天才テリー伊藤対談「八名信夫」(1)健さんが気配りで見せてくれたこと

8月30日(火)5時57分 アサ芸プラス

●ゲスト:八名信夫(やな・のぶお) 1935年、岡山県生まれ。明治大学へ進学後、父親の知人だった東映フライヤーズのエース・米川泰夫の口利きで、56年、東映フライヤーズに入団。58年、3年目のシーズンに腰を骨折して入院、現役を引退。引退後、東映本社社長に誘われ、東映専属の映画俳優に。59年、梅宮辰夫主演の映画「遊星王子」で俳優デビュー。以降、「大江戸捜査網」「ザ・ハングマン」「西部警察」「必殺仕事人」「飢餓海峡」「仁義なき闘い」など数々の人気ドラマ、映画に出演。また、65年から始まった「昭和残侠伝シリーズ」「網走番外地」シリーズなど多くの作品で高倉健と共演した。83年、「悪役商会」結成、演じた悪役は数知れず。現在公開中の長編ドキュメンタリー映画「健さん」(日比遊一監督)にも出演、また、監督・脚本・主演を務めた映画「おやじの釜めしと編みかけのセーター」を製作中。

「悪役商会」のリーダーとして、数多くの作品で悪役を演じ続けた八名信夫。現在も個性派俳優として活躍中だが、このたび、高倉健のドキュメンタリー映画に出演。あらためて健さんとのエピソードや、被災地復興を願って取り組む新作映画への思いを、天才テリーに打ち明けた!

テリー ごぶさたしてます。こうしてお会いするのは、20年ぶりぐらいですか?

八名 いや、マネージャーに確認したけど、どうやら30年ぶりらしい。それこそ、悪役商会を作ったばかりの頃だな。あんたのテレビでよく使ってもらって、応援してもらったな。

テリー いや、とんでもないです(笑)。八名さんは、公開中の高倉健さんのドキュメンタリー映画「健さん」に出演されているんですよね。僕は健さんとゆっくりお話ししたことはないんです。どんな方でしたか。

八名 孤独な人だったんじゃないかな。他人がいる前では、常に「高倉健」を演じていた。「風呂とトイレだけが自分の居場所」なんて言ってたこともあるしな。俺は見てないけど、健さんの事務所のふすまに、墨で「この馬鹿野郎 死にくされ」って書いてあったこともあるらしい。

テリー それは健さんが書いたもの?

八名 そう。何でもグッと辛抱する人だったから、それを聞いて「健さんでも腹が立つこと、我慢できないことがあるんだな」と思ったよ。

テリー プライベートで食事をする時なんかは、どんな会話をするんですか。

八名 東映の身内の連中だけの時は、「おい、いい女いないのか?」みたいな普通の会話をしますよ。でも、知らない人がいたら絶対そんなことは話さない。「高倉健です、よろしく」、これだけ。

テリー 外に一歩出たら、常に「高倉健」を演じている、という感じ?

八名 うん、本来はおもしろい人なんだけどね。あれは美空ひばりさんの誕生日パーティだったかな、出席していた東映の連中が緊張しているのか、ずっと静かだったんですよ。そしたら健さんが「お前ら、場を盛り上げないか! よし、俺がやる」って着ているものを脱いで、バーッと踊りだしたんだ(笑)。

テリー すごいなァ! でも健さん、ものすごい気配りの人ですもんね。

八名 そう。だけど、それで困ることもあってね‥‥健さんは雪が好きで、北海道にばっかりロケに行く。で、網走なんかに行くと高倉健用のブースがあって、その中でガンガンが燃えているんです。

テリー 寒い現場で暖をとるための、石油缶を利用した焚き火ですね。

八名 俺らはそこに入りたいんだけど、健さんが吹雪の中、足踏みしながら寒さをこらえている。「スタッフが外で働いてるのに、俺たちだけで焚き火なんかにあたれるか」って。

テリー 健さんらしいね。

八名 ところが、向こうは厚着で長靴。俺らは薄い囚人服に、素足でスリッパ。そこを健さんはわかってないんだ(苦笑)。着てるものが全然違うのに、同じ零下20度の吹雪の中に立たされるんだから。

テリー ハハハ、僕らはメイキング映像なんかでそういう健さんを見ると、「さすがは高倉健だなァ」と感心しちゃいますけどね。

八名 俺らにとってはいい迷惑(笑)。でも、どこに行っても絶対に背中に高倉健を背負ってるのは偉いよね。よくあれだけ我慢できるな、と。俺らなんかあんなこと、疲れてできないからね。

アサ芸プラス

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