「日本代表としてオリンピックに出たい」吉田正尚がこっそり明かした夢

8月14日(金)12時0分 文春オンライン

 吉田正尚選手が以前に、こんな話をしてくれました。


「僕、日本代表のユニフォームを着て、オリンピックに出たいんですよね。実は室伏さんに自主トレをお願いしに行ったのにはオリンピックに出る為もあるんです」


 2年前、吉田選手は自主トレ地として訪れていた沖縄の空を見上げながら、彼らしく柔和な表情で心の中に温めてきた想いを、こっそりと吐露してくれたのです。


 この話を公に伝えたいと心底思いましたが、まだプロの世界では3年目に入るシーズン。いつか、このエピソードをファンの皆さんにお伝えできる日が来る、その日を迎えさせてくれる成績と人間性を持つ選手だと思い、温めてきました。



吉田正尚選手と筆者 ©田中大貴


室伏氏とトレーニングする大きな理由


 ファンの皆さんならご存じ、吉田選手はオフになると毎年、五輪金メダリスト室伏広治さんのもとを訪れています。


 身体のメカニズムを熟知し、足先から指先までの神経や筋肉の隅々までを意識し、既存のトレーニングにはない室伏氏ならではの特別なトレーニング理論を生み出してこられました。


 そして、陸上選手にプロ野球選手が直談判し、トレーニングを見てもらうという関係性は非常に珍しく、あまり見られない光景です。


 ニックネームは「マッチョ」の吉田選手は、自らの肉体への探求心が非常に高いことは球界ではよく知られているお話。でも実はフィジカル的な指導を室伏氏に求める為だけでなく、もう一つの大きな理由があったのです。


「世界の舞台を何度も経験してきた方。しかもトップレベルで戦ってきたアスリートです。オリンピックで金メダルを獲得した室伏さんに日本代表として、五輪で戦うマインドを教えてもらいたかったんです」


 これから4年前、吉田選手が室伏さんに手紙を送り、スタートすることになった室伏塾。毎年1月に室伏氏が教授として勤務する東京医科歯科大学のトレーニングルームで朝からみっちりとマンツーマンの指導を受けています。


メディアの前では言ってこなかった夢


 自主トレのメディア公開の日には、強い打球や飛距離アップにつながる瞬発系トレーニング、故障防止のための体幹メニューなどで体を鍛える様子が撮影されて、報じられてきました。しかし、吉田選手の中にはメディアの前では言ってこなかった夢があったのです。


「日本代表として日の丸を付けたいんです。室伏さんに日本代表の心得を教えてもらいたい。でも僕はまだまだの選手なので、おこがましくて、恥ずかしくてメディアの前では言えません」


 この言葉を沖縄の自主トレ地・浦添市民球場で何気ない話から聞いたのは2年前。


 しかし、もう堂々と言っても何も恥ずかしくなく、むしろ、その位置に相応しい選手になっていると僕は強く感じています。


 去年、首位打者争いを演じ、押しも押されもせぬオリックス・バファローズの顔となり、今年も打率は3割台半ば。間違いなくホークスの柳田悠岐とともに今年も首位打者争いを演じてくれるはずです!


 来年、東京五輪が無事にやってくれるとしたら、野球のラインナップの中心には吉田正尚の名前があり、日の丸を背負い、オリックスファンだけではなく、日本のプロ野球ファンに感動を与えてくれるに違いありません。


 我らがオリックス・バファローズの吉田正尚はバファローズの吉田から日本の吉田へと成長を続けているのです。


 謙虚で優しくて、決して調子に乗ったことは言わない吉田正尚。でも、もう言っていいですよね、「日本を代表する打者になりたい。そして五輪で日の丸を背負いたい」と。


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(田中 大貴)

文春オンライン

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