酷暑の東京五輪に選手たちからもブーイング続出! 新聞・テレビは五輪利権でPR一色、五輪批判がどんどんタブーに

8月14日(水)15時50分 LITERA

東京2020オリンピック公式チケット販売サイト

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 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催まで1年を切ったが、本当にこのまま大会を開いてしまって大丈夫なのか? という懸念が各所で噴出している。


 いちばんは「酷暑」の問題だ。東京オリンピックは来年の7月24日に始まるが、その時期に開かれるのであれば当然なされているべき暑さ対策がまるでできていないのだ。


 その懸念は当のアスリートからも出ている。先日、世界記録保持者で東京オリンピックでの活躍が期待されている競歩の鈴木雄介選手がオリンピック本番でのコース変更を求めたと報じられた。


「サンスポ」(8月8日付)によれば、鈴木選手は7月末の早朝に本番で予定されているコースを試走。「日陰がない。脱水になる可能性も大いにある。可能なら再考してほしい」「選手はもちろん、観客にも酷なこと」と語ったという。


 連日の酷暑で熱中症は「人命」に関わる緊急性の高い問題となっている。今年7月29日から8月4日までの1週間に熱中症で救急搬送された人は1万8347人にもおよび、このうちの57人が死亡した(総務省発表)。


 先週末には、国内最大規模の同人誌即売会・コミックマーケット(東京ビッグサイトにて開催)において、熱中症が原因と思われる体調不良を訴える人が続出し、救急搬送された人まで出たのは大きな話題となった。コミケが開かれた東京ビッグサイトは東京オリンピック時に国際放送センターとメインプレスセンターが置かれる予定だが、8月8日にはその建設現場で男性作業員が倒れ、病院に搬送後に死亡が確認された事故も起きた。報道では熱中症が原因で倒れた可能性もあると報じられている。


 こうした熱中症の影響はスポーツイベントにもおよんでいる。7月26日に東京・品川区の潮風公園で行われたビーチバレーのワールドツアー東京大会では、女子日本代表の溝江明香選手が熱中症になり、試合を一時中断する一幕があった。ネットニュース「Sponichi Annex」(7月26日付)によれば、溝江選手は「かなり過酷な環境で、世界で1番暑いと思う」とコメントし、この季節の東京でのプレーの過酷さを語ったという。


 この酷暑のなかオリンピックを開催するということは、激しい運動をするアスリートはもちろん、大会を運営するスタッフやボランティア、観戦するオーディエンス、会場にいるすべての人が熱中症のリスクを負うことを意味する。


 単なる「暑さの問題」と楽観視することは許されない。「人命」に関わる極めて深刻な事態である。


 しかし、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や東京都がその問題の大きさを認識しているかには疑問符をつけざるを得ない。


 大会組織委員会や東京都も「暑さ対策」と称した施策を色々と行っているのだが、そのどれもが大きな効果を得られているとは言いがたいからだ。


 そのひとつが「打ち水」。道や庭先に水を撒いて涼を得る、昔ながらのやり方だ。昨年7月には小池百合子東京都知事が東京ミッドタウン日比谷で行われた打ち水イベントに参加し、「江戸時代の知恵、江戸のおもてなしだ」などと語っていたが、この程度で抜本的な解決になるわけもなく、そもそも、アスファルト舗装された道の上に水を撒くのは逆効果との専門家の指摘もある。


 その無策ぶりは1年経っても変わっていない。今年5月には、セキュリティー検査による入場列を仕切るためにアサガオの花が飾られる予定だと報じられた。組織委員会の担当者はその狙いについて「涼しげになってリラックスしてもらう」とコメントしている。


●東京五輪招致委員会は「温暖で理想的な気候」と大嘘をプレゼンしていた


 アサガオはともかく、暑さ対策の切り札として東京都が進めている施策にも「逆効果」との指摘が出ている。


 東京都は暑さ対策として、蓄熱を防ぐために赤外線を反射する遮熱剤を道路に塗布する「遮熱性舗装」を進めている。これによって温度上昇を10度ほど防ぐことができると喧伝されているが、「日刊ゲンダイDIGITAL」(8月11日付)の取材に応えている東京農業大学の樫村修生教授によれば、遮熱性舗装によって路面の温度は確かに下がるが、反射した熱の影響により、人が立つ高さでは逆に気温が上昇する調査結果が出たというのだ。


 ようするに、自然に抗う「酷暑対策」などというものは、人間の力では根本的に無理なのである。


 そんなことはとっくの昔にわかっていたことだ。


 そもそも1964年に行われた前回の東京オリンピックは10月10日から24日という日程で行われている。このときも夏開催か秋開催かの2つの案があったが、夏の開催は厳しいとの判断で前述のスケジュールとなった過去がある。


 しかし、今回の東京オリンピックでは、50年以上前に「不可能」とされた日程での開催となっている。


 この日程となっているのは海外から強制されたわけではない。日本側が自発的にこの時期での開催を提案したものだ。


 日本は招致の段階でこんな嘘をついている。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会が発表した「立候補ファイル」のなかに記載のある「2020年東京大会の理想的な日程」の項目には〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉と書かれているのだ。


