多部未華子主演ドラマで話題 会社の経理は「損な役回り」か

8月16日(金)16時0分 NEWSポストセブン

番組公式HPより

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 仕事と真摯に向き合い、間違ったことは大嫌い。かといって杓子定規で融通が利かないわけではなく、同僚に向ける温かいまなざしをも持つ──そんなヒロインが活躍する「お仕事ドラマ」は、もはや定着した感がある。前クールでいえば、『わたし、定時で帰ります。』(TBS系列)がそうだった。その後釜ともいえるのが、7月26日にスタートしたNHKドラマ10『これは経費で落ちません!』(金曜夜10時、全10話)ではないだろうか。


 本ドラマは、石鹸など衛生商品のメーカーである「天天コーポレーション」の経理部を中心に、主演の多部未華子が扮する経理部員の森若沙名子が、他部署の人たちに振り回されながらも仕事に恋に奮闘する物語だ。


 ドラマや映画でなかなか扱われることのない「経理」という仕事を、コミカルなストーリーの中で紹介するのがこのドラマだ。経理とは、会社に出入りするお金の管理を行う部署。会計の一部を担い、会社に関係する「人・モノ・カネ」のうち、後者の2つと「人」の給与の部分も扱う。領収書の処理を行うだけでなく、かなり広範囲にわたる役割を担う仕事なのだ。


 ドラマでは、経理部の中堅社員・森若が実直に社員の領収書の不備を指摘する場面が次々と展開されていく。接待後、自宅までのタクシー代を請求した社員に対して、「22時はまだ電車が動いています」と領収書を突き返す。その社員は「所属部長の承認印はもらえているのに、何でそんなこと経理が決めるんだよ!」とカンカンだ。


 経理の仕事は、社員の不備や不正を指摘するばかりで損な役回りに思えてくる。いくつかの大手企業で経理職を長年務め、現在は「フリーランスの経理部長」として関連書籍を多く著している前田康二郎氏は、こう話す。


「経理は確かに融通の利かない、堅物の集まりのようなイメージはありますね。売上をつくる営業部員と違って褒められることもあまりなく、完璧にやって当たり前で、ミスしたときだけ怒られる。経営者からは、頑張ってはいるけど経理以上のことができるという期待はあまりされていないケースが多く、部員からすると一抹の寂しさはあります」


 前田氏は「ただし」と話を続ける。


「経理部員にも2種類いて、ノルマもなく自分のペースで仕事ができ、定時で帰ってプライベートを充実させたい、それができるから経理を選んだという『割り切り型』の人と、お金の扱い方が会社の大事な要素だとわかって、不備や不正がないことを目指し、それをもって会社に貢献しようとする『道徳型』の人がいます。『道徳型』の人は、『これはダメなんじゃないか』とか『これは改善したほうがいい』などと提案できる。そういう人がいる会社は、昨今大企業でも出てくる粉飾決算が起こらない会社といえるでしょう」


 ドラマの森若は「道徳型」の範疇に入るだろう。第1話では、営業部の若手エース社員・山田太陽(重岡大毅)が提出した領収書が私用のものだったかどうかを調べるために、出張先のレジャーランドで“張り込み”までしていた。


 そうかと思えば、「これは『リサーチ費』では経費で落ちません。でも、『接待交際費』なら経費で落ちます」と柔軟な思考も見せる。「期日管理に厳しいだけだったり、単に数字のことしか言わないから疎まれる」(前田氏)のであって、領収書の費目の意味することや費用の使い方をきちんと説明すれば、それはその人の本来業務にも好影響をもたらす。


 なぜなら、どんな部署にいようとも、コストや売上、利益の数字はついて回るものだからだ。会社にまつわるお金について社員にアドバイスができるようになれば、他部署から頼りにされる存在になれるというわけだ。


 経理という一見地味な部署の中に会社の根幹に関わる大事な要素が詰まっていることを、このドラマは教えてくれる。


●取材・文/岸川貴文(フリーライター)

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