ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第30回:マドンナたちとプール

8月16日(金)12時0分 耳マン

足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!


なぜかマドンナグループとプールへ

中学生になると男女のグループ同士でどこかに遊びに行くという話を耳にすることが増えた。僕の中学でもあるグループがそんな空気を楽しむかのように、男女グループでのお出かけの先陣を切っていた。それはクラスのマドンナグループだった。

マドンナは活発だ。長い夏休みの部活の合間をみつけてマドンナグループはプールの計画を立てていた。マドンナたちが誘うのはクラスのイケメンたち。そのなかには必ずマドンナグループの誰かしらの“好きな人”がいる。調子がいいとマドンナ4人に対して好きな人が4人というパターンもある。そう、これは青春だ。

なぜそんなことを僕が知っているかというと、マドンナグループのなかに幼なじみがいたからだ。名前は『鳩』。保育園から中2まで同じクラスで、みやぞんよりも長い時間を一緒に過ごしていたかもしれない。そんな幼なじみの鳩にいろいろ聞いていた。

鳩「○○って好きな人いんの?」
あら「知らない。誰が好きなの?」
鳩「え、なんで?」
あら「その聞き方絶対そうじゃん」
鳩「夏休みプールいく話してるんだけどくるかな?」
あら「誰?」
鳩「イケメン1、2、3」
あら「珍しいメンバーすぎでしょ。遊んでるのあんまり見たことないよ」
鳩「きつい?」
あら「わかんない」

と、若干天然なところもあった鳩のおかげでマドンナの恋愛事情は筒抜けだった。

マドンナたちはプールの計画を着々と進めていた。学校も夏休みに入り、マドンナたちの計画も忘れていたある日の夜、鳩から電話がかかってきた。

鳩「プールいけない?」

そこでマドンナたちのプール計画を思い出した。

あら「前言ってた話は?」
鳩「だめになった」
あら「なんで?」
鳩「部活の試合とか」

どうやらなにかしらのトラブルでイケメングループのスケジュールが全滅してしまい、プールのチケットだけ余っていて人を探しているという電話だった。

鳩「ややメン1とややメン2、プールいけないかな?」
あら「聞いてみる」

そして再び電話がかかってきた。

鳩「どうだった?」
あら「無理だって」
鳩「ただメン1とただメン2は?」
あら「聞いてみる」

ことごとくイケメン、ややメンに断られ、最終的にたどり着いたのはただのメンな川谷と野々村だった。

あら「プールいける?」
川谷「誰と?」
あら「マドンナグループ」
川谷「前に話してたやつ?」
あら「イケメンいけないらしい」
川谷「え? 俺たち何軍?」
あら「3です」
川谷「野々村誘っていいならいこうかな」
あら「そう、誘ってほしい。で3人で」
川谷「わかった」

そして、イケメングループ、第2候補のややメンが欠場となり3軍の僕たちがマドンナグループとプールに行くことになった。数多くいるほかのただメンからすると奇跡みたいな話だった。

プール当日、待ち合わせは西新井駅。駅に着くとマドンナグループがマックにいた。一緒に行くの?と疑ってしまうくらい軽い挨拶をしてみんなで電車に乗った。こちらは3軍ということもあり、マドンナグループに緊張してしまいまったく喋れないままどんどん進んでいく。そして電車の乗り継ぎを何回かしたときに事件が起きた。

マドンナAが電車を乗り間違えたのだ。

野々村「これ電車逆じゃない?」
マドンナA「そう?」

電車の路線マップを見上げながら野々村とマドンナAが若干の口論になった。当時、足立区からほぼ出なかった荒木少年はマップの見方もわからずなにも言えなかった。たぶんマドンナBとCと鳩もそんな感じだった気がする。今日初めてまともに喋った内容がマドンナの間違えを指摘するという最悪な展開になり、それからプールまでの移動はマドンナたちとさらに距離ができた。

ようやくプールに着くとみんなのテンションが一気に上がった気がした。到着したのは遊園地と一体型のプールだった。入場ゲートの看板と早くも浮き輪を膨らませて並んでいるお客さんをみて、これがプール! これが遊園地! これが夏!と夏の底力を感じた。

更衣室から出るとマドンナたちは僕らからさらに離れていた。気まずさと水着の恥ずかしさからかなりの距離ができており、完全に別のグループになっていた。最終的には「○時にここね」みたいなことになり、男3人で流れるプールで流れ、男3人で波のプールで波に乗った。

川谷「これなに?」
野々村「完全に別行動だね」
川谷「これ絶対あとで茶化されるよ」
野々村「絶対いじられるね」

そんな話をしていたらマドンナたちが近づいてきた。

マドンナA「遊園地いかない?」

この提案でバラバラだったグループがひとつになった。プールから上がり、遊園地へ向かう。ここからなぜか距離がなくなり、見た目crewになっていた。そしてプールで疲れたから休憩しようということになり、売店で休憩することなった。

各々ジュースなどを買い、パラソル付きのテーブルでひと休みした。その頃には逆に距離が縮まり、普通に話せるようになっていた。時には笑いも起こり、その空間が青春色でキラキラしてるように思えた。トークも弾みお腹を空かした野々村が言った。

野々村「フランクフルト食べようかな」
マドンナ「野々村食べすぎだよ」
野々村「プールで泳ぎすぎて腹減ったから買ってくる」

そういって野々村は売店に向かった。少しして野々村が戻ってきた。

野々村「まじうぜぇ、まじだるいわ」

野々村が真逆なテンションで帰ってきた。空気が止まった。(次ページへ)

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