隣に来てほしくないサークルを指定できる! 初心者が同人活動を始めてみると…【イベント申し込み編】

8月14日(金)23時0分 おたぽる

イメージ画像:『手づくり同人誌とらのまき』(マール社)。

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——おなじみのコミックマーケット(以下コミケ)を始め、日本全国、毎週末や祝日など、多種多様な同人イベントが開催されている。けれども、同人初心者からすると右も左もわからないことばかり! そんな同人活動をライターが初めてやってみた! 奮闘の記録をお伝えしたい。

■同人イベントの基礎知識&著者の同人活動の状況はこんな感じ

 同人の携わり方もいろいろだ。まず“買い専”。これはコミケなどの同人イベントや通販などで同人誌を買い、作品を書かない人のこと。そして“オン専”。これは作品を自身のサイトやイラスト共有SNS「Pixiv」やTwitter上のオンライン上のみで発表し、同人イベントなどで同人誌を作成し頒布しない人を指す。

 著者はずっと“買い専”で、最近“オン専”としてPixivで書いたものを公開してきたが、だんだんイベントにも出てみたくなってきた。ちなみに著者の場合、Pixivに自作をアップすると数日でブックマークユーザーが1000人を超えるデイリーランキングの常連で、Twitterのフォローは5000人超と、そんな「満を持して」なイベント参加……ということはなく、アップした作品に頂くブックマーク数はおおむね2桁前半といったところだ。

 最近の同人活動ではもはや必須ツールともいえるTwitterは、同人用のアカウントは一応あるが、見るのも稀だ。発信もほぼしていない。イケているサークル同士がキャッキャッ、と楽しげな内輪トークをしているのを見ると、嫉妬と寂しさで気が狂いそうになるからだ。いい年してこんなことで苦しみたくないので、見ないようにしている。

 ちなみに大前提として、同人活動は一次創作と二次創作に分けられる。一次創作が完全なオリジナル作品で、「コミティア」など、一次創作限定の同人イベントもある。二次創作はマンガやアニメなど原作ある作品のパロディだ。コミケなどの大型イベントにおいては、一次創作よりも、二次創作のサークルのほうが圧倒的に多い。著者が何の二次創作をしているかは諸方面の迷惑を考え、記載を差し控えたい。

 また、著者が作っている同人誌は、マンガでなく小説だ。これも当然内容や実績によるが、一般的にマンガの同人誌のほうが小説の同人誌よりも頒布されやすい。これは商業誌でもマンガなら数万部超えは珍しくない中、小説は1万部売れれば大ヒット、と呼ばれる感覚と似ている。

 マンガなら多少好みじゃなくても絵の力でまだ読み進められるが、小説なら好みでないと読み進めること自体できなくなる、というのもあるだろう。また、マンガならイベント当日ふらふら見てみて、「絵が好みだな」と手に取るジャケ買いも期待できるが、読んでみないとわからない小説はそれもしづらい。イベントでもマンガサークルのほうが小説のサークルよりもはるかに多い。

 そんなわけで、著者の同人サークルとしての状況、力量をまとめると、「一次創作より二次創作という点で、原作好きな人が見てくれる可能性はある。が、マンガでなく小説を書くために、表現媒体としては不利。Pixivは利用しているが、デイリーランク常連とかではない。さらに同人活動の必須ツールになりつつあるTwitterでの交流もしていない」だ。

 ちなみに本格的な同人デビューが社会人になってからだったこともあり、同人イベントに一緒に参加したり、合同誌を出すような友達もいない。イケてるサークル同士が「みんなでアフター(同人イベントのあと仲間内で打ち上げをすること)!」とTwitterでつぶやいているのを歯軋りしながら見つめるだけだ。しかし、「私も仲間に入ーれて!」と積極的に交流をしてみたところで、それもそれで色々面倒だろうから、今のままでいいや、と思うやる気のなさだ。

「実績」「広報スタンス」ともに前向きな材料のない状態だが、それでも出てみたいと思う気持ちを大切にすることにした。Twitterなんかよりも同人活動で最も必須な「自萌え(自分の書いたものが好き)」なら自信がある。自分が書いた話を読み返し、何度読んでもいい……、と臆面もなく思える毛の生えた心臓ならあるのだ。

■あいつには隣に来てほしくない、そんなニーズにも対応

 もともと同人誌即売会は、マンガやアニメが好きな人が「○○市民会館、第一会議室」的な場所を借りて仲間内で同人誌の頒布をしていたのがルーツで、個人が仕切っていた。それがアニメ、マンガの市場が爆発的に大きくなり、今ではイベントの多くは企業主催となっている。ちなみにコミケ3日間の参加サークルは合計約3万5000。サークル側の参加者だけで、これだけいるのだ。コミケに次ぐ大型イベント「コミックシティ」も、東京、大阪では1日の参加サークル数が1万を超える。

