菅田将暉、勝地涼、桐谷健太 「しなやかな才能」に高評価

8月29日(土)16時0分 NEWSポストセブン

 新たな才能との出会いは、人を沸き立たせるものだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。


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 今クールのドラマを楽しむには、「視聴率が目立たなくても見所を発見する」ことがコツ。コラムではその楽しみ方と魅力をとりあげてきた。さらに今回、ドラマの中から「今後の可能性を強く感じた」3人の男優をピックアップ。役者としての魅力にスポットライトを当ててみたい。


●菅田将暉


『ちゃんぽん食べたか』(NHK)では主役として登場。物語は1960年代。田舎から上京した繊細な学生・佐野雅志(さだまさし役)を、七三分けのマッシュルームカット姿で好演した。


 安保闘争で騒然とする世の中、生き方を模索しながら「一流バイオリニスト」という夢を手放していく青春の蹉跌。フォークソングを歌う菅田さんからは、60年代というあの時代の空気感がじんわりと漂ってきた。


 本人はまだ22歳。なのに知らない過去の時代の空気感を掴まえて再生していくその力、役者として生半可ではない。


 一方、バトンタッチするようにスタートした『民王』(テレビ朝系金曜23:15)では、まったく異質のキャラを演じている最中。息子と父親の人格が入れ替わるという物語設定。外見は息子だが、心はオヤジ、職業は内閣総理大臣。上から目線、偉そうな物言い、マッチョで荒々しい人物になりきって暴れている。


 と「幅広い」芸を見せつけた菅田さん。クラシックからパンクまで。七三分けから怒髪まで。繊細な感性から厚顔無恥まで。何でもやりそう。やれそう。やってみてほしい。


●勝地涼


『ど根性ガエル』(テレビ朝日系土曜21時)の警官・五郎役がキレている。


 左手を腰に当てて敬礼して「やんす」。ポーズがキマッている。子どもにバカ受けしているのも、頷ける。直感力が鋭い子どもたちは、表面的にやっているのか、それとも血肉化されたギャグなのかを一瞬で嗅ぎ分けてしまう。


 そう、勝地さんの「やんす」は迷いがなく全力が込められていて、しかも軽やか。見ていて爽やか。だから人の笑いを誘う。こういうのを、ギャグの「型」と言うのだろう。久々に、おそ松くんの「シェー」に該当する「型」を見た気分。


 しかしドラマの中で、そうしたスラップスティックの「型」を決めることができる勝地さんは、相当クールでスマートな役者に違いない。『あまちゃん』の「前髪クネ男」が前哨戦だったろうけれど、『ド根性ガエル』の「やんす」は、数段パワーアップしている。自己満足ではなく広い世代に伝わってくる面白みが滲む。


●桐谷健太


 7月に最終回を迎えた『天皇の料理番』(TBS)。主人公・篤蔵の友達で、料理人見習い・画家志望の松井新太郎はぐうたらで、粋な男。篤蔵と新太郎は生き方も考え方も異なる。しかし、二人の間に流れる友情は、ドラマの中で強い印象と輝きを残した。


 色気はたっぷり、女好き。しかし、すれてはいない。一瞬かいま見せる純粋さ。桐谷健太は、そんな「軽みと重み」を両方を含んだ人物をいきいきと描き出した。


 役者としてお見事、と思った直後に、テレビ画面でまた遭遇。今度はドラマではなく、CMのau「三太郎」シリーズの中で。一見して婆娑羅のような風変わりな浦島太郎になりきっている。


 印象的なのが、海辺で三線(さんしん)を弾き語るシーン。甘く切なく響く声、遠い視線が何ともいい。たった数秒間で誰かへの「一途な思い」を画面一杯に滲ませる力量。アッパレ。


 これまでの桐谷さんはどちらかといえばアクが強くふざけた役柄の印象が強かった。しかし、この夏に判明。しっとり生真面目もオチャラけも両方いける。静と動、さまざまな素材を盛ることができる透明な「器」……。ぜひ今後の連ドラで、陰陽ある複雑な主人公を演じる姿を見てみたい。


 菅田将暉、勝地涼、桐谷健太。それぞれタイプは違うけれど、しなやかでクール。今後にむけて期待が大きく膨らむ3人。そんな新しい才能に出会えることこそ、ドラマ鑑賞の大きな楽しみだ。

NEWSポストセブン

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