久保純子アナが採用面接で放った光、元NHK加賀美アナが述懐

8月14日(金)7時5分 NEWSポストセブン

NHKを代表するアナウンサーの印象に残った女子アナは?

写真を拡大

 これまで数々の人気アナを輩出したNHKにおいて、加賀美幸子さん(1963年入局)は女性初の「理事待遇エグゼクティブアナウンサー」を務めた同局を代表するアナウンサーだ。「朗読の加賀美」と呼ばれるほど卓越した技術を持つ彼女が、NHKで過ごした半世紀を振り返る。


 * * *

 私が入局したのは野際陽子さんが退局された翌年です。新人時代は第5回NHK紅白歌合戦で女性初の総合司会をした福士夏江さんがディレクターに転身し、彼女が担当の音楽番組に私はしばしばナレーションで参加させていただきました。一番仲が良かったのは下重暁子さん。小柄な彼女は「この人、大きいけれど私の子分!」などと周囲に紹介して、公私ともに時間を共有しました。


 私はよく「女性初の○○」なんて言われますが、1979年に永六輔さんの番組『ばらえてい テレビファソラシド』の司会までは教育・教養係の地味な仕事をひとつひとつ重ねていました。


 私はほんの一言吹き込むだけの仕事も全て命を懸けて読んでいました。なにより間違わず読むことでスタッフから「加賀美さんとやってよかった」と言ってもらえるようプロとしての姿勢を大事にしていたんです。


 得がたい勉強の日々でした。それまで男性だけが担当していた「夜7時台のニュース」や「大河ドラマ」の語り、さらには私の冠番組と言える『くらしの1分メモ』なども始まりました。当時は「大抜擢された」という意識はなく、“時代の風が吹いたのだ”と自然に捉えていました。


 後輩で印象的だったのが久保純子さん。彼女を面接した時も、たしかな“風”を感じました。他の採用官が「鼻濁音ができていない」などと難色を示すなか、私は彼女の中に柔らかな強さを感じた。鼻濁音は勉強すればよい。でも彼女の存在感は、キャリア色の強い女性が多かったNHKの女性アナの中で違う光を放ち、新しい何かが作れるのではないかと思いました。


 実はNHKを退局の時、選挙関連のお声もかかりましたが、政治も放送も命懸けです。同じ命なら放送に懸けたかったので、「生涯一アナウンサー」を貫くことを決めました。また、当時任された男女共同参画センターの仕事も続けています。


 アナウンサーの仕事は様々ですが、司会も柱の一つです。今はタレントさん、特に芸人さんが多いですね。芸人さんは力があるし、楽しい話を聴きたくなるのも分かります。でも今後は肩を並べて、違う味でピリッとした存在感を持つアナウンサーの登場に期待したいです。


【プロフィール】

◆かがみ・さちこ/1940年生まれ、東京都出身。1963年にNHK入局後、『NHKニュース』キャスター、大河ドラマ『峠の群像』『風林火山』のナレーションなど幅広く活躍。1997年には女性初の理事待遇エグゼクティブアナウンサーに就任、2000年に定年退職後も精力的に活動中。


取材・文■河合桃子


※週刊ポスト2020年8月14・21日号

NEWSポストセブン

「NHK」をもっと詳しく

「NHK」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