 イベントは「オールジャンル」か「オンリー」に大別される。「オールジャンル」は先述の「コミケ」や「コミックシティ」などが代表的だ。さまざまなジャンルの同人誌が頒布され、中には研究や評論といった硬派なジャンルもある。「オンリー」は、特定の作品、特定のカップリングなど、対象を限定したイベントになる。

「オンリー」の場合、例えば「泣いた赤鬼オンリー(例)」では企業が主催する以上、収益に足るほどのサークル数を集められないため、開催は難しいだろう。そのためオンリーはおのずと、今流行っているマンガやアニメ作品の二次創作を中心にしたオンリーになる。特に今が真っ盛り、というジャンルの場合、「桃太郎オンリー(例)」と、作品のオンリー開催ではまだ大きすぎるので「犬×キジ限定オンリー(例)」といった、カップリングを介した、より対象を狭めたオンリーまでもが開催されたりもする。

 製作期間を2カ月と想定し、ちょうどいい時期に開催される“コミケではない”オールジャンルのイベントに申し込むことにした。なお、コミケの公式ホームページを見ると『会場の都合などで全てのサークルを受け入れられない状態が続いています。 現実的には約3割のサークルが、残念ながら抽選漏れになっております。』という記載があった。そんな難関にいきなり挑むのは無謀だし、だいたい夏コミの申し込みは2月中旬には締め切られている。それにコミケは開催が真夏か真冬だ。気候的にもっと楽な時期を選びたいというのもあった。

 著者が参加したイベントの場合、クレジットカードとパソコン環境があれば申し込み、支払いはすべてオンライン上で(郵送を介さずに)できた。サークルの参加費用は4000円ほどだった。なおコミケは8000円だが、コミケ以外のイベントはおおむね3000〜4000円強のところが多い。

 申込書には「どんな本(ジャンル、カップリングなど)を、何冊」搬入するかの記載欄があり、この時点で作ってもいなかったので、こんなどんぶり勘定でいいのだろうかと思いながら記入した。実際、このときは2冊搬入、と強気だったが、実際は1冊になってしまったのだが。

 同人イベントでは、当日どんなサークルが参加しているか記載されたパンフレットが作られる。そのための自分のサークルを紹介したサークルカット(縦4.5センチ、横3.5センチくらい。イベントによって異なる)を、申し込みの際にあわせて添付する必要がある。サークルカットのちまちました枠を埋めつつ「あの枠を埋めてる! 今、ついに同人活動してる!」とこみ上げるものがあった。こういったお約束がいちいちうれしいのだ。小説サークルゆえに字ばっかりで地味なサークルカットになったが、ここでデザインセンスもないのに無理に華やぎを、とすると、おかんアートみたいになると思い自重した。今後の課題だ。

 申込書で目を引いたのが、「このサークルには隣に来てほしくない」の記入欄があったことだ。こんなとこまで配慮するのかと驚いた。しかし、Twitterで好きなサークルの人のつぶやきを見ているうちに、「見なきゃよかった……」と思うこともあったため、やはりちょっと難しい人もいるのだろう。マンガ、オタク文化の一般化、カジュアル化が進んで久しく、自称オタクも増えてきたが、この欄の存在に「やはりオタクはカタギじゃない特有の世界だ」と身の引き締まる思いがした。ちなみに1サークルのスペースは横幅90センチほど。会議室などで使う長机の半分だ。1スペースに二人椅子に座る人がいたら結構みっちりする。苦手な人が隣にいたらつらい距離感だろう。

 申し込みから1カ月。このスペースで割り振りました、とメール連絡が来て、無事当選した。締め切り直前までイベントのホームページでは参加の募集をしていたので、落ちたサークルはないのではと推測される。昔はイベント数が少なかったが、今は東京、大阪といった大都市なら毎月のように大型イベントが開催されている。コミケは例外だが、それ以外の大型イベントなら書類不備がなければほぼ落ちないのでは? と思った(ジャンルや、会場をどこまで拡張できるかにも寄るが)。

 3割が落ちるコミケの書類作成は大変なのかもしれないが、私の参加したイベントの申込書は、会社や役所に提出する書類を書いたことのある人なら苦もなくできるだろう。それよりもずっと大変だったのは印刷所への入稿だ。軽く5倍は大変だった。それは続編(印刷〜イベント当日編)を読んでほしい。

(文/石徹白未亜[http://itoshiromia.com/])

おたぽる

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