 この文書にある〈温暖〉〈アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉が嘘なのは誰の目にも明らかだ。


 しかし、競合都市に負けないため、日本の招致委員会は嘘をついた。国際オリンピック委員会(IOC)には、テレビ放映権料として莫大なお金を払っているアメリカの意向が強く影響しているが、彼らはコンテンツが少なくなる真夏の時期にオリンピックの放送を入れたがっている。そのことは招致委員会も熟知しており、招致を有利にするために前述のような嘘っぱちの資料をつくったのである。


●水泳会場のテスト大会では「トイレのように臭い」と選手が悲鳴!


 その結果として起きているのが、現在のような体たらくである。


 組織委員会の運営のお粗末さは、酷暑以外にも次々と指摘されている。現在、競技運営をチェックするためのテストイベントが各競技で行われているのだが、そこで深刻な問題が次々と明るみになっているのだ。


 まずは、水泳だ。8月11日にお台場海浜公園で水泳(オープン・ウォーター・スイミング)のテスト大会が行われたのだが、そこで複数の選手から「トイレのような臭いがする」との指摘が出たという。コース周辺の水域を水中スクリーンで囲っていたが、汚れた水の問題は解決できていなかった。


 他にもある。前述したビーチバレーのワールドツアー東京大会も東京オリンピックのテストイベントとして位置づけられているのだが、検証の結果、「暑くなりにくい」と組織委員会が結論づけていたビーチの砂に対し、選手から「熱い。特にサーブゾーンは、掘らないと踏めないくらい」(前掲「Sponichi Annex」)と指摘が入ったのだ。問題なのは砂だけではなく、「選手テントしか日陰がない」という声も出ており、改善点は山積している。


 テストイベントはまだまだたくさん残っている。今後も問題点は次々と出てくるだろう。


 そして問題なのは、こういったオリンピックに関する諸問題が大手メディア、特に、テレビでほとんど触れられないことだ。


 オリンピックの問題で最も重要な「酷暑」の話題には、特に話がおよばない。ご存知の通り、ニュース、情報番組、ワイドショーでは毎日のように熱中症の話題を取り上げ、水分補給などの対策を視聴者に呼びかけているが、その話とオリンピックを結びつけるような取り扱いをする番組は皆無。なぜか。それは、メディアが軒並み東京オリンピックのスポンサーに入っており、五輪利権共同体の一員だからだ。


●五輪ビジネスに組み込まれた新聞・テレビでは五輪批判がタブー化


 とくに大手新聞社は軒並みスポンサーに名を連ねている。東京2020オリンピックオフィシャルパートナーには、読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞の名があり、東京2020オリンピックオフィシャルサポーターには、産経新聞、北海道新聞も入っている。


 さらにテレビ局にいたっては、高額をつぎ込んで放映権を獲得しており、五輪ビジネスと完全に一体化。問題点を追及するどころか、報道番組ですらチケット販売の告知などPR放送をする始末だ。まともなオリンピック批判などほとんど放送されていない。


 こうして大手メディアによる検証や追及がなされなかった結果、オリンピックまではすでに1年を切っているのにも関わらず、なんら根本的な対策がなされないまま放置されている。


 酷暑問題だけではない。五輪の影響で妨げられる被災地復興、膨れ上がる費用、誘致に関わる汚職疑惑、会場建設における過重労働、ボランティアという名の無償ブラック労働……。この間、発覚した東京五輪をめぐる数々の問題は、まったく解決していないままである。


 しかし、これだけの問題だらけの東京五輪を大手メディアはまともな批判・検証をしないまま五輪礼賛報道を繰り広げ、国民の間に「五輪を批判してはいけない」「日本国民なら五輪に協力して当然」「五輪に文句を言うのは非国民」という空気が浸透。開催が近づくにつれ、「ここまで来たらもう文句を言っても仕方ない」とこの同調圧力はますます強くなっている。


 東京オリンピック・パラリンピックの開会式および閉会式のプランニングチームの一員である椎名林檎が以前「国民全員が組織委員会」なる全体主義丸出しの発言をしたことがあったが、ここのところの五輪の問題点をないことにして突き進む様子を見ていると、まさに戦中の「一億総火の玉」を彷彿とさせられる。


 この酷暑のなかオリンピック開催を強行することはどう考えても問題がある。もはや対策はない。酷暑下でのオリンピック開催強行による被害を被るのは、日本に住む人々だけでなく、海外からやってきたアスリートや観客も同様だ。むしろ、海外から来た人たちは、高温多湿な厳しい東京の暑さに免疫がない分、熱中症対策に関する知識や経験にも乏しく、危険性は高い。


 何よりこんな当たり前の批判すらできない国で、オリンピックなどやるべきではない。今からでも遅くはない、返上するべきだ。
(編集部)


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