないというのを実感しました」


河内「西巻選手にとって甲子園とはズバリ?」


西巻選手「それはもう『特別』の二文字です! あれだけの観衆の中で、フライが上がっても歓声が上がりますし、高校生が甲子園でプレーできるというのは、ほんのわずかな人だけなので『特別』の言葉しか出てきません」



河内「この先、どんな選手になって活躍していきたいですか?」


西巻選手「高校生の時からショートとピッチャーをやっていたので、高校時代の今宮選手(大分・明豊高校ー福岡ソフトバンク)を見て、僕もそんな選手になりたいと思っていました。肩の強さ、守備範囲の広さ、打つ方では勝負強さを持ち合わせ、さらにチームのためのバントやエンドランも決め、時にはホームランも打つ、そんな選手に僕はなりたいです」


 目を逸らさずに力強く語ってくれた19歳ルーキー・西巻選手。仙台育英高校時代に14回も甲子園へと導いた名将・佐々木順一朗氏から学んだ中で「上手くいかない時こそ難しく考えるのではなくて、実に面白いと思え」という言葉が一番心に響いていると教えてくれた。


 東北・福島出身の西巻選手は、この先どんな試練にぶつかっても野球を楽しむ事を忘れず、これからの楽天イーグルスを引っ張ってくれるに違いない。



「仲間想い」の横浜高校出身・藤平



 8月9日(野球の日)、2年目本格右腕・藤平尚真選手が7回3安打無失点で112日ぶりに勝利を手にした。この日は母校の横浜高校(南神奈川)が愛産大三河高校に7ー0で大勝した日でもあった。


 一昨年の夏、第98回大会での1回戦、東北高校を相手に7回13三振を奪った甲子園を沸かせた藤平選手に話を聞かせてもらった。


河内「藤平選手が3年の時、1年生だった選手が甲子園出場しますね?」


藤平選手「そうですね。万波や板川、角田など自分達が3年の時も活躍してくれたメンバーがいるので、自分も楽しみにしています」


河内「前監督の渡辺元智さん、平田徹監督の元で得たものは何ですか?」


藤平選手「渡辺監督の人間性に憧れて、この人に教わりたいと思って横浜高校に行きました。『目標はその日、その日を支配するんだぞ』という教えの中で、野球以外でも私生活まで付きっ切りで指導してもらい、今でも感謝しきれないぐらいです。平田監督には、何時でも自分の頭で考えて野球の練習をやれというのを教わりました。プロに入ってからも自ら考える野球ができるようになったのは平田監督のおかげです」


河内「横浜高校の大先輩・松坂投手はどんな存在ですか?」


藤平選手「自分が生まれた年の1998年に横浜高校で春夏連覇して、特別な縁を感じています。松坂さんが投げている姿を見て、もっと頑張らないといけないという気持ちになるので、自分の中ではヒーローです(笑)。松坂さんに負けないくらい若さを出して頑張りたいと思います」


河内「甲子園の土は持って帰りましたか?」


藤平選手「母親、父親にはもちろん渡しました。そしてずっと練習をサポートしてくれた、メンバーに入れなかった同級生にも持って帰りました。背番号を貰う為に最後の最後まで必死でみんな練習していたので、土は自分より他の選手にあげたいと思って渡しました」


 心が打たれた瞬間だった。「仲間想い」の熱き野球人である。



河内「後輩へのエールをいただけますか?」


藤平選手「横浜高校は強くないといけない、という事を選手が一番わかっていると思うし、こういう記念大会は1番目立てるところだと思うので、絶対優勝を目指して全力で頑張ってほしいです」


 母校、名門・横浜高校は昨年の夏の覇者・花咲徳栄高校(北埼玉)と、平成最後の第100回全国高等学校野球選手権記念大会で本日14時30分に、甲子園球場でぶつかり合う。


 横浜高校のスピリットを受け継いだ藤平選手が甲子園に出場している後輩から刺激をもらいながら、1軍のマウンドで三振を奪う姿が見たい。残りのペナントレースで大きな戦力になってくれる事を期待しよう。


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(河内 一朗)

文春オンライン

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