【中日】平田良介の長い夏休みは宿題がいっぱい!

8月29日(火)11時0分 文春オンライン

12年前にも伝説の男は甲子園にいた


 今年も夏の甲子園は熱かった! 99回を数えた全国高校野球選手権大会。連日繰り広げられた熱戦に多くの野球ファンは心を打たれたはずだ。そして決まって現れるニューヒーロー。今大会は広陵・中村奨成に始まり中村奨成で終わったといっても過言ではない、そんな大会史に名前を刻み込む大活躍を見せてくれた。多くの大会記録を更新したが、中でもファンの心に残っているのはあのPL学園・清原和博が記録した通産本塁打記録を更新した6本塁打。甲子園伝説は32年ぶりに塗り替えられたのだ。そんな中村クンの活躍をテレビやスポーツ紙で見る度、何故か頭に浮かぶのは平田良介のことばかり。決まって口に出る言葉は「アイツは何やってんだ!」


 遡ること12年前。平田良介は中村クンに決して劣ることのない、それはそれは素晴らしい輝きを聖地甲子園で放っていた。1試合3本塁打。清原とともにいまだ2人しか達成していない伝説の記録。第87回大会準々決勝の東北戦。まず2回裏の第1打席にレフト最前列へ飛び込む先制ソロ。続く第2打席では2打席連続となる一発を弾丸ライナーで最深部の左中間へ運んだ。そして1点を追いかける第4打席。バックスクリーン右にぶち込む特大の逆転弾を放った。清原の時代にはラッキーゾーンがあったため、3本ともスタンドに放り込まれたという点では唯一の記録となっている。


12年前の甲子園で輝きを放っていた平田良介 ©文藝春秋

アテにしたいがアテにならない打者


 当時バッターボックスで見せた威風堂々とした佇まい。高校通算70本塁打。50メートル5秒7の俊足と遠投110メートルの強肩を併せ持つ。平田が魅せた神主打法は独特の美しさを持ち、ドラフト時、平田指名を決めた当時の落合博満監督から「この年のドラフトで俺が認めたのは平田だけ。そういう選手がいない年だってある。あれだけ振れる選手はそうはいない。鍛えれば俺以上の打者になる」と高く評価されていた。


 確かに輝いていた。それも眩いくらいに。ドラゴンズの4番は今後十数年大丈夫だと期待もしたし、落合クラスのスラッガーに成長していくことが当たり前だと思い続けていた。しかし現実はそうそう甘くなく、レギュラーを獲得したのが入団6年目。昨年まで6年連続二桁本塁打を記録し、攻走守三拍子揃った好選手というイメージはあるものの、チームを牽引する大黒柱というには太鼓判が押しづらい実績しか残せていない。毎年どこかしら故障を発生し、一年間フル出場した経験が未だないのが信頼を勝ち得ていない証なのかもしれない。


 ファンの立場からすれば、アテにはしたいがこれほどアテにならない主力打者はいないというのが現時点における彼に対する正当なる評価といえよう。昨オフ、複数年契約を結び、年俸も大幅にアップ。自身も今年は勝負の年、しっかりとした成績を残さなければ叩かれてもやむなしと迎えた今季であったはず。しかし今年も予想通り(?)の戦線離脱。ただ今回のケガは防げたはずだ。



輝きを取り戻すためにすべきこと


 6月17日の西武戦で本塁へヘッドスライディングを敢行し、その際に右ヒザを痛めた。これが問題。実はヘッドスライディング自体が落合元監督からずっと止められていたプレーだったからだ。大阪桐蔭時代から、けん制の帰塁で3、4回肩をケガし、その後は封印してきたのだが、あとの祭り。この時のスポーツ紙に「自分の野球小僧としての気持ちが出たプレーなので後悔はしていない」とコメントが掲載されていたが、ケガをしてはおしまいなわけである。


 プロはゲームに出てナンボの世界。出場しなければバッターボックスへ立つこともできないし、フィールドで守ることすら許されない。またそれよりも何よりも平田のプレーを楽しみに観に来たファンへの裏切りは大きい。予期できぬケガではなく予期できたケガならばなおさらである。無事是名馬とはよく言ったもので、これでは怪我是駄馬。グウの音も出ないよね、平田クン。


 現在、平田は主戦場であるナゴヤドームを離れ、痛めた右ヒザを回復すべく独りリハビリの日々を送っている。手術回避を決め、股関節の柔軟性を高めて膝への負担を減らすことで完治を目指すらしい。


 予想すらもしなかった夏休み。


 高校時代の輝きを今一度思い出し、威風堂々の佇まい、面構えを蘇らせる為にも、ここはしっかり時間をかけ、心技体全てにおいてパワーアップを図ってもらいたい。チームそしてファンに迷惑をかけたその何倍、いや何十倍をバットと肩と脚で返してもらうためにも。チームの成績がふるわない時、インスタにBBQパーティーの画像を投稿するなど、ファンの怒りを買う行為は慎めるよう、心理学を学ぶのもよし、ダルビッシュのようにケガをしたのがこれ幸いと体幹を鍛え抜き、野球選手として最高の身体を作り上げるのもよし。


 平田良介こそがプロ野球ナンバーワンの選手になるんだというポジティブ思考を四六時中頭に思い描いて欲しい。福田? オレが和製大砲だ! ビシエド? いつでもアメリカに帰っても大丈夫だ! 藤井? しっかりライトのポジションを掃除して待っていろ! ぐらいの強い気持ち、意志を抱いてリハビリに励んでもらいたい。そして来季開幕戦で四打席連続本塁打を放つぐらいの活躍を約束してもらいたい。


 そうでなければ許さない! こんなに長期休暇を取りやがって。ふざけんじゃねぇーぞ! それだけドラゴンズファンは皆、平田良介、お前に今でも期待しているんだよ。その想い、願いを一日でも忘れて欲しくない。約束!


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(竹内 茂喜)

文春オンライン

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