『HEAVEN?』でも苦戦する石原さとみは「被害者」なのか

8月17日(土)16時0分 NEWSポストセブン

小悪魔的な魅力にあふれる石原さとみも32歳

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 前作の評価には悔し涙を流したと言われるだけに、新作への思いは並々ならぬものがあったはずである。女優として彼女自身の“人気”を疑う人は誰もいないだろう。しかし……。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。


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 石原さとみ主演のドラマ『HEAVEN?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系火曜午後10時)が苦戦しているもようです。スタート時こそ二桁発進。しかし直近の視聴率は下降気味で7%台が続いています。


 という流れを受けてか、「石原さとみ離れ」を指摘する記事が出ると、「脚本が悪い」「あの演出がダメ。石原さとみは被害者」という意見も噴出。これほど反響があるのも、石原さんが話題の中心にいる人物の証、ということでしょう。


 でもなぜ、石原さんのドラマの数字がいまいち伸びないのでしょうか? 何が足を引っ張っているのでしょう?


『HEAVEN?』はたしかに脚本がベタで、演出も奇をてらい過ぎの観があります。例えば役者の顔の上にもう一つ亡霊のように顔が浮び上がり内面を独白といったCG処理の演出も、工夫のわりには効果なさそう。石原さん自身が「演出に納得がいかない」とおかんむり、という記事まで出る始末です。


「石原さんが『視聴者に刺さっていないので、止めたほうがいいのではないでしょうか?』と進言したそうです」(「デイリー新潮」2019.8.13)。


 火のない所に煙は立たない、ということでしょうか。しかし、低迷の理由は脚本や演出だけではなさそう。


 もう一つ挙げるとすれば、それはまさしく石原さん自身の「自己演出の力」では? その反作用としてドラマが空回りしている、とは言えないでしょうか。


 石原さとみさんという人物はエネルギッシュです。画面を通してビンビンとエネルギーが伝わってくる。やる気も躍動感もある。衣装を着替えれば、まるでファッション雑誌のグラビアです。キレイでかわいらしくて、視聴者の目を惹き付ける。女優としてのオーラも放っている。芝居感覚も十分で滑舌も良く、器用に役をこなす……となると、どうしても「石原さんがリードする」構図になりがち。演出家があれこれ細かく指図しなくてもいろいろと自分でできる。何となく「石原テイストのドラマ」にまとまっていくから、みんなが「石原さん頼り」「おんぶにだっこ」状態になりがちなのでは? 


 皮肉にも、自己演出に長けているその力が、石原さんという女優を空回りさせているとすれば残念この上ありません。


 かつてつかこうへいの芝居『幕末純情伝』でアイドルの殻を破り、周囲を驚かせた石原さん。ドラマでも快進撃を見せた。幅のある演技が光ったのが例えば2014年の『ディア・シスター』。奔放さと無垢さ、アイドル的人物からボーイッシュまで、多面性を持つ役を演じ、女優としてぐんと伸びていきそうな期待を抱かせてくれました。


 その後は『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(2016年)、『アンナチュラル』(2018年)と主演が続き、役柄もフィットして高評価。しかし、直近の『高嶺の花』(2018年)や今回の『Heaven?』のキャラは、どうにもピント外れで何だか一人相撲をとっているようにさえ見えます。


 で、どうすればいいのか?


 あくまで思考実験ですが、今大好評のドラマ『凪のお暇』(TBS系金曜午後10時)で黒木華さんが演じる「凪」のような人物を石原さんが演る、というのはどうでしょう。


 平凡でおとなしく目立たず、同僚にすぐディスられる。真面目で空気ばかり読んで周囲にあわせる。そんな自分がイヤなのに、なかなか離脱できない人。弱みを抱え地味に生き、全てを捨てようと試みても本質はなかなか変わることができない人──といった平凡の中の人生の格闘を演じるという手は?


 そろそろ派手な女王様キャラや校正者、解剖医といった特殊技能を持つ人物ではない、「ただの人」を石原さんに演じてみてほしい。肩書きも何もない現実の中で生きる地味な人を、妙な自己演出を封じ抑制して演じた時、石原さんがいかに輝くのか見てみたい。「成熟期」にさしかかった女優に、愛を込めてのエールです。

NEWSポストセブン

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